中学生の頃ザ・タイガースの大ファンだった私にとってはものすごく面白い本でした。
「ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた」
帯の写真も懐かしく
内容も当時の雑誌などの記事をふんだんに盛り込んで
あの時代を鮮やかに蘇らせてくれます。
あぁ、そうだった
あぁ、やっぱりそうだったのね
あぁ、そんなことがあったなんて…
知っていたこと、漠然と想像していたこと、全く思いもしなかったことが次々と。
当時はそんな呼び方はしなかったけど今でいうアイドルのような存在でいた
彼らの胸中は複雑で現実と折り合いをつけるのに苦悩し、解散へと至った道のり。
社会も反戦、ヒッピーと大きく変わり
海外では音楽を通して社会的は姿勢を示した人も多く出てきた時代。
そんなことを久しぶりに思い出させてくれた本でした。
そして著者の磯前順一さんが
「タイガースという同一性を経験してきた者は、六人のメンバーはもとより
同じ時代をともにしたファンもまた、それぞれが異なる体験の仕方であるにせよ
タイガースに出会う以前とは異なる自分へと、新しい自己へのあり方へ導かれていった」
と書いていらっしゃるように
今思うと私はタイガースをきっかけに R&B やロック
そしてアーティストたちの考え、生き方などを知り
大いに影響を受け、今に至っているのだなぁと痛感します。
そんな経験がなければきっと今、ゴスペルを歌っていることもないだろうし
音楽とのつき合い方もずいぶん違っているのだろうと思います。
あの時代とタイガースとティーンエージャーの私
人生には巧まずして自分を方向づけるようなそんな巡り合わせがあるものなんですね。