総選挙による民主党の圧勝から早くも2週間が経過した。選挙結果は、その全日に私が予測したとおりの劇的なものだった。公明党の全員落選まで当たってしまったのには、我ながらびっくり。小選挙区制の恐ろしさを、自民党も公明党も身をもって痛感したことであろう。
この2週間の間は民主党と社民党、国民新党の政権合意が成立するのかがいわば焦点だった。これも予想通り、社民党が粘った。日米関係の問題は社民党にとって鬼門である。かつて村山政権が「予想もせず」できてしまったときに、自衛隊を合憲とし日米安保を認めるという「変節」をいとも簡単に行なってしまった。しかも党内議論もなく。
当時の社民党(社会党だったか?)は、党内の意思が乱れることは恥ずかしいことという意識が強かった。今もその傾向は民主党、社民党両方に強く残っているが、自衛隊と日米関係について議論をはじめたら党内はまとまるはずがないという先入観念が強くあったのだろう。村山さんとその取り巻きで、一方的に決めて発表されてしまった。そのとき社民党の重要議員の政策秘書として現場にいた私の実感である。ほとんどの党員、スタッフがニュースで聞いてびっくりした。
今最もはやらないのは「一枚岩」という考え方。「多様性」が現実であり、それが反映し、それをまとめる能力が政策遂行能力と言える。まず多様であるということを見せなければ、まとめる力を誇示できない。マスコミはそれをいまだに間違えているらしく、民主党内の意識はバラバラとか三党の見解はまとまらず、というのが大変というように大げさに言う。それは当たり前でスタートラインである。
今回の合意、とくに日米関係に関する合意は良くできていると思う。詳細まで知らされているわけではないが、日米地位協定の見直しに着手することで合意、米軍基地のあり方についても見直しの方向で検討をはじめることで合意というような内容。何を具体的にするとは書かないが、これまでの米軍基地のあり方についての基本方針を変えるという舵に手をかけるということである。
当然アメリカ側は認めない。日米地位協定の要は年間5000億円を超える「思いやり予算」(米軍施設への人件費を含む維持費の無償提供)であろう。もちろん法的に、いまだ米兵犯罪への取り調べ権限すらないという「属国関係」の変更というような課題もある。アメリカにとって日本は、「ただ」で何万人も米軍関係者を、何気がねなく置いておける、天国のようなところなのだ。
基地による被害と、極度の緊張感の中で「凶悪」となっている米兵による犯罪と、そして何よりもベトナム戦争、イラク戦争、現在のアフガニスタン攻撃をはじめ、世界の紛争(アメリカが覇権のために引き起こした戦争)地への出撃拠点になっていることへの忌避が、沖縄をはじめ、首都圏、九州、中国地方などでの米軍への強い拒否反応として現れている。
アメリカは望まれる軍隊、喜ばれる軍隊でいたいはずだが、結果は嫌われる軍隊、畏怖される軍隊となっている。それがアメリカの戦略の失敗なのか、そもそも軍隊とはそういうものだということなのか、そこは意見も別れよう。アメリカがどういう軍事戦略をとろうと、それはいわば勝手である。しかし、いかに同盟関係を結んでいようと、その相手国の国民の意識を無視して軍隊を駐留し軍事拠点にするということは「民主主義国家」のすることではない、というのがアメリカの表向きの論理のはずだ。
同じことをロシアがやれば、もっと明確にはイランがやれば、アメリカがどういう手段に出るかを考えれば、この論理は明確であろう。それが日本にだけ通用しないというのはおかしい。
・・・というような、日本政府にとっては未知の日米交渉がこれからはじまる。相手がブッシュでなく、幸いにしてオバマであることが多少の救いかもしれない。
日米安保条約という不平等条約の対等な条約への変更、アジアの中国の目の前に軍事基地(出撃拠点)を置き続けることの国際関係上のマイナス、核軍縮の必要性などなど、日本がしっかりと主張するべきことは山のようにある。
新政権について語るべきテーマはまだまだある。
この次には、頑迷な財界が猛反対している地球温暖化対策、1990年比で温室効果ガス25%削減の「実現可能性」について示したい。
雇用、中小企業対策は、この温暖化問題と実は直結している。景気を浮揚するのも、低迷させるのも、ここにかかるだろう。
国民の生活の回復を重視し、内需に力点を置くという政策に私も賛成だが、マクロ経済政策がないという指摘もある。本当にそうだろうか。
新型インフルへの対策は新政権の内部からはあまり聞こえて来ない。自民党によってぐちゃぐちゃにされた年金問題も懸念だ。これに、さらにエネルギーをかけるのか、さっさと新制度に移行させるのか、私は後者がふさわしいと思うが、この担当者が誰になるのか、などなど、閣僚人事も含めてまだ政権の真価=能力が見えてくるのはこれからである。
