花地蔵つれづれ日記

古美術、芸術全般、日々気になること。

「新型コロナウイルス」疲れ

2020-03-15 17:53:10 | アート 文化 古美術


少々「新型コロナウイルス」疲れです。人込みを避けて部屋にいることが多くなったので、気分がスッキリしません。
気分転換といえば、ドライブです。今日は、久々に陽気も良く、近くの海まで出かけました。
海岸には、家族連れや、波と遊んでいる子供、海を見ながら散歩しているカップルなど、ちらほらと見かけました。
潮風は、まだ少しひんやりとして、胸いっぱいに息を吸い込むと、肺が沁みるような感覚がありました。しかし、胸の中の空気を交換したようで気分が良かったです。
「新型コロナウイルス」が早く治まることを願っていますが、長い闘いを覚悟しなければならないようです。

https://hanajizou.com/


唐招提寺釘隠香合

2020-03-06 10:20:01 | アート 文化 古美術


天平時代の唐招提寺釘隠香合です。
天平(奈良)時代に建立された、唐招提寺金堂の古材を用いて造られた香合です。
「天平の甍」の呼び名で親しまれている、唐招提寺金堂(国宝・世界文化遺産登録)は、8世紀末に建立され、鎌倉、江戸、明治時代に大規模な修理がなされてきました。
本品の釘隠しは、修理の際、金堂内の釘隠しを取り替えられた際に出たものです。
朽ちかけた枯れた木に漆箔(漆を塗った上に金箔を押したもの)が残り、時代を経て黒味を帯びた古材と、厚手の金箔が美しいコントラストを描いています。
歴史の流れが刻み込まれた姿に、天平の仏像を見るような重厚さと風格を感じます。
その味わいは、仏教美術の愛好者ならずとも、人の心を鷲づかみする、 堪らない魅力を放っています。
天平時代の面影と香りを漂わせている見事な香合です。
貴重な逸品です。

https://hanajizou.com/

李朝刷毛目蕎麦手茶碗

2020-03-02 08:41:03 | アート 文化 古美術


李朝時代前期の刷毛目蕎麦手茶碗です。
「高麗茶碗・第一巻 中央公論社」に紹介されている 伝来 根津嘉一郎…根津美術館蔵の四十「刷毛目(蕎麦手)」と同手の茶碗です。
同著の作品解説にもあるように、器は、蕎麦と似た姿の茶碗ですが、土味、釉調は蕎麦と異なります。胴は抑揚をつけてゆるやかに立ち上がり、高台は小振りにおとなしく削り出され、高台内の削り込みは浅いです。内面見込みは平らに切りまわされ、その中に目跡が五つくっきりと残っています。内側には白い刷毛目がめぐらされ、内外に青磁釉がかなり厚くかかっています。同著に紹介されているもう一品の「刷毛目(蕎麦手)」の作品解説には「類例の極めて少ない珍しい作振りの内刷毛目茶碗である。」とあります。

伝世の茶碗ならではの、使い込まれた艶やかな潤いのある肌は、人の心を引き付けます。時代の経過を感じさせる味わいのある表情、勢いのある刷毛目跡も魅力的です。
茶碗を、使い、伝えて来た茶人たちの、茶碗を愛でる眼の優しさ、手の温もりまで伝わってくるようです。
「時が茶碗を作る」ということが実感できる美しい茶碗です。

https://hanajizou.com/

高麗青磁白黒象嵌水禽文盃

2020-02-25 06:12:47 | アート 文化 古美術


高麗時代中期の高麗青磁白黒象嵌水禽文盃です。
盃の外側には、菊花と牡丹が、内側には蓮の花と水禽の風景が、白黒象嵌により美しく表現されています。
盃に酒を浸すと、蓮の花の間に遊ぶ水鳥の表情が鮮明に浮かび上がり、童心に返れるような風景が盃の中に広がります。
花に囲まれ、水鳥が遊ぶ景色を眺めながら、愉快な気分でお酒をお楽しみ下さい。
穏やかな気分に浸れそうです。
高麗青磁の特徴のひとつでもある氷裂が、景色に深みを与えています。
少し反り加減の、丸みを帯びた口辺も口あたりが良く、お酒を滑らかに口に運びます。
心温まる表現の中にも、気品を感じさせる盃です。
※氷裂とは、釉の罅、つまり貫入が大きく、氷の裂け目のように感じられるものです。
これは欠陥ではなく,高麗青磁ならではの特徴とみなされています。
現代の陶芸家の中には,ひびのできる釉薬を意図的に使い、氷裂文を作りあげる人もいます。

https://hanajizou.com/

李朝紙縒漆塗八角盤

2020-02-07 10:08:27 | アート 文化 古美術


李朝時代後期の紙縒(こより)漆塗八角盤です。
紙縒(こより)を編んで、全体を漆で塗り固めた八角盤です。
紙と漆で制作されているので、軽く頑丈です。この軽快な感覚は、木製の盤では得られない魅力です。
制作に費やされた手間と時間を考えると、まさに「手の仕事」と呼ぶに相応しい凝りようです。民芸ファンならずとも、眺めているだけで嬉しくなってきます。
漆で固められた紙縒の表情が魅力的で、温かみのある独特の雰囲気を醸し出しています。落ち着いた黒の世界がシックです。
朝鮮特有の形と透かし文様も見所でしょう。
酒の席の膳として使用しても楽しいですが、花器の台として使えば、花も映えそうです。
和室にも調和しますが、あえてモダンな空間に置けば、インテリアの一部として、より雰囲気を演出してくれます。
※「用の美・下 柳宗悦コレクション─李朝と中国、西洋の美」世界文化社の中で、「かんじんよりを編み漆で固めた八隅盤である。この膳は多分民間の物ではなかったと思われる。礼式用であるが主として子供の初誕生の祝いに使用され、「トルサン」とも呼ばれる。この種の膳はこれからの世では当分生産されないと思う。堅実味をもつ愛すべき作である」と浅川巧は言う。と紹介されています。
祝いの時に、この膳の上に食物の外に男の子ならば筆、墨、銭、糸、本などをも添えて子供の前に起き、無心の子供が真先にそのいずれの品に手を触れるかを見て子供の将来を卜(ぼく)し祝福したようです。糸は朝鮮では、長寿を象徴します。
李朝文化の豊かさと奥深さを感じることができる美しい逸品です。

