もう一ヶ月もブログを書くことができなかった。週末もほとんど仕事で時間を取られていた。日本の政治の政権交代、補正予算の縮減、事業仕分、そしてCOP15である。実はこのグリーンニューディールの時代にあって、また鳩山総理のCO2を2020年までに25%削減という方針の中にあって、なぜだか自然エネルギーの業界は先行きの見えない霧の中にある。
25%削減の具体的な中身が、少しも出て来ない。逆にこれまでかろうじてあった支援策は補正予算の縮減や事業仕分で縮小傾向にある。温暖化対策につながる(と思われる)排出量取引の仕組みも、環境省のJ-VER、経産省の国内クレジット、そして東京都条例のクレジットと、それぞれバラバラに立ち上がり相互に関連づけすらされていない。
自然エネルギーの電気を高値で買取る固定価格買取制度も、菅直人国家戦略室長がぶち上げたものの、そのタイムテーブルすら示されていない。つまり、いろいろバラ色のイメージは見え隠れしているが、本当のところ、そのバラの花束がいつ届くのか考えれば考えるほど不安が増すという状況なのだ。
自然エネルギーやその環境価値を取扱う職業としては、クライアントに対してこの状況をどう説明すべきか、どういう道のりが真実になるのか、本当に悩ましいのである。
この間、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞、普天間基地移設をめぐる大議論、そして2010年度予算をめぐる公約と財政規律の関係など、さまざまなテーマがあった。どれも、私としては放っておけないテーマである。
オバマ大統領は「平和のための戦争」はあると明言する道を選んだ。それではブッシュと同じではないか?アフガンへの増派は本当に平和への道か?そもそも「テロとの闘い」という方針が正しかったのか?それをオバマは問い直すために大統領に選ばれたはずではなかったか?
イラクには大量破壊兵器は存在していなかった。これは米調査委員会の正式な結論だったはず。ブッシュ時代に出されたこの結論を尊重し、戦争を始めたことの正当性を問い直すべきではなかったのだろうか。
そのことと普天間問題は不可分の関係にある。アメリカの世界軍事戦略の中でアフガン攻撃が今でも軸であるからこそ、日本に攻撃部隊としての海兵隊を置くという戦略になるからだ。
普天間基地は古くアメリカにとっても使い難い基地だ。移設したいのは沖縄の人だけではなくアメリカでもある。アメリカに取って最適は、同じ沖縄にある辺野古だった。それを米兵による少女ひき逃げ事件に怒る沖縄の人々のエネルギーを巧みに利用して、辺野古移転を日本政府(当時の自民党の政権)に押し付けたものだ。
政権が変わった今、それを国家間の約束だからという理由だけで強引に押し通せないということは、民主主義の先進国であるアメリカなら重々承知のはずである。普天間県外(国外)移設という国民、沖縄県民の声を背景に違う政権が誕生したということはアメリカも尊重しなければならない。
年内結論を遅らせたことが大問題であるかのように報道するマスコミがあるが、全く無批判にアメリカの立場のプロパガンダを展開しているだけである。大問題とは何か。アメリカが核兵器でもぶち込んでくるとでもいうのか、日本国内でテロでもはじめるというのか?何かよくわからない「大問題」である。
むしろ日米の関係はもっと冷静なものにならなければならない。日本側は米軍基地が国内にあることのメリットとデメリットをきちんと比較検証し、どちらが国民にとって、また世界にとって良いのかを世界中がわかるように結論を出すべきである。
そのために、日本が独自にどれほどの「軍隊」を持たねばならないという結論になるのか、不要という結論になるのか。この議論を、親米派だけでなく平和派と称する人たちも真剣に行なうことを拒否して来たことが問題なのである。そのための思考を停止して戦後60有余年を生きて来られたことを良しとするならば、それを担保してくれた日米同盟は大いに役に立っていたというべきかもしれない。
財政規律の問題も軍事問題とは不可分に結びつく。予算のプライオリティをどういうルールで決めるのかという問題である。民主党のやり方を見ていると、どうやらこのルールがない。あの公約もこの公約も、あえて言うと大切なものもどうでも良いものも「同格」なのである。
今は未曾有の経済危機の最中にある。来春には景気の二番底が来るというのは多くの経済関係者が指摘していることでもある。デフレスパイラルと円高が同時に向かって来ている。製造業は中国とインドと東南アジアに逃げている。
