ハレノクニでワイン

11年間の島暮らしから、ワイン農家を目指して山暮らしへ。
グッドライフを探す旅と美味しいものを綴ります。

ワイン農家1年目の振り返り

2024-01-12 | ワイン農家

左から接木用小刀、芽切鋏、剪定鋏。

2023年の暮れ、家の大掃除も一段落した後に仕事で使う刃物を綺麗にして研いだ。

仕事納めの前日に包丁を研いでいた漁協時代と変わったような、変わっていないような。

 

 

そして、ワイン農家としての1年目だった2023年を振り返ってみる。

1月に個人事業主として開業届を提出。

ブドウの植え付けに向けて、約40aの広さの畑で支柱や誘引線の準備をする。

オフシーズンとなる時期なので、ワイン生産者との勉強会や交流をさせてもらった。

 

2月、修行先で初めての剪定を経験。挿木による苗の作り方も学ぶ。

3月は畑の木を伐採したり、ユンボで根を取ったり。

農業土木に精を出す。

4月になってようやく苗が芽吹き、畑仕事が動きだした。

GWくらいまで霜の心配がある吉備中央町の気候に合わせ、植え付けは5月11日から。

醸造は修行2年目がスタート。

5月はとにかく雨が多く、畑では病気に苦しめられた年だった。

6月からは接木を勉強して数をこなす。

他のワイン生産者さんのところへ苗の育て方を教わりに行って、そのやり方も試してみたり試行錯誤。

8月に入り、修行先では収穫の時期を迎える。

台風の被害は少なかったが、病気の影響でとにかく収量が厳しい年だった。

2月からずっと畑で手を動かしてきたことが実を結ぶわけではないという現実。

こりゃあ、なかなかだわ。

 

自分の畑では、346本の苗を植えたものの、理想の成長を見せたのは50本程度。

3つの畑それぞれの違いもあるけれど、水はけの改善や土壌改良にはだいぶ課題が有りそう。

 

しかしいろいろなご縁で昨年に比べて種類も量もかなり多くのワイン造りに携わることができた。

ブドウを絞って、それが発酵してワインができるという実にシンプルな営みの奥深さよ。

すべてを自分の手で手掛けるその日がますます楽しみになってきた。

 

その中で、8月に愛車の軽トラ「キャリイ」が他界。9月から新しい「キャリイ」さんと走り出しました。

今年はチェーンソーや刈払機など仕事用の機械への投資も結構しました。

国の新規就農者に対する補助事業に採択され、その資金を活用させてもらったので、

良いワインを造って納税するぞ!の意識もあらたに。

 

9月から11月までを駆け抜け、気がつけば12月。

畑ではブドウの葉も落ち、最後の草刈などして次のシーズンの準備へ。

2024年はご縁で畑をお借りできたのでさらに農地を拡大し、耕作面積は約1haに。

100m×100mの広さです。

だいたいサッカーコートの1.4個分くらい。

ここから5,000本くらいのワインを造ろうとしています。

 

まだまだこの物語は始まったばかり。

とりあえず、元気にやってます。

今年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


3tトラックとブドウのケーキ

2023-10-10 | ワイン農家

引き続き、ワインの醸造シーズンです。

上の写真はブドウを油圧式のプレス機で絞った後の、搾りかす。

フランスではケーキみたいだから「ガトー」と呼ぶんだとか。

このブドウは訳あって色づいていない緑のブドウも多く混じっていたため、

普段見ることのない鮮やかなモザイク模様になっています。

昨年までは無かったワインなので、一体どんな風に仕上がるのか、今からとても楽しみです。

そして、3トン車。

私、古いタイプの人間なので、運転免許に「中型(8tまで)」がついてるんです。

訳あって、この車を運転して神戸まで行ってきました。

しかも、1日に2往復。

今まで乗った車の中では断トツのサイズ。

全長650㎝、幅220㎝、高さ311㎝。

いつもの道が、細く見えます。

前日にyoutubeで大型トラック運転動画をみて予習しましたが、

ドキドキしながらのドライブとなりました。

乗ってみた感想としては、世の中のすべての大型トラック運転手を尊敬します。

また新しい世界を覗いてしまった。

 

