
作者はフィリパ・ピアス。
ピアスといえば、「トムは真夜中の庭で」が有名ですが、
「川べのちいさなモグラ紳士」は彼女の晩年の作。
なんと、2004年、ピアスが84歳の時に出版されたものです。
(ピアスはその2年後、86歳で亡くなっています)
設定は完全なファンタジーなのですが、
人物造形や感情の動き、自然描写など、
さらりと描かれているのに、内容は実にリアル。
読者を作品世界に引き込む力は、一流だと思います。
ストーリーは、ひょんなことから魔法にかかってしまい、
不死となり、知性を持つことになってしまったモグラと、
生後まもなく母親に捨てられ、祖父母に育てられている少女が
出会い、友情を育て、そして別れてゆくまでを描いたもの。
300年という時の長さを生き抜いてきたモグラですが、
次第に明らかになる彼の唯一の望みというのが、
「当たり前の普通のモグラ」に戻ること。
少女の協力で、最後にその望みは叶うのですが、
それは同時に、二人の友情の終りを意味します。
少女が、モグラとの友情に応えて別れを決断するシーンや、
別れた後の描写には、胸に迫ってくるものがあります。
全体としては、かわいらしいお話なのに、
生きる意味なんてものまで考えさせられてしまうんです。

それで、久しぶりに「トムは真夜中の庭で」を読みたくなって、
葉流乃音の本棚に並べてあるのを引っ張り出してきました。
これまで何度か読んでいるはずなのに、細部などはすっかり忘れていて、
初めて読むような気分で、一気に読んでしまいました。
(歳をとって得だと思うことのひとつが、
同じ本を何度も新鮮な気持ちで楽しめること!笑)
最後にトムとハティおばあさんが抱き合うシーンがあるのですが、
物語の描写のすべてが、そのシーンに向かってゆく、
その感じがあまりにも見事で、“素敵”としか言いようがありません。
やっぱり名作は、何年経っても名作ですね!
ピアスが「トムは真夜中の庭で」を書いたのは、
1958年、38歳のときです。
同じ年、日本では東京タワーが竣工され、
はるのん1号・2号が生まれました(^^)/
いやぁ~児童文学って、ホントにいいもんですね!
ではまたお会いしましょう。
サヨナラサヨナラサヨナラ
はるのん1号