https://hanajizou.com/


李朝粉引耳盃

2020-01-30 09:48:41 | アート 文化 古美術


李朝時代前期の粉引耳盃です。
胎土は鉄分の多い黒土で、上から全体に白土で化粧がけが施されています。その白は、柔らかく、優しく、器全体を包み込んでいるようです。
さらにその上に掛けられた透明釉は高麗青磁の系譜を引き、そのつやつやした釉は、ほんのりと淡い青色を帯びています。
器表面に散在する孔(あな)からは、酒が浸み込み、長い年月を経て美しい雨漏の世界を描き出しています。
この器のフォルムと、そこに広がる雨漏の景色は、鑑賞陶器の視点で見ても人を魅了します。
その景色を愛でながら、お酒を楽しまれてはいかがでしょうか。
■雨漏りとは、陶磁器を長く使用している間に、気泡穴や、窯キズ、貫入、石ハゼ等から、茶渋・水・酒等の水分が浸み込み、
あたかも雨漏りのような染みの出た現象を言います。茶の世界では、このシミを天井板に出る雨漏りのシミに見立てて「雨漏」と呼び、
そこに侘びた風情を感じ取り賞玩しました。

https://hanajizou.com/

新羅金銅仏如来立像

2020-01-22 11:37:50 | アート 文化 古美術


統一新羅時代の金銅仏如来立像です。
一目見ただけで人の心を打つような仏像がありますが、この像もそうでした。
初めて見た時に、出来ることなら自分の手にしたいと思いました。
この像には、そんな、人を惹きつけてやまない魅力があります。
鍍金が、時代を経た、落ち着いた輝きを発し、心をときめかせます。
像の作行きも良く、威厳のある美しい顔立ちは、見つめているだけで満たされるものがあります。
また、凛として立つその佇まいは、堂々とした風格が感じられ、見事です。
衣文の動きにもダイナミックな力強さがあり、像全体に力がみなぎっています。
じっと眺めていると、像の陰影に、像が見て来た過ぎ去りし時代の情景が浮かび上がって来るようです。
幾多の時代、人々の心を支え、励まし、勇気を与えて来たのでしょう。大きく包み込むようなオーラを放つ、優品如来像です。

https://hanajizou.com/

おいしい骨董

2020-01-01 09:34:57 | アート 文化 古美術


新年おめでとうございます。花地蔵は、今年「おいしい骨董」をスローガンにしたいと思っています。
糸井重里さんが1982年に考案され、西武百貨店のキャッチコピーとして使用された名コピー「おいしい生活」をベースにしました。今の自分の骨董に対する気分を一番表している言葉だと思います。
古美術花地蔵は、2000年1月に開業し、今年で20年になります。「とにかく、自分が美しいと感じる品を扱いたい。」という思いで、今までやってきました。開業当初は、暗中模索、無我夢中でした。それは、今も変わりません。なんとかやって来られたのは、それを感じてくださったお客様の支えがあってのことだと感謝しています。
お客様が、美を堪能し、より生活を楽しめるように「おいしい」と感じて頂ける古美術品を提供していく。これを一番に考え活動していきたいと思います。今年も、よろしくお願いします。

https://hanajizou.com/

銅造毘沙門天立像

2019-12-26 05:51:24 | アート 文化 古美術


鎌倉時代の銅造毘沙門天立像です。
ダイナミックな動きのある力強い造形の像です。
引き締まった像容と、古銅の味わいは、鎌倉時代の仏像が持つ特徴を伝えています。
凛々しい表情からも分かるように、細部にまで神経の行き届いた造形は、小像ながら鑑賞するに充分な存在感を発しています。
見つめていると、古(いにしえ)の時代に仏像に厳しく向き合う仏師の心が、伝わってくるようです。
座辺に置いて眺めていれば、この像が発している力強さが、日々の心の支えになってくれるでしょう。

https://hanajizou.com/

絵志野向付・荒川豊蔵箱書

2019-12-12 06:19:01 | アート 文化 古美術


桃山時代の 絵志野向付・荒川豊蔵箱書です。
降り積もる淡雪のように白い釉薬が器全体を覆い、柚子の皮のような肌の表情(柚子肌)にも味わいがあります。また、所々に赤褐色の焦げ(火色)が現れ美しいです。
四面には、それぞれ異なった文様が鉄絵で生き生きと表現され、美の輝きを放っています。なかには世界的に活動している美術家、李 禹煥(リ・ウーファン)の線描を連想させるような文様もあり、驚かされます。志野の絵の醍醐味が味わえます。
趣きがある古志野の表情と、志野ならではの、おおらかな絵を楽しむ品です。気品ある志野の魅力が満喫できる器だと思います。
古志野が焼かれた窯が、瀬戸ではなく美濃であることを発見し、自身でも古志野の再現を目指して作陶を重ねたことで有名な荒川豊蔵氏の箱書があります。荒川豊蔵氏は「無田陶人」と号し、箱書には「無田陶人識」と書いてあります。

https://hanajizou.com/