簡単で分かりやすい派遣の書類作成と運用方法

派遣事業における個別契約書などの関係書類の作成方法や期間制限の延長手続きなどの運営方法について分かりやすくお伝えします

就業条件明示書の書き方のポイント(中途解除に伴う雇用安定措置)

2018年11月20日 | 就業条件明示書
今回も、「就業条件明示書の書き方のポイント」について説明していきたいと思い

ます。



派遣法第34条では、就業条件明示書に記載しないといけない項目が規定されて

います。



その中の1つ、

「派遣労働者の新たな就業機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支

 払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置その他の労

 働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るため

 に必要な措置に関する事項」


の記載方法を説明いたします。



注意点としましては、この「労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働

者の雇用の安定を図るための措置」については、個別契約書に記載した「労働

者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るための

措置」の内容をそのまま記載してはいけません。




個別契約書は派遣元と派遣先との契約書であるので、派遣先の都合で派遣契

約を中途解除した場合は、派遣先も派遣元同様派遣労働者の雇用の安定を図

るために新たな派遣先を紹介するとか、それが出来ない場合は派遣元が派遣労

働者に支払った休業手当や解雇予告手当等について損害賠償する旨を記載し

ます。



しかし、就業条件明示書は、派遣元が派遣労働者に対して派遣就業の内容を示

すものなので、「労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の

安定を図るための措置」
についても、派遣労働者の責任以外で派遣契約を中途

解除した場合は、派遣元が派遣労働者に対して休業手当や解雇予告手当等を支

払う等労働基準法その他雇用主としての責任を果たす旨の記載をすればよく、派

遣先が派遣元に損害賠償する内容の記載までは必要ありません。



つまり、定めていただく内容としては、

 (1) 派遣元が派遣先と連携して派遣先の関連会社など新たな就業機会を確

    保すること

 (2) (1)が図れない場合は、派遣元は派遣労働者に対して休業手当、解雇

    予告手当等の支払いなど労働基準法及び関係法令等に規定された義務

    を果たすこと


を定めていただくことになります。



(1)の「派遣元が派遣先と連携して派遣先の関連会社など新たな就業機会を確

保する」
ことについては、派遣契約を中途解除された場合は、派遣労働者はその

後路頭に迷うことになりますので、派遣元はもとより派遣先も自分のところの関連

会社をあっせんする等派遣労働者の就業機会を確保するように努めますという内

容を記載します。



(2)の「(1)が図れない場合は、派遣元は派遣労働者に対して休業手当、解雇

予告手当等を支払うなど労働基準法及び関係法令上の義務を果たすこと」
につ

いては、(1)の就業機会の確保に努めたが見つからなかった場合で派遣元が派

遣労働者を休業させた場合は休業手当を、やむを得なく解雇した場合で解雇予

告手当を支払った場合は解雇予告手当を派遣元が派遣労働者に支払う等の労

働基準法及び関係法令上の責任を果たすという内容を記載します。



就業条件明示書の記載は、

 【労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図る

  ための措置】

   派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者

   の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われ

   た場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先か

   らその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主にお

   いて他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣

   労働者の新たな就業機会の確保を図ることとする。

   また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新た

   な就業機会の確保が出来ない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働

   者の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払いの労働基準

   法等に基づく責任を果たすこととする。

   さらに、やむを得ない事由にによりこれが出来ない場合において、当該派

   遣労働者を雇用しようとするときであっても、労働契約法の規定を遵守する

   ことはもとより、少なくとも30日前に予告することとし、30日前に予告しない

   ときは労働基準法第20条第1項に基づく解雇予告手当を支払うこと、休業

   させる場合には労働基準法第26条に基づく休業手当を支払うこと等、雇用

   主に係る労働基準法等の責任を負うこととする。


と記載していただければ結構です。










http://haken-higashitani.com/







(資料)
 厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(平成30年7月6日以降)」

 https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

 厚生労働省 「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000098917.pdf