民主党が迷走している。参議院選挙を前に政党支持率も20%台に突入、自民党の末期のような惨状である。昨年の衆議院選挙で民主党を支持した多くの人の心が民主党から離れ、まだなんとか繋がっている人も相当に揺らいでいるという状況だろう。
それでも自民党支持率は回復しない。新党「みんなの党」が支持率を伸ばす(といっても数%)中で、連立与党を形成する社民党も国民新党も伸びてはいない。そこで「既存でない党」だというわけか、新党が雨後の筍のように出てきた。
先陣を切ったのは、新党もつくれずに線香花火のように散った鳩山邦夫氏。その鳩山邦夫氏の誘いにまったく乗らなかった平沼赳夫氏と与謝野馨氏が新党「たちあがれ日本」を立ち上げた。この新党の結党宣言は自主憲法制定とか外国人の参政権反対とか、夫婦別姓反対とか、超タカ派性を堂々表明するもので、平沼氏はともかく与謝野氏がそんなにタカ派であったかと驚かされた。
今日の新党の動きは、これまでの入り乱れた政治状況で隠された政治家の真実をあらわにしてくれるかもしれない。「たちあがれ・・」の次に出てきたのは、野心ギラギラの山田杉並区長と中田元横浜市長の「首長新党」。衆議院選のときから蠢いていたが、今が国政に復帰するチャンスと読んだのだろう。正式名称は「日本創新党」というのだそうで、20数名の設立メンバーを見るとどうやら「松下政経塾新党」という色彩が強い。埼玉県の超タカ派知事植田氏もエールを送る。大阪府の橋下知事はこれには加わらず、大阪府の地方議員中心のローカール新党を立ち上げた。
続々現れる新党を目に、堪えきれずに飛び出したのが「舛添新党」。ただし自民党の中の若手を引き連れての離党ではなく、郵政民営化に反対して自民党を飛び出した改革クラブとの単独合流で、党名も「新党改革」とか。自民党の中にいてこその影響力だったのだが、飛び出て外からの遠吠えでは何の求心力も持たなくなった。舛添さんも鳩山さん同様に、まったく政治的なパワーバランスがわかっていないのだな・・ということを晒してしまった顛末。
よく見てみると誕生した新党はみんな右寄りタカ派である。「軟弱」な谷垣さんでは保守派の票はまとめられまいと、タカ系議員たちがこらえきれずに動き出したということか。どうしようもない老化重鎮が抜け、小うるさい噛みつき議員も抜けたので、もしかすると谷垣自民党はとても温厚、若手中心の「新鮮な」政党になるのかもしれない。誰々という名前は出さないが、河野太郎副幹事長はじめ「若手実力者」と呼べる人材はまだまだ残っている。といっても、私が自民党を支持することにはならないが・・。
さて、民主党の支持率が低下しているのは数々の公約をきちんと果たせない、内閣の中がてんでバラバラで司令塔が見えない、小沢幹事長の独裁体制に見える・・など構造(ハード面)の問題だ。政策(ソフト)面での批判が集中しているのではない。普天間基地移設問題は、5月決着という鳩山総理の約束が守れなかったら政局(解散か総理の交代か)だとマスコミが騒いでいるだけで、国民が普天間基地の移転に反対したり、辺野古への移設を強行せよと求めているわけでもない。ほとんどの国民が「普天間の継続」にも「国内の他地域への移設」にも反対している。政策は国民に支持されているのだから、自信を持って「国外移設」でアメリカと渡り合えば良いのだ。
ところが、その意志が統一できない。そもそも最初のアメリカとの議論の仕方が間違った。まだ何も閣内議論もできていないのに「トラストミ-」などと、わけの分からないことをオバマの前でささやいたり、岡田外務大臣ははじめから不可能な嘉手納への移設案をアメリカに持って行ったり、どうも稚拙だ。
アメリカから見れば、まずSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意という政府間約束があるのだから、それを守るのかということだろう。「あんたたちじゃないが、前の政府が約束したんだ!」と。まず言うべきは「我々は約束しとらんよ!」ということだったのでは。前政権の約束は何でも踏襲するというのでは民主主義は成立しない。前政権の考えを国民が否定したから新政権ができた。とくに普天間問題は前政権が否定された焦点の一つだ。当然「約束の継続はできないよ」というのが、まず最初に通告すべき第一点目だったのではないだろうか?
