先日から熊本地震での経験を書き綴っています。
vol.1は
【りぼん】編でした。
vol.2は
【ラル】編でした。
想定外のことからペットを守るために
~熊本地震の体験からvol.3~
【マリーと琥珀】
前震の時、私でさえ生まれて初めて体験するあまりに大きな揺れにそれこそ動揺を隠せず
ずっとテーブルの下にいました。
前震と本震。
夜に起こったあの大きな揺れは、「揺れている」というような生やさしいものではなく、
悪意を持った何者かに「揺さぶられ続けている」というのが最中に感じていたことでした。
或いは、ドッキリとかの企画でもあるかのような。
なので、「もう、お願いします、ごめんなさい、堪忍してください」
誰へともなくそんな風に思っていたのでした。
自分達の中ではそれが一体どれくらいの時間だったのかも定かではありません。
揺らされているときは永遠に止まないんじゃないか、このまま家が崩れて死んでしまうかもしれない
とも思いました。
それでも落ち着いて今振り返ると、体感的には1分以上あったような気がします。
けど、実際はもっと短かったのかもしれません。
まぁそんな中、うさぎ達はと言いますと…
時計やカレンダー、温・湿度計、計量器、色んなものが落ちてきたり落ちていったりするわけです。
でも、そこはケージがちゃんと守ってくれます。
色んなものが倒れたり落ちてきたりする物音に最初はビックリして固まっていたうさずですが、
余震はガンガンに続くので途中から琥珀はもう慣れて普通に牧草食べてゴロゴロ出来るようになってきました。
マリーはやっぱり怖いんでしょう、足もダンダンやるし、何も食べないし。
でも朝方には余震の頻度と強さがおさまってきたので、マリーもその頃には牧草を少しずつ食べられるようになっていました。
なので私は中でうさぎ達といたり、外で家族や犬達といたりしていました。前震の時は、ね。
本震は真夜中。1時過ぎてでした。
その瞬間の私は、前震の影響もあり、夕方認知症の祖母が徘徊して行方不明になり探し回っていたことなどもあり、お風呂も入らずくたびれてソファでうたた寝していました。
でもこれがね、のちのち考えれば不幸中の幸いだったのです。
電気もつけっぱで寝ているところへまたしても突然の大きな揺れ。
耳元で鳴り響き始める携帯の地震アラーム(揺れより地震アラームの方が遅い)
うるさいのもあって、とりあえずその携帯を握り締め揺れがおさまるのを待つ。
昼間せっかく片付けた棚も家電も再び倒れたり落下してくる。
同じくつけっぱなしのテレビが地震を報じ、さらに今回は「津波警報」とも言っている。
「逃げないと!」本能的にそう思いました。
とは言ってもうちは高台で、避難所に指定されている場所は近くで高さも変わらない。
でも、そういう場所にいないと何かあっても救護や支援がされないだろう。そう思いました。
地震だけならうさぎは置いておく、でも津波がきたらケージの中では助からない。
うさぎは環境変化に弱いから連れて行っても逆に弱らせる可能性だってある。
そういうことだって、十分知ってるわかってる。でも…
「マリー達も連れて行く」家族にそう言いました。
「そう判断したならそれがいいと思う」家族はそう言いました。
私はパニくってわけがわからない状態だったけれど、とりあえずうさぎの避難の用意を
家族は犬や身の回りの物を用意をして車に積み込み、避難場所へ出かけました。
でも父母は行かないと言います。
祖母(認知症)がいるから行っても大変になるだけ。
幸い家はどうにか入れるし家の近くにいればトイレにだけ帰ることができるから、と。
確かに、その時避難場所で一度だけ仮設トイレに行きましたが行列で。
自分の番がいつ回ってくるかも読めないし(並んだ個室次第、人の大小の都合次第)
しかも真夜中、トイレの明かりは点いている秒数が決まっているようで途中で切れたりもします。
また使い方次第で詰まりやすいので、せっかく並んで「そろそろだ」という時に詰まってしまったり
紙切れだったりすると入れず並びなおしすることにもなります。
そんなところへ祖母を連れて行っても、確かにトイレに苦労したでしょう。
後からテレビやラジオで盛んに
「熱中症やエコノミークラス症候群予防のために、水分はしっかり取りましょう!
