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『蜩ノ記』に続く葉室麟さんの作品です。
アマゾンの書籍紹介欄にはこんな風に記されています:
少年時代に梶与五郎の薫陶を受けた筒井恭平は、与五郎が
隣藩で殺害された事実を知り、真実を突き止めるため
鵜ノ島藩に潜入するが――。
人を愛すること、人が成長するということなど、人間に
とって大事なものを教えてくれる感動の長編時代小説。
この本は、時代小説ですが、推理小説でもあるという体裁です。
しかし恩師殺害の謎を追っていく中で、主人公がそれまで知らなかった
人と人との関わり、交わりを知り、そこから人間として大事なものを
学んでいくプロセスがこの本のテーマだと思いました。
そして最後の感動的な場面へと。
人間の価値、器の大小を知ることができます。
幼い頃、主人公 恭平が師である与五郎から諭された言葉:
「・・・それは相手を身分によって見ておるからだ。
身分などは生まれ合わせにすぎぬ。生まれ合わせに
よって、相手に頭を下げたり、居丈高になるなどと、
おのれを変えるのは恥ずべきことだ。」
与五郎の足跡を辿って行く中で、恭平は気づきました。
「われらに、生きていくために何を大切にしなければ
ならないかを教えてくださいました。それはひとの
心だ、と先生はお教えになったのです。私はそう
思います」
そして物語の中で何度も登場し、この本のタイトルにもなり、主題でも
ある
「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」
という与五郎の口癖だった言葉。
最後の感動的な場面を読み終えた時、その言葉の意味がしっかりと
伝わってきました。
葉室麟。大好きです。
もう次の作品を読み始めました。
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