梅雨が上がったら、途端にせみ時雨がうるさいほどです。
8月15日の終戦の日もそうでした。もっとジリジリと陽射しが強烈だったように思います。
玉音放送があるので、全員心して聞くようにとの町内会長からの伝達です。
どう心すればいいのか、家族全員、何となく緊張しながら正座をしてラジオの前に並びました。
かなり待って、その玉音放送は始まりました。
ラジオがジージー、ガーガー、と雑音を発しながらの合間を縫って、天皇陛下のお言葉が聞こえてくるのですが、12歳の少女には充分に理解することは困難でした。
確かに伝わったのは、陛下の緊張と寂しげな響きだけでした。
後で、日本が戦争に負けたという、あるまじき連絡が町内全戸に回って来たのです。
少女の頭の中で、得体の知れない物体がぐるぐると回り始めました。
世界一強い日本がどうして? 鬼畜米英(獣同然の卑しい国)にどうして負けるの?
でも、敵機が日本の上空を我が物顔に飛び、警戒警報と空襲警報の日々の連鎖、長崎と広島に原子爆弾が落ち、食料や物資の不足がギリギリの状態になっていたのを、認める理性も持ち合わせていました。受け入れざるを得ない現実でした。
その夕方、五右衛門風呂を沸かすために薪を放り入れるとき、部屋から持ち出した何冊かのアルバムのページを引きちぎりながら、薪とともに燃やしてしまいました。
その多くが、凛々しい軍服姿の父の写真だったからです。
止めどもなく流れた涙を今でも覚えています。
ですから、それ以前の我が家の家族写真はなかった筈です。
8月15日の終戦の日もそうでした。もっとジリジリと陽射しが強烈だったように思います。
玉音放送があるので、全員心して聞くようにとの町内会長からの伝達です。
どう心すればいいのか、家族全員、何となく緊張しながら正座をしてラジオの前に並びました。
かなり待って、その玉音放送は始まりました。
ラジオがジージー、ガーガー、と雑音を発しながらの合間を縫って、天皇陛下のお言葉が聞こえてくるのですが、12歳の少女には充分に理解することは困難でした。
確かに伝わったのは、陛下の緊張と寂しげな響きだけでした。
後で、日本が戦争に負けたという、あるまじき連絡が町内全戸に回って来たのです。
少女の頭の中で、得体の知れない物体がぐるぐると回り始めました。
世界一強い日本がどうして? 鬼畜米英(獣同然の卑しい国)にどうして負けるの?
でも、敵機が日本の上空を我が物顔に飛び、警戒警報と空襲警報の日々の連鎖、長崎と広島に原子爆弾が落ち、食料や物資の不足がギリギリの状態になっていたのを、認める理性も持ち合わせていました。受け入れざるを得ない現実でした。
その夕方、五右衛門風呂を沸かすために薪を放り入れるとき、部屋から持ち出した何冊かのアルバムのページを引きちぎりながら、薪とともに燃やしてしまいました。
その多くが、凛々しい軍服姿の父の写真だったからです。
止めどもなく流れた涙を今でも覚えています。
ですから、それ以前の我が家の家族写真はなかった筈です。