輸出産業は頑張っても頑張っても円高で不利。それなのに多くの企業は、国内需要は縮小するのだからと輸出に活路を見出そうとしている。そして競争に勝つために、ますます賃金を切り詰め、人間を合理化(首切り)し、ますます国内需要を縮小し、自分で自分の首を絞めている。
円高で潤っているのは原料や素材を輸入に頼る電力会社や製鉄会社だ。強い円で石油や石炭を買いまくり円高差益を稼ぎ、柏崎刈羽原発の大半が事故停止しているにもかかわらず、東京電力は黒字との報道があった。電力に鉄、皮肉にも地球温暖化の最大の原因企業である。
日本のCO2排出の3分の1は電力会社、もう3分の1は鉄鋼などの製造業である。実は鳩山総理が本気で2020年に25%削減を実現しようと考えるのなら、この2分野で25%以上の削減ができる施策を実行しなければならない。円高差益をそのままにしていたら、この機にとどんどん石油と石炭を買い貯めて、ますますCO2を出しまくるだろう。
円高差益税でもかけて、来年度の深刻な税収不足を解消し、CO2の大幅削減も実現するという「解決策」がそこに転がっているのだが。
最後にタイトルのCOP15に触れて終わる。世界中の多くのNPOや途上国が幻滅をした国際会議だった。主要26カ国が同意した「協定」なるものに参加者が賛成ではなく「留意」するだけの確認で終わった。法的拘束力はなく、2012年からの京都議定書後の仕組みは何も作れなかった。このままであれば、温暖化は防げず、人類は終わるだろう。
しかし誰が抵抗勢力であるかは明確になった。中国とインドだ。その抵抗に巧妙に乗ったのがアメリカで、結局日本もEUも同じことをした。日本のマスコミは日本だけが25%削減という重い約束を背負わなくて済んでよかったという不思議なコメントをしている。地球温暖化で人類は終わるかもしれないという実感はおそらく全く持ち合わせていないのだろう。
この会議の失敗は主要先進国対中国とインドという図式の議論に終始したことにあると思われる。中国とインドはもはや途上国の代表ではない(CO2排出の1位と2位だ)のに、途上国代表のようにふるまわせている。むしろ途上国対中国とインドという図式での議論を開始するべきだった。
予定時間をとうに過ぎた深夜の全体会議で、太平洋の島国ツバルは、「世界の平均気温の上昇を2度に押さえるというだけでは、ツバルは海の中に沈んでしまう」と述べ、アフリカからの代表は「アフリカは燃えてしまえという結論に等しい」と語っていた。これに対し、中国やインドをきちんと対峙させることが重要である。そのためには、日本やEU、そしてアメリカは相応の25%削減どころではない目標とそれを実現するためのロードマップと施策を提示しなければならない。
それは簡単なことではないが、できないことではない。本当に人類が「終わる」かも知れないと悟ることができたならば・・・。
25%削減の具体的な中身が、少しも出て来ない。逆にこれまでかろうじてあった支援策は補正予算の縮減や事業仕分で縮小傾向にある。温暖化対策につながる(と思われる)排出量取引の仕組みも、環境省のJ-VER、経産省の国内クレジット、そして東京都条例のクレジットと、それぞれバラバラに立ち上がり相互に関連づけすらされていない。
自然エネルギーの電気を高値で買取る固定価格買取制度も、菅直人国家戦略室長がぶち上げたものの、そのタイムテーブルすら示されていない。つまり、いろいろバラ色のイメージは見え隠れしているが、本当のところ、そのバラの花束がいつ届くのか考えれば考えるほど不安が増すという状況なのだ。
自然エネルギーやその環境価値を取扱う職業としては、クライアントに対してこの状況をどう説明すべきか、どういう道のりが真実になるのか、本当に悩ましいのである。
この間、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞、普天間基地移設をめぐる大議論、そして2010年度予算をめぐる公約と財政規律の関係など、さまざまなテーマがあった。どれも、私としては放っておけないテーマである。
オバマ大統領は「平和のための戦争」はあると明言する道を選んだ。それではブッシュと同じではないか?アフガンへの増派は本当に平和への道か?そもそも「テロとの闘い」という方針が正しかったのか?それをオバマは問い直すために大統領に選ばれたはずではなかったか?
