韓国からの第3報である。2日目にチョンジュ(全州)でコンラッド先生と私のプレゼンを中心とした100人以上が参加した会議が開催された。主催はローカルアジェンダ21気候変動ネットワークというもので、行政ではないが、完全に民間でもない、半分公的な立場を与えられている組織である。日本にもたしか同名の組織があるが、韓国のように大きな力を持っていないのではないか・・と思われる。
韓国の行政システムは、国の下に県に当たる道があり、さらにシティ(市)、カウンティ(郡)、タウン(町)、ビレッジ(村)という風に分かれている。今回の会議は、この県に当たるチュラブクド(全羅北道)も後援していて、実際に担当者も参加をしていた。このほかにもローカルアジェンダ21のような公的な立場を与えられた民間組織のグリーンコリアとかローカルサスティナブルアライアンスオブコリアなど、それぞれ実践の課題を抱えている組織や個人が参加をされていた。
ほとんどの人がそれなりに目的を持って参加しているためか、日本でよくある動員集会のように一定時間を経過するとバラバラと人が抜けて言ったり、眠る人が続出・・なんてことがなかった。みんな一生懸命と感じられた。
ただし、立場によって状況は微妙に変わるのかもしれない。いま、韓国は未曾有の建設ラッシュである。政府の意向としては、その建設に絡めて大規模な太陽光発電や太陽熱の設備をつければよいという感じもある。しかし、政府予算には限りがあるし、各地で実践をしている人たちは、持続的に太陽光発電を増やしたり、ちいきに合致した再生可能エネルギーの活用法や、何よりも地域の暮らしの中に折り込めるようなエネルギーのシステムを求めているようであった。
この大きな会議の夜は、地元のジャーナリストが主催する懇親座談会があり、飯田市での実践についてかなり突っ込んだ質問があった。一番の質問はNPOの環境エネルギー政策研究所がどうやって営利事業をしているのか。20人ものスタッフがどうやって食えるのか・・ということだったかもしれない。韓国の市民運動家たちも、自分たちの活動で食っていくにはどうしたらよいか切実な問題らしい。
飯田や備前という実践の場があり、そちらの会社に大部分のメンバーが派遣され、委託費として人件費が返される構図だが、実践現場での事業の方がうまく行かなければ如何ともしがたい。
3日目にはチョンジュから少し南のブアンを訪れ、その地域での再生可能エネルギー導入実践を見た。かつて韓国の核廃棄物の捨て場所にされようとした村で、日本で言えば六ヶ所村のようなところだ。ブアンの人々は、この計画を撤回させ、そのときに考えた「では代替エネルギーは何か」を実践しはじめた。
3kW程度の太陽光発電2箇所と、小さな太陽熱温水器には、まだささやかだなと思ったが、3つの建物の床暖房に使われていた地熱利用ヒートポンプシステムは、いわば最新式で驚いた。費用総額は1億2000万ウォンで、現在の施設だけでは過大なシステムだが、やがて村全体の地域暖房にと考えているということだった。
このほかにバイオジーゼルを活用した堆肥加工所を見たが、とても寒い日で、視察途中からみぞれまじりの雨となった。強い風と寒さと、本当に六ヶ所村に似ていた。
ブアンから一度チョンジュに戻り、国際会議の日程はここで終了したが、コンラッド先生と私には第2の行程が準備されていた。チョンジュからチュンチョンナムド(忠清南道)のホンドン郡にあるホンソン村に向かうのである。
ここはアジェンダ21の一つの支部がとても力を入れて進めている「持続可能社会」の実践の場であった。この村には強力なリーダがいて、村の100年の計画をたて、合鴨農法や有機農業を実践しており、日本の大分県のどこかの村とも姉妹関係を持っているという。
再生可能エネルギー導入にも積極的で全農家の屋根に太陽光発電をのっけようという目標もあるようだ。第4報では、この村でのミーティングの模様をお知らせし、この連載をまとめたい。
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