広重の名所江戸百景には、あっと目を引く構図の絵があります。近景に大きく描かれたものが特別な存在感を持って迫ってくるからでしょう。そして、その切り取り方も大胆で、注意深く見ないと見落としてしまいそうなものもあります。深川萬年橋は、カメをぶら下げた手おけと、橋の欄干を枠に配した大胆な構図です。隅田川越しに富士山を望む小名木川(おなぎがわ)に架かる萬年橋の上からの風景です。まるでカメが眺めている風景のように思えます。実は、放生会に備えるために売られていたカメが描かれているのです。「鶴は千年、亀は万年」にちなみ、萬年橋でカメを売っていたようです。
30秒の心象風景29490・深川萬年橋~広重の名所江戸百景~
https://youtu.be/xADz5_Jd-vU