そんなこんなで、2023醸造シーズン、もう少し続きます。

 

 

 


収穫と醸造 2023 

2023-09-24 | ワイン農家

9月に入り、ブドウの収穫と醸造はシーズン真っ盛り。

修行先のワイナリーは、一年間で最も忙しい時期を迎えている。

表題の写真はステンレスのタンクに入れた収穫したばかりのブドウ。

ブドウがタンクに反射して映る、何とも幻想的なこの景色が好きだ。

マスカット・オブ・アレキサンドリア。

カベルネ・ソーヴィニヨン。

岡山県の林ぶどう研究所さんが開発した新品種「りざん」。

 

修行先のワイナリーには醸造委託の依頼も多く、様々な品種に触れることができる。

畑を見て、ブドウを見て、ワインになるまで。今年で2シーズン目。

作業をしながら思い描くのは、数年後に迎える自分の畑の最初の収穫。そして、醸造。

様々な選択肢は有れど、最終的に選ぶ道は常に必然であるような気がしています。

 

昨年は見えなかった細部に宿る神を見つけながら、今シーズンも楽しんでいきます。

 

 

 

 

 

 


チップソー研磨機 ケンちゃんが仲間に加わった 

2023-08-18 | ワイン農家

草刈用のチップソーの刃を研ぐための道具、研磨機を購入した。

各メーカーの商品や少しでもお金をかけないアイデアなどを比較検討した結果、

津村鋼業製の「ケンちゃん」という商品を選んだ。

それにしても、素敵なデザイン。

なんで農家用の商品は駄洒落とか「~君」みたいな昭和の香りのするアイテムが多いのか。

まあ、嫌いじゃないですけど。

 

この商品は写真のようにチップソーをセットすれば、チップのすべての刃に対して

同じ角度で研磨が簡単にできます。

角度の設定も自在だし、グラインダーの当て具合も調節可能。

今までは電動ドリルにつけたダイヤモンドヤスリを使って研磨してましたが、やはりばらつきが出るのと

切れ味がすぐに落ちてしまう点が気になっていた。

2万円の投資で作業性アップと時短ができるので、これから先30年を考えるとこれは「買い」でした。

安いチップソーを何枚も買い替えることと比べると、こちらの方が性に合う。 

 

それにしても、なぜか「研ぐ」という行為が好きだ。

魚を扱っていた時代も包丁を研ぐ時間が癒しだった。

研げばその後の作業が楽になる。

そういえば、サラリーマン時代はアイロンがけと靴磨きが好きだった。

昔から「一生もの」が好きで、「使い捨て」が嫌い。

きっと両親と暮らす環境の中で培われた性格なのだろう。

特に父型の祖父から引き継いでいるような気がする。

さて、息子たちには引き継がれていくのだろうか。

 

盛夏をむかえ、ますますケンちゃんが活躍してくれることでしょう。

 

 

 


ブドウの収穫時期を決めるために糖度を測定する

2023-08-12 | ワイン農家

ワインを造る原料となるブドウをいつ収穫するか、その時期を決めるためにはブドウの糖度を一つの指標としています。

上の画像はその糖度計を覗いたところをスマホで撮影したもの。

こちらがその糖度計。

厳密な数値を求めることはできないけれど、とても手軽なのでこの時期は畑に持っていって測定しています。

はかり方は、まずブドウ畑の中から偏りが出ないようにブドウの粒を集めてきます。

畑の端か、真ん中か。南側か北側か、などの樹の位置だけでなく、葡萄の房の中の

どの位置にあるかなども考慮して選びます。

そして、手でつぶして得られた果汁を糖度計のプレパラートに乗せ、覗くだけ。

光の屈折を利用した測定方法です。

もちろん手で触った感触や、口に入れて種を嚙んだ時にわかる熟度などの情報から、

今後の天気の推移から想像される最適な時期を決定していきます。

 

その間、何度も糖度を測定し、もちろん実際に食べてもみます。

これが結構楽しい時間なんです。

ワイン用ブドウは食べても美味しくないと言ったことをたまに聞きますが、美味しいですよ♪

 

 

これから時期をずらしながら様々な品種が収穫期を迎えていきます。

どうか台風の被害にあいませんように。