楽しみでもあり、不安でもある。
この2週間の間は民主党と社民党、国民新党の政権合意が成立するのかがいわば焦点だった。これも予想通り、社民党が粘った。日米関係の問題は社民党にとって鬼門である。かつて村山政権が「予想もせず」できてしまったときに、自衛隊を合憲とし日米安保を認めるという「変節」をいとも簡単に行なってしまった。しかも党内議論もなく。
当時の社民党(社会党だったか?)は、党内の意思が乱れることは恥ずかしいことという意識が強かった。今もその傾向は民主党、社民党両方に強く残っているが、自衛隊と日米関係について議論をはじめたら党内はまとまるはずがないという先入観念が強くあったのだろう。村山さんとその取り巻きで、一方的に決めて発表されてしまった。そのとき社民党の重要議員の政策秘書として現場にいた私の実感である。ほとんどの党員、スタッフがニュースで聞いてびっくりした。
今最もはやらないのは「一枚岩」という考え方。「多様性」が現実であり、それが反映し、それをまとめる能力が政策遂行能力と言える。まず多様であるということを見せなければ、まとめる力を誇示できない。マスコミはそれをいまだに間違えているらしく、民主党内の意識はバラバラとか三党の見解はまとまらず、というのが大変というように大げさに言う。それは当たり前でスタートラインである。
今回の合意、とくに日米関係に関する合意は良くできていると思う。詳細まで知らされているわけではないが、日米地位協定の見直しに着手することで合意、米軍基地のあり方についても見直しの方向で検討をはじめることで合意というような内容。何を具体的にするとは書かないが、これまでの米軍基地のあり方についての基本方針を変えるという舵に手をかけるということである。
当然アメリカ側は認めない。日米地位協定の要は年間5000億円を超える「思いやり予算」(米軍施設への人件費を含む維持費の無償提供)であろう。もちろん法的に、いまだ米兵犯罪への取り調べ権限すらないという「属国関係」の変更というような課題もある。アメリカにとって日本は、「ただ」で何万人も米軍関係者を、何気がねなく置いておける、天国のようなところなのだ。
基地による被害と、極度の緊張感の中で「凶悪」となっている米兵による犯罪と、そして何よりもベトナム戦争、イラク戦争、現在のアフガニスタン攻撃をはじめ、世界の紛争(アメリカが覇権のために引き起こした戦争)地への出撃拠点になっていることへの忌避が、沖縄をはじめ、首都圏、九州、中国地方などでの米軍への強い拒否反応として現れている。
アメリカは望まれる軍隊、喜ばれる軍隊でいたいはずだが、結果は嫌われる軍隊、畏怖される軍隊となっている。それがアメリカの戦略の失敗なのか、そもそも軍隊とはそういうものだということなのか、そこは意見も別れよう。アメリカがどういう軍事戦略をとろうと、それはいわば勝手である。しかし、いかに同盟関係を結んでいようと、その相手国の国民の意識を無視して軍隊を駐留し軍事拠点にするということは「民主主義国家」のすることではない、というのがアメリカの表向きの論理のはずだ。
同じことをロシアがやれば、もっと明確にはイランがやれば、アメリカがどういう手段に出るかを考えれば、この論理は明確であろう。それが日本にだけ通用しないというのはおかしい。
・・・というような、日本政府にとっては未知の日米交渉がこれからはじまる。相手がブッシュでなく、幸いにしてオバマであることが多少の救いかもしれない。
日米安保条約という不平等条約の対等な条約への変更、アジアの中国の目の前に軍事基地(出撃拠点)を置き続けることの国際関係上のマイナス、核軍縮の必要性などなど、日本がしっかりと主張するべきことは山のようにある。
新政権について語るべきテーマはまだまだある。
この次には、頑迷な財界が猛反対している地球温暖化対策、1990年比で温室効果ガス25%削減の「実現可能性」について示したい。
雇用、中小企業対策は、この温暖化問題と実は直結している。景気を浮揚するのも、低迷させるのも、ここにかかるだろう。
国民の生活の回復を重視し、内需に力点を置くという政策に私も賛成だが、マクロ経済政策がないという指摘もある。本当にそうだろうか。
新型インフルへの対策は新政権の内部からはあまり聞こえて来ない。自民党によってぐちゃぐちゃにされた年金問題も懸念だ。これに、さらにエネルギーをかけるのか、さっさと新制度に移行させるのか、私は後者がふさわしいと思うが、この担当者が誰になるのか、などなど、閣僚人事も含めてまだ政権の真価=能力が見えてくるのはこれからである。
楽しみでもあり、不安でもある。
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