どうも新政権はいまだにその通告を行なっていないフシがある。おそらく外務省あたりから「それは無理」くらいに言われて、岡田さんが内部と闘わなかったんだろう。それは昨日の「岡田さんの知らない日米合意のリーク」でも見て取れる。岡田さんがルース駐日大使に「辺野古への移設」という現行案の履行で合意したという内容だ。岡田さんが否定し、鳩山総理も強く否定したのだから、この話は「無い」。岡田さんは英語を喋れる人だと思うが、もし外務省の通訳を通じて話をしたとすれば、上記のような話はいかようにでも作れる。政治主導と言いながら、些末なところで実は官僚に操られているのだ。
鳩山政権が普天間問題で、強引な「決着」だけを求めて徳之島強行などの方法を取れば支持率はさらに下がり、マスコミはますます国民支持を得られぬ無能内閣とはやし立てるだろう。結論を出せず、5月以降にまだ普天間が使い続けられるとすれば、それも内閣の無能を突きつけられるだろう。
なすべきことは早期に仕切り直しをすることである。SACO合意の見直し(一部修正で良い)を申し入れる。普天間代替基地は国外もしくは基地の廃止。それが、日本国民も納得し、日米関係にとってももっとも良い解決策であると「正式な政府の考え」として伝えることだ。そのためには、閣議において政府見解をまとめ全閣僚の意思統一を行なうことが必要。それに従わない官僚は、ともかくも担当の役から外す。それが政治主導というものだろう。
辺野古には決着させないという鳩山総理の必死の姿勢や、八ツ場ダムの凍結や外国人参政権を認め、夫婦別姓を認める民法改正などは、少なくとも自民党よりましであるし、「こども手当」も特定の国の子供に支給しないとか、親が海外赴任中の子供に支給されないなど不十分な中身があるが、所得が低くて子供の多い家庭にはともかくも「良い政策」であろう。
原発の推進とか、労働組合や農業団体の優遇といった不満点はたくさんあるが、点数をつければ自民党よりも「よりまし」なのだ。しかしながら、マスコミの激しい非難と、それに右往左往する政権内部の動揺によって、この政権は内部から崩壊する危機すらある。かつて細川政権も1年で崩壊した。これを崩壊させたのは、当時の社民党に「護憲を捨てろ」と迫った小沢一郎である。小沢氏はそのトラウマを強烈に持っている。普天間の辺野古移設の強硬は、そのまま政権崩壊であることをよく理解しているのだろう。
アメリカに対して、SACO合意の見直しというキッパリとした態度を取ったとき、民主党を含む連立政権の評価は、続々生まれた新党の存在など吹き飛ばしてしまうほどに急上昇することは間違いない。ぜひとも、大英断を期待したいものである。
それでも自民党支持率は回復しない。新党「みんなの党」が支持率を伸ばす(といっても数%)中で、連立与党を形成する社民党も国民新党も伸びてはいない。そこで「既存でない党」だというわけか、新党が雨後の筍のように出てきた。
先陣を切ったのは、新党もつくれずに線香花火のように散った鳩山邦夫氏。その鳩山邦夫氏の誘いにまったく乗らなかった平沼赳夫氏と与謝野馨氏が新党「たちあがれ日本」を立ち上げた。この新党の結党宣言は自主憲法制定とか外国人の参政権反対とか、夫婦別姓反対とか、超タカ派性を堂々表明するもので、平沼氏はともかく与謝野氏がそんなにタカ派であったかと驚かされた。
今日の新党の動きは、これまでの入り乱れた政治状況で隠された政治家の真実をあらわにしてくれるかもしれない。「たちあがれ・・」の次に出てきたのは、野心ギラギラの山田杉並区長と中田元横浜市長の「首長新党」。衆議院選のときから蠢いていたが、今が国政に復帰するチャンスと読んだのだろう。正式名称は「日本創新党」というのだそうで、20数名の設立メンバーを見るとどうやら「松下政経塾新党」という色彩が強い。埼玉県の超タカ派知事植田氏もエールを送る。大阪府の橋下知事はこれには加わらず、大阪府の地方議員中心のローカール新党を立ち上げた。
続々現れる新党を目に、堪えきれずに飛び出したのが「舛添新党」。ただし自民党の中の若手を引き連れての離党ではなく、郵政民営化に反対して自民党を飛び出した改革クラブとの単独合流で、党名も「新党改革」とか。自民党の中にいてこその影響力だったのだが、飛び出て外からの遠吠えでは何の求心力も持たなくなった。舛添さんも鳩山さん同様に、まったく政治的なパワーバランスがわかっていないのだな・・ということを晒してしまった顛末。
よく見てみると誕生した新党はみんな右寄りタカ派である。「軟弱」な谷垣さんでは保守派の票はまとめられまいと、タカ系議員たちがこらえきれずに動き出したということか。どうしようもない老化重鎮が抜け、小うるさい噛みつき議員も抜けたので、もしかすると谷垣自民党はとても温厚、若手中心の「新鮮な」政党になるのかもしれない。誰々という名前は出さないが、河野太郎副幹事長はじめ「若手実力者」と呼べる人材はまだまだ残っている。といっても、私が自民党を支持することにはならないが・・。