トイレが遠いからって飲まなかったりするとだめですよ」とかって聞くんですけど
トイレが遠いからというだけの話じゃなかったのですよね。
行列に並んでもいつ入れるかわからないという恐怖ってありますよね…
話が逸れましたが、そんな感じでラルとうさぎ達と妹と避難所の駐車場で一晩過ごしました。
避難所内に入るという選択肢は全くなかったです。
もしかしたらラルはギリギリOKかもしれなかったですが、うさぎ達をああいう空間に置くという考えはどうしても出来なくて…
なので朝を待って家へ帰りました。
この時うさぎたちは2匹まとめてキャリーに入れていました。
狭いけどキャリー2コ分を連れまわす大変さも、慣れない環境で別々に居させることもプラスではないという判断でそうしていました。
でも、少し落ち着いてくると「やっぱり狭いよねぇ」と思い始め、
部屋にもう1つのキャリーを取りに行きました。
そしてマリーと琥珀を分けて入れました。
その日、結局キャリーの中で過ごしていたけど琥珀はほぼ飲まない食べない。マリーはペレットを少し食べました。
キャリーを取って来たときに、うっ滞の時の薬やお灸も取ってきていましたが、今回は精神的なものだし
いつまでこういう生活が続くかわからないのだから慣れてもらうしかないもんなぁと考え、使ってはいませんでした。
(本当のうっ滞の時のために大事に残しておかないと、という意)
でも、また翌日になっても2匹は積極的に何も食べようとはしません。
水分も取れていないので、冷蔵庫を物色。
そしたらちょっとしなびて元気がないけど白菜が見つかったのでそれを入れました。
これにはマリーが喜び完食。でも琥珀は少し齧っただけ。
食欲はないものの、キャリーを開ければすり寄ってくるし、元気はあります。
でもやっぱり環境についていけてない。
考えた結果、やっぱり1つだけ琥珀の方のケージを運び出そうと思いました。
そして2匹入れてこうと。
実際それを実行し、一緒に入れたことでおそらく少しは安心したんだと思います。
いつものケージ(マリーは元々よく琥珀のケージに入っていたし)に2匹で居られて。
お互いに頭を舐めあっていつものように寄り添って。
それでも食欲はやっぱりあまりなくて、ちょっとずつ牧草を食べるくらい。水は減らない。
でも外で生活してますと、時期的に野草が沢山生えていることに気づきました。
ハコベ・オオバコ・タンポポ・ノゲシ・カラスノテッポウ、名前はわからないけどイネ科の色々。
それらを摘んであげると、これは大ヒット!
元々春にはそういうものをよく食べさせていたのもあって、大喜びで平らげました。
そこで少しだけ安心。全然食べらない状況は脱した。
朝方の肌寒い間は車中に置き、気温が上がり始めたら玄関のポーチへ。
午後からは日が当たるので玄関の内部に動かし…
夜になったらケージごと車に入れて…
そんなことをしていましたそんな中で
「熊本は今夜は冷え込みます、7℃まで下がる予想です」と天気予報が。
その日の日中も気温が上がらす13℃でした。
車のエンジンをかけたりしながら調整はしてましたが、うさぎのケージ内は13℃から上がらず…
どうしたものかと悩みました。
1匹じゃない分くっついて暖めあうことは出来ていると思うけど、寒いとマリーがお腹痛くなりやすい…
今夜を乗り切れば暖かい季節に向かう一方かもしれないけど、そうじゃないかもしれない。
でも今夜終わったとしても、いつまでこんな生活が続くかわからない中では
雨だってとっても暑いだって日だって出てくるだろう、そういう時どうするの、私
いや、でもだからといってどうすることも出来ないじゃない
自問自答・葛藤、そんな気持ちでいた私に1通のLINEが。
前出の福岡のYちゃんたちの2回目の来熊を知らせる内容で、ラルのフードのサンプル持って行きます!
他に必要なものは?
これで踏ん切りがつきました。
もう私にはどうもしてあげられないのだから、避難先を探して預かってもらうことがこの子達に今してあげられる最良の事だと。
環境が変わって可哀想?今だって十分いつもと環境が違うじゃない。
飼い主(私)いなくて可哀想?
イヤイヤ大丈夫!うさぎだって犬だって慣れたら環境に順応できる、他の人にだってちゃんと慣れる!!
そんなの今まで譲渡してきた子達が一番示してくれたじゃない。
別に捨てるわけではない、見限ったわけではない、安定して過ごして欲しいからの決断。
そう自分に言い聞かせて、ある方に連絡をしました。
どんなに思っても、離れて自分の目の届かないところへお願いするこの状況。
そんな中でも、出来れば何度かマリー達に会ったことがあって、うさぎの扱いにも生態にも精通していて、
連絡もきちんと取れて、3匹までは多頭の飼育経験もあって、
かつ「もし万一が起きたとしても、預けたことを後悔しない」相手。
そんな人に1人だけ心当たりがあったんです。
それが過去に叶子(かのこ)ちゃんの里親になっていただいた
福岡のKさんファミリー。
一家揃ってうさぎにベタ惚れで、物凄く愛して可愛がって下さるし、昔一時期、福岡
遺棄うさぎだった結ちゃんも預かっていただいてた実績もあるお宅。
奥様と娘さんは動物愛護にも熱心で、娘さんは将来獣医さんになってうさぎさんを治したいと言ってたほど。
残念ながらかのちゃんはもう亡くなってしまいましたが、その後もかのちゃん愛から他のうさぎさんを迎えられないでいますと聞いていました。
電話で事情をお伝えし、今日か明日からでも預かって頂く事は可能でしょうか?
