竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

参議院選後の日本政治のゆくえ

2010年07月19日 | ビジネス
6月26日にブログ発信して以来、ほぼ1ヶ月近く発信を怠ってしまった。その間にあったことは参議院選挙。私自身は、6月26日のブログに書いたことを実践していた。
しかし、この参議院選挙結果は、民主党に過半数を取らせなかったという点、自民党を飛び出た超右勢力に票が入らなかった点では評価に値するものの、今後の政治の流れを考える上では大きな不安の残る、納得のいかない結果であった。

よく世間一般で言われるのは財政再建と景気回復の問題だ。選挙期間中に「消費税増税」をぶち上げて、過半数割れの結果、ますます消費税増税を困難にしてしまった菅総理。財政再建の道はそれしかないと思っている財務官僚とその系列の人々にとって、この選挙結果は目を覆うばかりだろう。
しかし消費税増税は自民党も言っていた。自民党は勝ったじゃないか・・的な論が出ているが、民主が自滅しただけで自民党票は増えてなどいない。買ったのは「みんな」のみ、一人勝ちである。その「みんな」は参議院のキャスティングボードを握り、消費税増税反対であるから、これから3年間、次の参院選で議席数が変化するまで消費税は上げられないことは確実だ。

景気回復はもっと難しい。グリーンニューディールを掲げて登場した前鳩山政権だったが、その後の政策は骨抜きの排出量取引(結局まだ成立もしていない)、電力会社に妥協に妥協を重ねるFIT(固定価格買取制度)、そして「海外売込み」まで実践する原発推進で、真逆の従来既得権保護政策となった。
これで景気回復などするわけも無く、そこに欧州のギリシア危機の影響、アメリカの景気回復の伸び悩み、さらに中国経済にまでブレーキがかかった。自動車も半導体も、海外新興勢力に追い抜かれ引き離されるだろう。円高をかかえたこの国が、これから二番底を迎えることはもはや確実な情勢である。

菅内閣の政策を見る限り、本当のところでの景気対策など考えていないのではないか・・とさえ思える。
消費税ぶち上げは、いわば普天間問題=日米関係議論に集中した国民の意識を拡散させる煙幕だったのかなと。

この煙幕は見事に成功し、参議院選挙の争点から普天間問題は消えてなくなった。
問題は何も終わっていないのに。
普天間基地の撤去を求め、辺野古への移設にも反対している人々に取って、早々と日米合意(辺野古への移設)に従うとした菅内閣を応援することはできず、かといって、これまで辺野古移設を推進してきた自民党側を応援することもできない。
苦しい閉塞感の中での選挙だったはずだ。

結果として、沖縄選挙区では社民党推薦の無所属候補が破れ、自民党候補が当選した。
辺野古移設への反対という点では、どちらも同じだった。
ただし自民党候補は、仮に自民党が政権復帰したら、あるいは次の沖縄県知事選で自民党の現知事が再選されれば、辺野古推進に変わる可能性は大いにある。

社民党の福島党首は当選したが、往年の得票数に比べると30万票強というのは少ない。かつては100万票近く、前回でも60万票ではなかったか。票数から結論づけるなら、今回の閣内での福島党首のパフォーマンスは評価されなかったということだ。
最後に日米合意に反対し続け、内閣を追い出されたわけだが、なぜそんな日米合意を結ぶことを社民党がいながらさせてしまったのか。
もっと何かができたのかできなかったのか、真実は不明だが、少なくとも国民は、「せっかく内閣にいながら仕事をしていない」と判断したということではないのか。
社民党内部からそのことへの反省が聞かれないのは、どういうことだろう。

普天間問題について前鳩山総理は「勉強不足だった」と敗北を認めたが、いろいろな情報から察するに全く逆で、この問題に従前より高い関心を示し、他のどの議員よりも問題の所在を知りつくしていたはず・・というのがウェブ上の通説だ。
その通説が正しいのかどうか確かめる術もないが、もしそうならば、それでも越えられなかった壁とは何だったのか、それを今後のために共有してほしいものだ。

むしろ、本当にこの問題を全く勉強していない菅総理が何事かをできるとは考え難い。
国会の外での動き(日米の間での「真の解決」への動き)が重要になるだろう。

参議院のねじれにより、民主党の掲げた公約の多くは実現不可能になったと言われている。
こども手当、高速料金無料化、農業者戸別保証などなど。
正直なところ実現しなくても構わない政策も多い。
しかし実現しなければ困る政策もある。民主党の政策だから逆に成立が遅れる・・というような構図になることは避けたい。
脱ダムやFIT(固定価格買取制度)や国内排出量取引制度などだ。

ぜひにも全政党議論で民主党政策の事業仕分を行なってほしいものだ。
実は消費税値上げは、民主党と自民党が組めばすぐできる。
その前に必要な「強い社会福祉」のかたちを早く示し、合意形成をはかることだろう。
年金制度改革は単に支給方法や額の問題だけでなく、現在の国債偏重の資金運用の問題がある。
資金運用では「郵貯」も同じだ。
国民の莫大な資産を集め、タコにタコの足を食わせるようにそれを国債に注ぎ込み、そして最後はどうにも景気回復にもつながらず負債ばかりを残していく「原発」や「高速道路」や「ダム」や「軍事費」にまわしていくという「危険な財政」の姿を、一度みんなで確認することだ。
それでも良いと国民が選択するのならそれで良いだろうし、国民が「何なんだそれは!」というようであればやめねばならない。

そういう検討も事実認識もなく、なにやら政策が近くなった民主党と自民党が大連立をするというシナリオが、最もこれからの日本をダメにするシナリオであろう。
そうさせないためには、国民の側の知恵と動きが、ますます必要になったのかなと、今回の生煮えのような選挙結果に思う。













最新の画像もっと見る

コメントを投稿