簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

事業所単位の期間制限の延長手続き 2

2018年10月12日 | 事業所単位の期間制限の延長手続き
今回も「事業所単位の期間制限の延長手続き」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



この「事業所単位の期間制限」は、一定の手続きを行えば延長することが

出来ることは前回説明いたしました。



今回は、「労働者の過半数代表者」の選任方法について説明したいと

思います。



ちなみに「労働者の過半数代表者の選任方法」と記載していますが、

「事業所の労働者の過半数で組織する労働組合」がある場合は、

その労働組合に意見を聞かなければいけません。



「労働者の過半数代表者」の選任方法については、簡単です。



皆様の事業所でも労働者の方に残業をしてもらえるようにするために、

時間外労働の労使協定(いわゆる「36協定」)を締結されていると

思いますが、その方法と殆ど同じです。



事業所単位の期間制限の意見聴取を行うための労働者代表者の選任方法

で、気を付けなければいけないことは次の2つだけです。

 (1) 36協定締結の場合とは、事業所(場)の考え方が異なる

 (2) 改めて、労働者代表者を選任しなければいけない


ということです。



事業所単位の期間制限の延長手続きは、各事業所ごとに行わなければ

ならない
となっています。



では、その各事業所とは、ずばり、「雇用保険の適用事業所」ごとを指します。



例を挙げて説明すると





(例 1)

派遣先の会社が「大阪本社」と「兵庫支社」で構成されている会社の場合、

原則的にはそれぞれが、雇用保険の適用事業所になります。



この場合、それぞれが派遣法上も「事業所」と考えるので、もし、

「大阪本社」と「兵庫支社」にそれぞれ派遣労働者を受け入れている

場合は、「大阪本社」と「兵庫支社」それぞれで労働者代表者を選任し、

意見聴取を行わなければなりません。





(例 2)

例1と同じように、派遣先の会社が「大阪本社」と「兵庫支社」で構成

されている会社があったとします(それぞれで派遣労働者を受け入れ

ている)。



しかし、この会社は「兵庫支社」は、雇用保険の適用事業所となる

能力を有していないとして、管轄のハローワークに

「雇用保険の非該当承認」の手続きを申請して、ハローワークがその

申請を承認した場合、雇用保険の適用事業所としては、大阪本社だけ

となり、兵庫支社は大阪本社の傘下に入ることになります。

(つまり、雇用保険の適用事業所番号は大阪本社しかもっていない場合)



この場合は、事業所は、大阪本社と兵庫支社を合わせた法人全体が

1つの事業所と考えるので、過半数労働者の代表者は法人全体の

過半数労働者の代表者を選任しなければいけません。

(本社だけの過半数労働者の代表者ではダメです!)






また、今回の「事業所単位の期間制限の延長」に係る過半数労働者の

代表者の選任は、36協定などの代表者をそのまま据えるのではなく

改めて、「事業所単位の期間制限の延長」のための代表者の選任で

あることを通知した上で選任していただかなければならないことにも

ご注意ください(もちろん適正な手続きを取った上で、結果として

36協定の代表者と同じ場合は問題ありません)







http://haken-higashitani.com/





(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf




事業所単位の期間制限の延長手続き 1

2018年10月12日 | 事業所単位の期間制限の延長手続き
今回は「事業所単位の期間制限の延長手続き」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



この「事業所単位の期間制限」は、一定の手続きを行えば

延長することが出来ます。




ちなみに、「個人単位の期間制限」については延長することはできなので、

もし同じ派遣労働者を派遣先の同一の組織単位に3年を超えて

受け入れたい場合は、

 ・ 派遣元(派遣会社)でその派遣労働者を無期雇用に転換する

 ・ 派遣先で直接雇用する

の2いずれかの方法しかありません。





「事業所単位の期間制限の延長手続き」の流れは、

 (1) 労働者の過半数代表者を選任する

 (2) 労働者の過半数代表者に意見聴取を行うことを通知する

 (3) 労働者の過半数代表者に意見を聞く


※ここまでの流れを事業所単位の抵触日の1ヶ月前までに完了させる

 (4) 労働者の過半数代表者の意見を書面化して周知する(3年間)

 (5) 派遣元(派遣会社)に抵触日の変更通知を送る




(3)で、労働者の過半数代表者から異議が唱えられた場合


 (5) 労働者の過半数代表者に今後の対応方針を説明する(抵触日の前日までに)

 (6) (5)の対応方針の内容を書面化して周知する(3年間)




となります。







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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf



事業所単位の期間制限の起算日は?