しかも期間もいつまでとも言えないのですが…と言いました。
そのお答えが
「いいんですか?大事な2人(匹)をうちで?」と言ってくださり(笑)即決。
Yちゃんたちに「うさぎ達を福岡に運んでもれえないか」と相談したらこちらも快諾。
ホッとして力が抜けました。
これでもう大丈夫。
夕方遅くに無事受け渡し完了との連絡をもらいました。
Yちゃんたちの車には犬がいたはずで、そのワンたちと相乗りになってしまうので怯えてしまうかな?
というのが最大の心配ではありましたが、夜に届いた写真では
着いてすぐだったというのに部屋んぽ(この日は探検的な感じかな)を楽しむ2匹の姿が。
4日ぶりのお散歩だもんね、嬉しかったよね…
安堵と寂しさで胸が熱くなりましたが、これでようやく私も作業や仕事に集中できるようになりました。
今でも時々メールをいただきますが、快適な環境とご家族みんなからの愛情をかけてもらえて
落ち着いた顔で仲良く過ごせているようです。
Kさまご家族にもまた足を向けて寝られません。本当にありがとうございます。
これは提言ですが
【うさぎを愛しているならば、ケージで飼いましょう】
「うさぎをケージに閉じ込めるのは可哀想だから部屋で放し飼いをしてます」
そんなことを言う方がいます。
でもね、突然のこういった災害(特に起こる予測がつかない地震)の場合、
人間、自分のことで精一杯です。
瞬間的にうさぎをーとは思えないし、立っていられないくらいなのにうさぎを捕まえるどころじゃない。
うさぎだってそういう時は平静じゃないわけだし。
しかも同時に停電だってするんです。暗闇で探して捕まえられますか?
聞いた話では猫たちも一斉にどこかへ隠れるそう。
会社の方の猫はソファの下へ、妹の猫は下駄箱下に逃げ込んだらしい。
うさぎだってそう。
逃げたらなかなか捕まらないしその間に物が落ちてくる倒れてくる。
その状態を解決してくれるのがケージです。
それに場合によっては窓も割れます。そしたら外へ逃げ出す可能性だってあるはずです。
ケージであれば無事かどうかも一目瞭然だし、万一私のように誰かに預けることになった時、
(もしくは預け先もなくて避難所に避難したり動物預かり所に預ける時)普段ケージ飼いでなければ
うさぎにかかるストレスは計り知れないです。
地震後手元に置いている間、マリー達に部屋んぽさせてあげられないことでストレスだろうなと思っていましたが、
もし普段が放し飼いだったらその比ではないでしょう。
人生本当に「まさか」が起こります。
その時どうするか、どうできるか、想定を超えてきます。
なので、まさかの時にも少しでもうさぎ達が安心できるよう、
飼い方というものの本質を見つめなおしてみてください。
まぁでも、ぶっちゃけ言いますとね。
「うさぎは避難生活中は飼えない」
そう思っていただいて間違いないです。
どんなにエサをたらふく用意していても食べないし、エアコンの設定や(うさぎの)ヒーター設置が出来ない状況では
かなり厳しいです。
そして、そういう時は基本動物病院だって被災していてすぐ診てもらえるわけでもないかもしれない。
犬猫だったら他の病院でも何とかなる場合はあるけど、うさぎは診れる病院の絶対数が少ないわけですから。
なので1,2日くらいで戻れそうな状況でなければ、誰かに預けるということも念頭に置いて下さい。
そして日ごろからそういう信頼関係をどこかで構築できるようにSNSなどで人と接することも必要なのだと思います。
ただ、預ける時にはやっぱり最悪の場合もありえることを覚悟はしなければいけない。
預かった方を責めることはできないから、それだけ信頼できる先があると良いのですが…
そして、本来は。
私は、自分が「預かれます」という立場でいるつもりだったんです。
預かりボラや移送ボラをしようと日ごろから考えてはいたんですが、まさか逆の立場になるとは
正直思ってもみませんでいた。
これを読んでる方だってきっとそうでしょう?
今回熊本で地震があって、動物を「助けたい、手伝えることは?」って。
私もそう思っていたのに今回人を頼りにすることになって色々考えました。
自分が情けなかったし、何も出来ない無力感も相当ありました。
なので頼らねばならない時、非常事態の時に備えてどうあるべきかを日頃から考えておく必要があります。
6/12先日マリーと琥珀をお迎えに行き、一緒に暮らせています(6/15現在)
一緒に暮らせるというのは幸せなこと♡
次は地震の時に知ったこと。
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