イラクには大量破壊兵器は存在していなかった。これは米調査委員会の正式な結論だったはず。ブッシュ時代に出されたこの結論を尊重し、戦争を始めたことの正当性を問い直すべきではなかったのだろうか。
そのことと普天間問題は不可分の関係にある。アメリカの世界軍事戦略の中でアフガン攻撃が今でも軸であるからこそ、日本に攻撃部隊としての海兵隊を置くという戦略になるからだ。
普天間基地は古くアメリカにとっても使い難い基地だ。移設したいのは沖縄の人だけではなくアメリカでもある。アメリカに取って最適は、同じ沖縄にある辺野古だった。それを米兵による少女ひき逃げ事件に怒る沖縄の人々のエネルギーを巧みに利用して、辺野古移転を日本政府(当時の自民党の政権)に押し付けたものだ。
政権が変わった今、それを国家間の約束だからという理由だけで強引に押し通せないということは、民主主義の先進国であるアメリカなら重々承知のはずである。普天間県外(国外)移設という国民、沖縄県民の声を背景に違う政権が誕生したということはアメリカも尊重しなければならない。
年内結論を遅らせたことが大問題であるかのように報道するマスコミがあるが、全く無批判にアメリカの立場のプロパガンダを展開しているだけである。大問題とは何か。アメリカが核兵器でもぶち込んでくるとでもいうのか、日本国内でテロでもはじめるというのか?何かよくわからない「大問題」である。
むしろ日米の関係はもっと冷静なものにならなければならない。日本側は米軍基地が国内にあることのメリットとデメリットをきちんと比較検証し、どちらが国民にとって、また世界にとって良いのかを世界中がわかるように結論を出すべきである。
そのために、日本が独自にどれほどの「軍隊」を持たねばならないという結論になるのか、不要という結論になるのか。この議論を、親米派だけでなく平和派と称する人たちも真剣に行なうことを拒否して来たことが問題なのである。そのための思考を停止して戦後60有余年を生きて来られたことを良しとするならば、それを担保してくれた日米同盟は大いに役に立っていたというべきかもしれない。
財政規律の問題も軍事問題とは不可分に結びつく。予算のプライオリティをどういうルールで決めるのかという問題である。民主党のやり方を見ていると、どうやらこのルールがない。あの公約もこの公約も、あえて言うと大切なものもどうでも良いものも「同格」なのである。
今は未曾有の経済危機の最中にある。来春には景気の二番底が来るというのは多くの経済関係者が指摘していることでもある。デフレスパイラルと円高が同時に向かって来ている。製造業は中国とインドと東南アジアに逃げている。
輸出産業は頑張っても頑張っても円高で不利。それなのに多くの企業は、国内需要は縮小するのだからと輸出に活路を見出そうとしている。そして競争に勝つために、ますます賃金を切り詰め、人間を合理化(首切り)し、ますます国内需要を縮小し、自分で自分の首を絞めている。
円高で潤っているのは原料や素材を輸入に頼る電力会社や製鉄会社だ。強い円で石油や石炭を買いまくり円高差益を稼ぎ、柏崎刈羽原発の大半が事故停止しているにもかかわらず、東京電力は黒字との報道があった。電力に鉄、皮肉にも地球温暖化の最大の原因企業である。
日本のCO2排出の3分の1は電力会社、もう3分の1は鉄鋼などの製造業である。実は鳩山総理が本気で2020年に25%削減を実現しようと考えるのなら、この2分野で25%以上の削減ができる施策を実行しなければならない。円高差益をそのままにしていたら、この機にとどんどん石油と石炭を買い貯めて、ますますCO2を出しまくるだろう。
円高差益税でもかけて、来年度の深刻な税収不足を解消し、CO2の大幅削減も実現するという「解決策」がそこに転がっているのだが。
最後にタイトルのCOP15に触れて終わる。世界中の多くのNPOや途上国が幻滅をした国際会議だった。主要26カ国が同意した「協定」なるものに参加者が賛成ではなく「留意」するだけの確認で終わった。法的拘束力はなく、2012年からの京都議定書後の仕組みは何も作れなかった。このままであれば、温暖化は防げず、人類は終わるだろう。
しかし誰が抵抗勢力であるかは明確になった。中国とインドだ。その抵抗に巧妙に乗ったのがアメリカで、結局日本もEUも同じことをした。日本のマスコミは日本だけが25%削減という重い約束を背負わなくて済んでよかったという不思議なコメントをしている。地球温暖化で人類は終わるかもしれないという実感はおそらく全く持ち合わせていないのだろう。
この会議の失敗は主要先進国対中国とインドという図式の議論に終始したことにあると思われる。中国とインドはもはや途上国の代表ではない(CO2排出の1位と2位だ)のに、途上国代表のようにふるまわせている。むしろ途上国対中国とインドという図式での議論を開始するべきだった。
予定時間をとうに過ぎた深夜の全体会議で、太平洋の島国ツバルは、「世界の平均気温の上昇を2度に押さえるというだけでは、ツバルは海の中に沈んでしまう」と述べ、アフリカからの代表は「アフリカは燃えてしまえという結論に等しい」と語っていた。これに対し、中国やインドをきちんと対峙させることが重要である。そのためには、日本やEU、そしてアメリカは相応の25%削減どころではない目標とそれを実現するためのロードマップと施策を提示しなければならない。
それは簡単なことではないが、できないことではない。本当に人類が「終わる」かも知れないと悟ることができたならば・・・。
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国債発行を44兆円以下に抑えることが
財政健全化の一つのメドと言うが、
その根拠はどこにあるのだろう?
