歴史とドラマをめぐる冒険

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ただの歴史ファンです。

来年の大河「青天を衝け」の前半の内容を少しだけ予想する。渋沢栄一・徳川慶喜。

2020-12-17 | 青天を衝け
来年の大河は2月14日のスタートです。「麒麟がくる」の最終回が2月7日ですから、一週も空けずに連続的に放送するということです。「麒麟がくる」の総集編の放送はどうなるのかなと思います。
主人公は渋沢栄一で、吉沢亮さんです。前半は渋沢の青春期と、徳川15代将軍、徳川慶喜の生涯が「パラレル」に描かれるらしいのです。このページにNHKのPRが載っています。

少しだけ内容を「予想」してみたいと思います。ハンドブックとかは全く読んでいません。

1、渋沢栄一は坂本龍馬と「青春」が似ている。

彼はやがて「日本資本主義の創始者」みたいになっていきます。職は山ほどありますが、基本的には銀行の頭取です。その前は明治政府の役人。その前が徳川慶喜の家臣。その前は尊皇攘夷にかぶれた剣術好きの若者。その前は名主の息子です。農民といっても「富農」です。名主と言います。庄屋さんみたいなものです。

名主から出て、剣術をやり、尊皇攘夷にかぶれる。ここまでは坂本龍馬と同じ青春を送ります。正確には龍馬は郷士なのでちょっと違いますが。
龍馬は勝海舟と出会って攘夷を捨てた(でいいのかな)わけですが、渋沢はフランスに行って攘夷を見直します。水戸徳川の跡継ぎに従ってパリの万国博覧会に行きました。

2、なぜか徳川慶喜の家臣となって、幕臣になる。新選組とも多少は関わる。

尊皇攘夷運動をしようと、京都に行ったようです。しかしそれは1863年(明治は1868年から)で、京都の尊王攘夷派はこの時圧迫されていました。どうしようかと思ったら、一橋慶喜の家臣、平岡円四郎に拾われます。一橋慶喜は後の徳川慶喜で、この時は「将軍後見職」でした。その前は、井伊直弼の圧迫を受けていて、活躍するのはこの時あたりからです。やがて14代の徳川家茂が京都にて脚気で亡くなり、結局は徳川慶喜が15代、最後の将軍になります。渋沢はどこかで正式な家来となっていたようで、自動的に「幕臣」となります。主に一橋家の「経済」を担当していたようです。明治維新後は、明治政府からも出仕を希望されます。

一橋慶喜(徳川慶喜)さんは水戸徳川家の生まれです。「尊皇攘夷思想」の「卸問屋」である水戸学の藩です。慶喜自身はどこかの時点で(これから調べます)「攘夷」は捨てたと思います。「捨てた」というより「現実的にはとても無理だ」となったと思われます。しかしそれを宣言なぞはしません。開国的な政策をとった井伊直弼に直接文句を言って安政の大獄で謹慎になります。政治を行うようになってからも、攘夷の姿勢は「戦略上」保っていました。だから渋沢にとって尊皇攘夷総本山の水戸の慶喜の家来になるのは、さほど矛盾したことではなかったと思います。

脚本は大森美香さんで朝ドラ「あさが来た」を書いた方のようです。キャストに「渋沢の家族がずらっと」並んでいますから、「家族劇」の要素が強いのでしょう。ただ名主階級は農民と言っても読書階級で、十分に政治参加できる階級です。政治的描写を含みつつ、基本は「家族劇」として進行するのかなと思っています。要するに「朝ドラ的」かなと。

歴史的事件においては、「徳川慶喜」が主役的な役割を果たすのでしょう。演じるのは草彅剛さんです。渋沢は1840年の生まれで、慶喜は3つ年上です。23歳ごろまで、二人は出会わないか、出会っても「渋沢がたまたま見る」程度じゃないかと思います。

でもそうすると、いわゆる大河的な「見せ場」がなくなる。なくなってもいいのかも知れません。渋沢家をじっくり描いて引き付けていく可能性もあります。朝ドラだって、主役を含め、そんなに有名人はいないし、有名な事件も起きたりしません。まあ23歳ですから、渋沢は早々に大人になって、京都に行くという可能性も考えられます。ただ、それにしては「血洗島村」の人間が多くキャスティングされています。

やや「不自然だけど」、勝海舟にあったり、坂本龍馬(同じ千葉道場系)にあったり、桂小五郎とか西郷(江戸にいるはず)に会ったりするのかも知れません。(会ってるか否か、史実は調べていません)

でもそれはいかにも不自然かな。渋沢の成長と、徳川慶喜の成長が「二本立て」で描かれると考えたほうが良さそうです。徳川慶喜を私は評価しているのですが、「篤姫」でも「龍馬伝」でも、「西郷どん」でも、あまり魅力的には描かれませんでした。維新最大の功労者の一人かな、、、と思うわけで、もうちょっと好感度が上がる描き方をしてほしいかな、、と思います。