ハレノクニでワイン

11年間の島暮らしから、ワイン農家を目指して山暮らしへ。
グッドライフを探す旅と美味しいものを綴ります。

一月ぶりの畑の様子 2024秋

2024-10-27 | ワイン農家

フランスから戻り、あっという間の1週間。

飛行機ではできるだけ寝ないで過ごすためか、今回も時差ボケは無し。

 

帰国翌日は、朝から伸び放題の草を刈るところから。

 

そして、フランスで買ってきた雨量計を畑に設置しました。

わが家は直線距離150mくらいのところにアメダスの観測場所があり、リアルタイムに近い雨量データをWEBサイトから入手できるのですが、近年の傾向である局所的な大雨はほんとに少し場所が違うだけで雨量が変わるので目で見て確かめる方式にしました。

それと、ブドウの葉っぱが虫にかなり食べられてました。。。

全体的な被害までには至ってませんが、気によっては完全に葉がなくなってしまっているケースもあります。

犯人は、こいつ。

ヨトウムシの仲間で、今年は各地で大量発生しているらしい。

さっそくテデトールで対処します。

ちなみに、テデトールはかなり原始的な害虫対策で、一枚ずつ葉っぱを見ては

虫がいたら手で取ります。

裏面には卵が産み付けられているのもたくさん見られました。

これも指の腹でゴシゴシしてとります。

 

まだ若木なので、1枚ずつの葉っぱが来年以降の栄養貯蔵のために大切なんです。

食べないでください。

 

 

そして、日本も修行先の醸造シーズンは終盤戦。

毎日のようにプレスや瓶詰をしています。

 

ひとまず11月の出荷作業まで、走り切ります。

 


帰国の日 day31

2024-10-22 | フランス2024

帰る日の朝の畑から。

雨が降りそうで、ギリギリもっている感じ。

心の中とシンクロする景色。

休みの日でも樽やタンクのチェックの為に毎日来ていたカーヴ。

 

樽に眠るワインたち。

今年みんなと収穫したブドウやプレスしたワインが入っているタンクたち。

もうこの景色も今日で見納めか。

最後に少しだけ掃除を。

もうこの使いにくい塵取りとホウキも見納めか。

 

11:00にワイナリーを出て、ANGERSのST LAUD駅まで送ってもらい、TGVで空港まで。

相変わらず駅の職員のユニホームカッコいいんだよな。

来るときは大荷物を置くスペースに困り、えらい目に合ったので帰りは1等客室を予約した。

昼の時間は空港行の直行がなく、24時間レースで有名なル・マンで乗り換え。

14:40に空港駅に到着した。

 

フランスの空港は出発の3時間前までには着いておいた方がいいと聞いていたのですが、

TGVの時間の関係で4時間40分もある!

さあ、ここを渡ったらもう空港。

その先は日本だ。

 

もう荷物入らないくらい重いし、何も買うもんないし。

とりあえずコーヒーでも飲もうかと思ったけど、空港はクソ高いので却下。

ANAのカウンターが空く出発3時間前をめがけて行くと、すでに長蛇の列。

さすが日本人たち・・・

 

たまたまお隣から荷物タグの付け方を尋ねられたので、日本からパリ観光に訪れたというご姉妹と話しながら待つ。

荷物はやはり重量オーバー。

45€が羽ばたいていった。

さっきのコーヒー飲まなくてよかった。

 

さっさと出国審査を済ませ、ゲート内へ。

ここではグッと我慢して、ビール1本に抑えました。

今度はお隣のフランス人の方とおしゃべり。

お仕事で東工大にいかれるとのこと。

ワインを造りに来たというと、そこからワイン談義になりお互いが飲んだワインの写真を見せ合ったり。

 

