息切れ、動悸に要注意! 脳梗塞を起こす不整脈
「心房細動」を医療ジャーナリストが解説
心房細動は、不整脈の一種です。この病気が怖いのは、
自覚症状がないまま脳梗塞など他の病気を引き起こす可能性があること。
健康診断などでも見つかりにくく、セルフチェックが大切に。
早期発見のためにできることとは?
取材・文=増田美加(女性医療ジャーナリスト) 『婦人画報』2022年月10月号
高血圧の人は要注意!心房細動の発症リスクは1.6倍(※1)
心房細動(しんぼうさいどう)とは、心臓内の心房と呼ばれる部屋が
小刻みに震えることによって起こる不整脈のことです。
特に心房細動から起きる脳梗塞は命に関わることが多く、
一命を取り留めても麻痺や寝たきりなど重い後遺症をもたらす可能性があります。
心房細動が怖いのは、自覚症状がないまま脳梗塞を引き起こすこと。
動悸、息切れ、めまい、疲れやすさなどの症状が表れることもありますが、
すぐ治まることが多く、4割近くの患者で自覚症状が全くないといわれています(※2)。
しかも、自覚症状の有無で脳梗塞のリスク、死亡率に差はないとされているのです。
特に注意したいのは、高血圧の人。心房細動のリスク、脳梗塞のリスクが高いのです。
出典
※1 Cappato R, et al. Circulation 2005; 111:1100-5
※2 Senoo K, et al. Circ J. 2012;76(4):1020-1023
心房細動によって心不全、脳梗塞、認知症のリスク増!
心房細動では血栓ができやすくなり、血栓が血流によって脳に運ばれ血管に詰まり、
脳梗塞の発症リスクが高まります。
ほかにも心不全、認知症のリスクも増加するといわれています。
加齢とともに増え、2020年の日本の推定患者数は100万人(※3)。
高齢化に伴い、今後さらに増加していくと考えられます。
早期発見が非常に重要ですが、心房細動は発作的に起こることが多いため、
健康診断などの機会に必ず見つかるとは限りません。
そのため早期発見するには、息切れ、動悸などの自覚症状を軽視せずに、
かかりつけ医などに相談することが大切です。特に婦人画報世代は、
更年期の症状と思って見逃さないようにしたいもの。
自分で脈をまめにチェックすることも大切です。
手首に指を当てて、脈を調べる"検脈"は、
いつでもどこでも手軽にできるチェック法です。
もし脈が不規則になっていると感じたら、
心房細動などの不整脈の可能性があるため、早めに受診しましょう。
今後は、家庭で簡単に心電図を記録できる家庭用心電計や、
心電図記録機能が搭載されたデバイスなどの普及が望まれています。
出典 ※3 Ohsawa M, et al, : J Epidemiol 2005 :15 : 194-196
《Column》自宅での血圧測定と脈チェックで心房細動の早期発見へ
心房細動は、早期治療によって完治する可能性が高まるといわれています。
治療には発症時に記録した心電図が必要ですが、
心房細動の症状はいつ発生するかわからず、
症状を感じてもすぐに治まることが多いため、
症状を感じているときの心電図を記録することが困難でした。
このたび、不整脈や動悸などの症状を感じたら自分で
心電図を記録することができる携帯型心電計が発売。
心電図波形、心拍数、解析結果が画面表示され、記録した心電図を医師と共有。
心房細動の早期発見、治療のサポートが期待できます。
心電図波形や解析して表示されるメッセージは自己判断せず医師に相談を。
医師の判読で、心房細動とそれ以外のさまざまな不整脈の確認が可能です。
〈写真〉医療関係者の指示で購入できる特定保守管理医療機器。
両手人差し指と中指を本体表面の電極に触れて記録する1誘導心電図と、
本体表面の電極に親指を当てながら左足の肌と
本体裏面の電極を密着させて記録する6誘導心電図。
オムロン 携帯型心電計 HCG-8060T オープン価格
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