2018年10月12日 | 事業所単位の期間制限
今回は「事業所単位の期間制限の起算日」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



この「事業所単位の期間制限」は、いつから起算するかと言うと、



平成27年9月30日以降、その事業所(雇用保険の適用事業所)で

「新たに派遣開始した日」または「派遣契約を更新した日」

のうち「一番最初の日」となります。




よく勘違いされるのは、平成27年10月1日以降と思われている方が

おられますが、あくまでも派遣法は平成27年9月30日に改正された

ので、平成27年9月30日以降となります。



また、これもよく勘違いされるのですが、平成27年9月30日時点で

派遣期間の途中であった場合、起算日は、平成27年9月30日だと思われて

いる方も多いのですが、あくまでも、「平成27年9月30日以降、

新たに派遣を開始した日または派遣契約を更新した日のうち、

一番最初の日」となります。



派遣契約を平成27年9月30日より前に行うか、後に行うかによっても

起算日は変わってきます。




派遣契約を締結した日が平成27年9月30日より前の日(つまり、9月29日以前)

の場合は、派遣法が改正される前の法律(旧法)が適用され、

平成27年9月30日より後の日(つまり、9月30日以降)の場合は、

派遣法が改正された後の法律(新法)が適用されます。



具体例を挙げると



具体例 (1)

  ・ 派遣契約は平成27年ごろから契約していた

  ・ 派遣期間は3ヶ月更新

  ・ 契約期間の更新は、以下の通りである

     平成27年10月1日~平成27年12月31日(契約締結日:平成27年9月15日

     平成28年1月1日~平成28年3月31日(契約締結日:平成27年12月15日)

  この場合、事業所単位の期間制限の起算日は、平成28年1月1日となり、

  事業所単位の抵触日は平成31年1月1日となる。

  ※ 理由:契約締結日が平成27年9月15日であるから、この契約分は旧法が適用され、

        平成27年12月15日契約分から新法が適用される



具体例 (2)

  ・ 派遣契約は平成27年ごろから契約していた

  ・ 派遣期間は3ヶ月更新

  ・ 契約期間の更新は、以下の通りである

     平成27年10月1日~平成27年12月31日(契約締結日:平成27年9月30日

     平成28年1月1日~平成28年3月31日(契約締結日:平成27年12月28日)

  この場合、事業所単位の期間制限の起算日は、平成27年10月1日となり、

  事業所単位の抵触日は平成30年10月1日となる

  ※ 理由:契約締結日が平成27年9月30日であるから、この契約分から新法が

        適用されるため







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(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf



期間制限のクーリング期間

2018年10月12日 | 事業所単位の期間制限
今回は「期間制限のクーリング期間」ついてご説明いたします。



平成27年9月30日に派遣法が改正されまして、それまでの

「業種ごとに派遣期間の制限を設ける制度」を撤廃して、

  ・ 「事業所単位の期間制限」

  ・ 「個人単位の期間制限」

の2つの制度が設けられました。



「事業所単位の期間制限」は、部署や派遣会社を問わず、事業所全体

で派遣労働者を受け入れられる期間が3年まで



「個人単位の期間制限」は、Aという派遣労働者が派遣先の

同じ部署(組織単位)で働ける期間が3年まで



という制度です。



この「事業所単位の期間制限」「個人単位の期間制限」の両方に、

いわゆる「クーリング期間」の考え方が設けられています




事業所単位の期間制限におけるクーリング期間は、その派遣先の

事業所(雇用保険の適用事業所)に、「有期雇用派遣労働者」を1人も

受け入れていない期間が「3ヶ月+1日以上」空いた場合は、

事業所単位の期間制限は一旦リセットされます。




「無期雇用派遣労働者」や「60歳以上の有期雇用派遣労働者」は、

期間制限の適用を受けないので、その派遣先の事業所に何人いようが、

関係なく、あくまでも「有期雇用派遣労働者」がその派遣先の事業所に

1人もいない状態が「3ヶ月+1日以上」続いた場合は、クーリング期間が

適用され、一旦、その派遣先の事業所単位の期間制限はリセットされます。



気を付けていただきたいのは、「事業所」とは、「雇用保険の適用事業所」を

指すので、例えば、全国に支店がある法人でも雇用保険の適用事業所番号が

1つしかない法人(各支店は雇用保険の非該当承認を受けている場合)は、

法人全体が1つの事業所となるので、法人全体で、1人も「有期雇用派遣労働者」

を受け入れていない状態が「3ヶ月+1日以上」空かないといけないことに

なります。




つまり、その派遣労働者を受け入れている支店だけが「3ヶ月+1日以上」

空けても、クーリング期間は適用されません。



ちなみに、先ほどから「3ヶ月+1日以上」という言い方をしていますが、

3ヶ月しか空いていいない場合は、クーリング期間は適用されません。



個人単位の期間制限におけるクーリング期間は、その派遣先の

事業所の組織単位(課や部など)に同じ派遣労働者を「3ヶ月+1日以上」

受け入れていない場合は個人単位の期間制限は一旦リセットされます。




個人単位の期間制限の場合も、「無期雇用派遣労働者」や

「60歳以上の有期雇用派遣労働者」は、期間制限の適用を受けないので、

それらの派遣労働者については、期間制限自体が発生しないので、

期間制限を気にせず派遣することができます。



ただし、労働者派遣事業関係業務取扱要領には、



派遣先は、派遣先の事業所等における業務について派遣元事業主から

3年間を超える期間継続して派遣を受けようとする場合において、

派遣可能期間の延長に係る手続を回避することを目的とし て、

当該労働者派遣の終了後3箇月が経過した後に、再度当該派遣労働者

の役務の提供を受けることは、趣旨に反するものであること。



と記載されており、派遣期間の延長を回避するため等を理由として

派遣労働者をわざと、3年未満しか受け入れ無いようにする行為

(クーリング期間を設けて再び同じ派遣労働者を派遣するような場合等)

は、脱法行為として指導の対象となる可能性があるので、

お気を付け下さい





http://haken-higashitani.com/






(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf