数年前に出会った発達障害の青年がいます。
大学一年で引きこもりになったことを親御さんに相談されて、シャンソンを教えていた青年です。
レッスンに誘った折、最初声も出なくて話そうとしても息だけを吐くという状態でしたが、私は「声は必ず出るようになるんだから焦ることはないのよ」と言った後に、「マイクの前で声を出してみようか」と言うと彼は素直にマイクの前に進むとそこにあったマイクを握りました。何の違和感もなく!
事前に楽譜、歌詞、私が吹き込んだ歌のテープも送っておきましたので、それを持って素直にマイクの前に立ち、ピアノに合わせて歌い始めました。
勿論、声は出ません。「大丈夫! やってるうちに出るようになるんだから、続けよう!」と言ってるうちに4回目に入った時です。
ピアニストが「声が出てます!!」と叫びました。勿論、私だって聴いてるわよ!と言葉にならない感動で体中が震えていました。
数年間、ご両親とも話さなかった彼が歌ったのです。その時の感動は今でも忘れることはありません。きっとピアニストも同じ思いでいるはずです。
この話の続きは次回にまた!1