フライトは定刻の19:20発、12時間30分を経て羽田空港へ。

何事もなく日本に着き、なかなか荷物が出てこなくてパリの空港で出会った姉妹やフランスの方と目で会話。

そこから乗り継いで岡山空港へ。

ワイナリーを出発してから25時間後、無事に迎えに来てくれた家族に会えました。

少し見ない間に大きくなったように感じる息子たち。

妻の運転する車は当たり前のように左車線を走り、我が家へ。

 

 

ここまでで、フランス編はおわり。

めでたし、めでたし。

 

いろんな人に出会い、いろんなワインに出会った1か月。

ここからがまた、新たな人生のはじまり、はじまり。

 

 

 

 


The Last day30

2024-10-20 | フランス2024

最終日。

朝から畑に出て、収穫しなかったシュナン・ブランの中から良い葡萄だけを選んで収穫。

これは今まで作っていなかった新しいワインのテストのために。

つまり、未来のために。

そしてお昼はANGERSの街の人気レストラン「GRIBICHE」へ。

この日が最後になるので、送別会的な食事会を開いていただきました。

メインはこの日の為にシェフがスペシャルな料理を用意してくれているというので、

前菜だけを選びました。

仔牛の頭のグリビッシュソースにしました。

そしてこちらがスペシャルな一皿、ジビエのパイ包み焼。

写真では伝わり切れないボリューム感と、一口ごとに変わる味わいの奥行に感動。

最初はカットしない状態で持ってきて見せてくれたのですが、3つくらいのテーブルでシェアするのかなーと思ってました。

そしたら、まさかの4人分・・・

一目見て、絶対食べきれないと思ったのですがあまりに美味しくてお腹に入っちゃいました。

domaine le Clos des Plantesのシュナン・ブラン Wakapiripiri Mai。

以前飲んでおいしかった生産者で、白をみんな飲んだことが無かったので。

かなりミネラリーで酸もしっかり立っているシュナンらしいワイン。

MarulaのLes Gruches. 以前LUDOが働いていたところのワインで、メインの料理に合わせて。

食後にはお店でもこだわって品揃えしているシャルトリューズをくいっと。

 

舌もお腹も大満足になったところで、大きく移動してTROGLOBALトグロバルへ。

 

ここは今年来てくれた収穫人の多くが住んでいるコミュニティで、一言で言うと洞窟ハウス。

石灰質土壌を活かして昔から洞窟が良く掘られていたらしいこの土地で、

ヒッピー的な考えを持つ人々が棲みついて共生しているコミュニティだ。

実はLUDOもここに住んでいたことがあり、自由を尊重する彼らと価値観を共有しているからこそ

収穫作業が一緒にできたという側面があるため、ぜひ訪れてみたいと思っていた。

これはトグロバル20周年の時のイベントポスターで、当時住んでいたアーティストが描いたもの。

内部には30人ほどが住んでおり、図書館だって有る。

至る所にアートワークがあって楽しい。

日本人ならば犬神家の一族を思い出さずにはいられない場所。

電球マン的な人も気になった。

入り口には管理人的な役割を果たしているステンドグラス職人のアトリエが有ったり、

誰かが音楽を奏でてたり、とにかく自由な雰囲気。

最初は周囲の住人からも怪しまれていたようですが、時間をかけてここの価値観を理解してもらうよう

努めてきたおかげで地域との共生も今ではうまくいっているようです。

なんと、醸造所まであります。

これがその入り口。

内部にはプレス機やワイン用のタンクが並んでいますが、下は砂。

決して作業がやりやすそうとは言えない環境ながら、数人がここで醸造をしているとのこと。

先日畑に行ったカロリーヌさんや収穫人のニコもここでワインを造っています。

そして樽からいくつかのワインを試飲させてもらう。

フランスでは自宅用のワインなんかはこのガラス瓶で作るらしい。

そして、10月19日、フランスを去る週の土曜日にここトグロバルを会場にワインの試飲会があるらしい!!