借金返済への道筋を示さず、
44兆円に抑えれば、
責任を果した事になるのだろうか?
2009年度は、
相次ぐ景気対策に追込まれ、
53.5兆円の新規国債発行となった。
税収は36.9兆しか無い。
産業空洞化が加速度的に進む中、
財政出動を惜しめば、景気腰折れとなり、
来年度は更なる税収減となるだろう。
50兆円を超える新規国債発行を
4年も続けなければならない状態に追込まれたら、
日本はどうなってしまうのか…。
政府が今、行わなければならない事は、
無謀とも思える大規模な財政出動を行う事により、
過剰評価となっている“円”の価値を
強制的に落す事だ。
国債金利を抑え、円安に導く手段として、
日銀による大量の長期国債直接買取も有効だろう。
ただ、膨張する国債を押え込む為に、
来年度より、5年以上継続して消費税の増税に
取組まなければならない。
半期ごとの増税が可能なら、
旺盛な財政出動と駆込み需要の相乗効果で、
資本流動性が高まり、デフレも克服出来る。
毎年、決算期に駆込み需要が起これば、
期末の経済危機も、少しは緩和されるだろう。
円高に耐えうる社会に移行する為にも、
間接税中心の税体系に社会構造を
転換すべきだ。
景気回復という青い鳥を追い求め、
財政出動一辺倒の政策を続けた結果、
国債残高は1000兆円に迫る勢いで
積み上がってしまった。
利払いだけで、40兆にも満たない税収の
1/4を費やさなければならない。
2010年度は、新規国債・借換債の為に
140兆円以上の国債を発行しなければならない
状況に追込まれている。
政治は選挙に不利となる
消費税の増税論議から逃げ続けてきた。
選挙前であっても、
消費税の継続増税論議から
逃げてはいけない。
今、政治が逃げたら、国が壊れる…。
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今、日本は、発展途上国との
価格競争に巻き込まれている。
途上国は、製品に上乗せされてる
人件費や社会保障費、税金などのコストが、
日本と比べて圧倒的に低い。
日本企業も、国内生産に拘らず、海外生産に転換し、
外国製品を『 ブランド』という看板で隠して
売る方が利口だろう。
デフレ雄と言われる企業は、
このビジネスモデルをベースとして
利益を上げているケースが多いのかもしれない…。
当然の企業活動だが、これでは、
国内生産で循環していた資本・雇用・設備投資が、
丸々、国内から抜け出てしまう。
そう考えれば、国内産業空洞化が加速し、
雇用や所得減が進んでいる事も頷ける。
この構造を変えない限り、
財政出動一辺倒による政策だけでは、
短期的に景気浮揚しても、国の赤字が膨らむだけで、
デフレから脱する事は出来ない。
穴の開いたバケツに
水を注ぎ込むようなものだ。
政府は、対ドルで100円程度まで円安に誘導し、
少しでもコスト格差を縮め、消費税を中心とした
税体系へ移行に取組む必要が有る。
円高に耐えうる社会に移行する為にも、
間接税中心の税体系に社会構造を転換するべきだ。
5年以上、半期ごとの消費税増税が可能なら、
駆込み需要により資本流動性が高まり、
デフレも克服出来る。
毎年、決算期に駆込み需要が起これば、
期末の経済危機も、少しは緩和されるだろう。
一定の金額を毎年定額給付金として再分配すれば、
低所得者への負担も軽減出来る。
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