さて、民主党の支持率が低下しているのは数々の公約をきちんと果たせない、内閣の中がてんでバラバラで司令塔が見えない、小沢幹事長の独裁体制に見える・・など構造(ハード面)の問題だ。政策(ソフト)面での批判が集中しているのではない。普天間基地移設問題は、5月決着という鳩山総理の約束が守れなかったら政局(解散か総理の交代か)だとマスコミが騒いでいるだけで、国民が普天間基地の移転に反対したり、辺野古への移設を強行せよと求めているわけでもない。ほとんどの国民が「普天間の継続」にも「国内の他地域への移設」にも反対している。政策は国民に支持されているのだから、自信を持って「国外移設」でアメリカと渡り合えば良いのだ。
ところが、その意志が統一できない。そもそも最初のアメリカとの議論の仕方が間違った。まだ何も閣内議論もできていないのに「トラストミ-」などと、わけの分からないことをオバマの前でささやいたり、岡田外務大臣ははじめから不可能な嘉手納への移設案をアメリカに持って行ったり、どうも稚拙だ。
アメリカから見れば、まずSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意という政府間約束があるのだから、それを守るのかということだろう。「あんたたちじゃないが、前の政府が約束したんだ!」と。まず言うべきは「我々は約束しとらんよ!」ということだったのでは。前政権の約束は何でも踏襲するというのでは民主主義は成立しない。前政権の考えを国民が否定したから新政権ができた。とくに普天間問題は前政権が否定された焦点の一つだ。当然「約束の継続はできないよ」というのが、まず最初に通告すべき第一点目だったのではないだろうか?
どうも新政権はいまだにその通告を行なっていないフシがある。おそらく外務省あたりから「それは無理」くらいに言われて、岡田さんが内部と闘わなかったんだろう。それは昨日の「岡田さんの知らない日米合意のリーク」でも見て取れる。岡田さんがルース駐日大使に「辺野古への移設」という現行案の履行で合意したという内容だ。岡田さんが否定し、鳩山総理も強く否定したのだから、この話は「無い」。岡田さんは英語を喋れる人だと思うが、もし外務省の通訳を通じて話をしたとすれば、上記のような話はいかようにでも作れる。政治主導と言いながら、些末なところで実は官僚に操られているのだ。
鳩山政権が普天間問題で、強引な「決着」だけを求めて徳之島強行などの方法を取れば支持率はさらに下がり、マスコミはますます国民支持を得られぬ無能内閣とはやし立てるだろう。結論を出せず、5月以降にまだ普天間が使い続けられるとすれば、それも内閣の無能を突きつけられるだろう。
なすべきことは早期に仕切り直しをすることである。SACO合意の見直し(一部修正で良い)を申し入れる。普天間代替基地は国外もしくは基地の廃止。それが、日本国民も納得し、日米関係にとってももっとも良い解決策であると「正式な政府の考え」として伝えることだ。そのためには、閣議において政府見解をまとめ全閣僚の意思統一を行なうことが必要。それに従わない官僚は、ともかくも担当の役から外す。それが政治主導というものだろう。
辺野古には決着させないという鳩山総理の必死の姿勢や、八ツ場ダムの凍結や外国人参政権を認め、夫婦別姓を認める民法改正などは、少なくとも自民党よりましであるし、「こども手当」も特定の国の子供に支給しないとか、親が海外赴任中の子供に支給されないなど不十分な中身があるが、所得が低くて子供の多い家庭にはともかくも「良い政策」であろう。
原発の推進とか、労働組合や農業団体の優遇といった不満点はたくさんあるが、点数をつければ自民党よりも「よりまし」なのだ。しかしながら、マスコミの激しい非難と、それに右往左往する政権内部の動揺によって、この政権は内部から崩壊する危機すらある。かつて細川政権も1年で崩壊した。これを崩壊させたのは、当時の社民党に「護憲を捨てろ」と迫った小沢一郎である。小沢氏はそのトラウマを強烈に持っている。普天間の辺野古移設の強硬は、そのまま政権崩壊であることをよく理解しているのだろう。
アメリカに対して、SACO合意の見直しというキッパリとした態度を取ったとき、民主党を含む連立政権の評価は、続々生まれた新党の存在など吹き飛ばしてしまうほどに急上昇することは間違いない。ぜひとも、大英断を期待したいものである。
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