有名な生産者やマルティニエールも参加するということで、すごく楽しそうだけど行けないのが残念。

 

ここ、トグロバルに暮らす収穫人の仲間とはブドウを摘みながら結構話ができたけど、

違いがあるからこそもっと深いところまでゆっくりと人生観について聞いてみたかった。

この経験が今後の出会いにも必ず生きてくる気がします。

そして最後、戻ってからお別れの1杯は日本のワインで。

まさしく感覚が揺さぶられるレベルのすごいワイン。

ボーペイサージュの「a hum」は多分「ア ウン」。

 

この1か月で出会ったすべての出会いに感謝。

さあ、明日は日本へ。


最後の休日 day29

2024-10-20 | フランス2024

この日は帰国前、最後の休日。

収穫人みんなの分で毎朝20杯分くらい用意していたコーヒーマシン。

自分の分だけだと戸惑う。

最初の頃は一杯分ずつスプーンで計量していたけど、いつからかドサッと目分量で淹れるようになった。

(フランス人は溢れるほど入れて、実際粉がコーヒーにあふれること多々あり)

 

この日は日曜日。

午前中だけやっているスーパーに行ってお土産の最終チェック。

からの、同じく午前中だけやっているブリサックという村でワインを買おうと足を延ばしたら、

まさかの臨時休業。

なので、ブリサック城散策。

門から望む城。

遠い。とにかく敷地が広大だ。

とてもカメラに全景が収まらない。

周りをうろうろしたものの、入場料を支払ってガッツリ散策するほどの元気も関心もなかったので

ほどほどにして帰路につく。

 

部屋に戻って荷物の整理をし、いつもどおりの晩御飯。

阿部さんがこの日もいろいろ作ってくれて、スペイン風オムレツ、タコとクレモンティーヌのサラダ、パテとパンなど。

こんな日もあと残り僅か。

だんだん寂しさが湧いてきた、ということは日々が充実している証でもある。

 

あと2日。


収穫マシーンとバイオトイレ day28

2024-10-14 | フランス2024

いよいよ最後の収穫の日。

車で30分ほど離れたLe Puy Notre Domeという村にあるカロリーヌさんの畑で、

カベルネフランを摘みに来た。

ベト病の被害が大きくて選果に時間がかかる。

ちょうど隣の畑は収穫マシーンを使っての作業中。

畑を見下ろす巨大なマシーンが背後にみえるだろうか。

離れていてもすごい大きな音で、スピーカーの音楽が聞こえない。

対照的な収穫方法はどちらが良くて、どちらが悪いというものでもない。

でも、自分だったら仲間と摘む方法を選びたい。

そもそもマシーンでの収穫を考えたこともなかったけど、世界的に見れば機械化が主流。

近くで見ることができて良かった。

お昼は畑にテーブルを出して、収穫ケースに座っていただきます。

昨年のカロリーヌさんの畑で獲れたぶどうで作ったワイン。

それと、以前同じ区画のブドウで作っていた生産者フランソワ・サン・ロさんのワイン「les Palennes」。

そして、今年摘んだブドウで作られるこれからのワイン。

飲み比べながらあーだこーだ、最高の時間。

 

この日はいろいろあって、全部片づけが終わったのは20時すぎ。

みんなクタクタ。

でも、この日は近くの村で音楽イベントがあるからとお誘いを受けていたのでみんなで繰り出してみた。

いつもは蜂蜜工場だという会場は、デコレーションが施されていてとてもそうとは思えない。

先日訪問したビールの醸造所を営んでいる方々と一緒にこのイベントを手掛けているそうで、

そこかしこにどこかでお会いした方々が。

老若男女、みないい具合にほぐれています。

というか、ガッツリ決まっている人が多い(-_-;)

ビールカウンターも大繁盛。

外にはガレットのフードトラックも来ていたり、ほんとに食が豊かだなと。

感動したのは、トイレがバイオトイレだったこと!

かっこいい。

 

 

結局帰宅したら24時を過ぎていて、さすがにこの日は寝落ちでした。