ロシア側チェチェン部隊 “勇敢な戦闘”演出?
「自作自演」か・・・“違和感”の映像公開
【羽鳥慎一 モーニングショー】
(2022年3月31日)
停戦交渉が進展していると言われているなかでも、
ロシアによるウクライナへの侵攻は、依然として続いています。
こうしたなか、ロシア軍に加わっているチェチェン部隊が
激しい戦闘を自作自演したとみられる映像を、
ウクライナ軍が公開しました。
■チェチェン部隊 “勇敢な戦闘”演出?
マリウポリ市役所がSNSで公開した映像。ロシア側チェチェン部隊の“戦闘の様子”だといいます。 兵士が建物の壁で隠れながら銃を発砲するなか、画面左側から戦車が現れます。車両には、ロシア軍のウクライナ侵攻のシンボル「Z」マークが確認できます。
戦車のそばには、姿を隠すように身をかがめながら並走する兵士たちの姿も映っています。 兵士たちが進むその先には、焼け焦げたような建物があります。建物の方向に、銃撃を続ける兵士たち。戦車も建物の方向に砲撃しています。
一見、激しい戦闘が行われているように見えますが、ウクライナの大手新聞社は、この映像はロシア側による自作自演ではないかと指摘しています。 本当に戦闘が行われているとは思えない違和感が、映像にあるといいます。
■映像に“違和感”・・・「自作自演」か
チェチェン部隊は、建物側に向かって銃撃戦を行っていますが、反撃を受けているように見えません。映像を確認してみると、建物には人影がありません。新聞社は、彼らは空きアパートと戦っていると指摘します。
さらに、映像を撮影しているカメラマンの違和感も指摘。映像の至る所で、カメラマンがロシア側兵士のすぐそばにいることが分かります。戦場にもかかわらず、身を隠さずに近くで撮影できるのは、空きアパートからの反撃がないと分かっているためだといいます。ウクライナの大手新聞社は、ロシア側が勇敢さを演出しようとして失敗したと報じました。
ロシア側は、他にも・・・。ロシア国営テレビが、マリウポリに入った新ロシア派の民兵に密着したという映像です。民間人を救う存在として、プロパガンダが行われています。「ウクライナ軍の攻撃で、上の階や屋上が炎に包まれます。ドネツクの兵士は高齢者を救出し、避難所へ送ります」
■ロシア軍“軍事活動縮小”表明も・・・
矢継ぎ早に放たれる砲弾。ウクライナ東部のドネツクで、中国メディアが親ロシア派の最前線を撮影した映像です。砲撃の瞬間、上下に揺れる戦車。衝撃の大きさを物語っています。そのドネツクでは、ロシア軍の激しい攻撃が続いています。灰をかぶって、ペシャンコになった車。砲撃を受けた建物では、はしご車を使った救出作業が行なわれていました。
住民:「爆発音がして、窓が飛び出しました。何が起こったのか、分かりませんでした」 多くの部屋の窓は割れ、砲撃が直撃したと思われる最上階部分は、跡形もなく砕け散っています。よく見ると、まだ煙が上がっていて、消防隊による放水が行われていました。
■キエフ周辺に“複数砲撃”続く
29日に行なわれた停戦協議で、ロシア側は首都キエフやチェルニヒウでの軍事活動を大幅に縮小すると表明しました。しかし、砲撃はまだ続いています。被害を受けたのは、キエフ近郊の倉庫です。燃え盛る炎に放水し、消火活動に奔走する隊員の姿がありました。
キエフ市内にも、何度も爆発音が響き渡りました。また、チェルニヒウでも砲撃があり、辺り一面、焼け焦げています。
チェルニヒウ州知事:「きのう、ロシアは、チェルニヒフ、キエフへの侵攻を減らすと公言しました。それを信じているか?信じているわけない」
ゼレンスキー大統領やバイデン大統領は、ロシアの主張に懐疑的です。
■“奪還の街”人の気配なく・・・
一方、攻撃を受けボロボロとなった車や、なぎ倒された木々が横たわる道路。ウクライナ軍が先日、奪還を発表したキエフ近郊の街・イルピンの様子です。連日、ロシア軍の激しい攻撃にさらされていたイルピン。ウクライナ軍が奪還した直後の街は、人の気配もなく、まさに「ゴーストタウン」と化していました。
会見を行なったイルピンの市長は、「まだ街は安全ではない」と話しました。
オレクサンドル・マルクシン市長:「いつ弾が飛んでくるか分からない状況で、復元を始めるのは危険です。今はまだ、砲撃が繰り返され、安全ではありません」
■破壊された橋の下に・・・子どもたち
3週間前、多くの住民が戦禍から逃れるために渡っていた、破壊された橋の下には、子どもたちが身を寄せ合って避難していました。そのすぐ近くで、大きな爆発が数回、起きていました。
■破壊された州庁舎・・・増える死者数
29日、ウクライナ南部のミコライウで、ミサイル攻撃を受け、破壊された州庁舎では、現場で重機ががれきを動かし、火花を散らしながら、コンクリートを取り除いています。
爆撃の翌日も、懸命の救出作業が行なわれていました。建物の中では、スコップなど手作業で、がれきを取り除いています。死者の数は15人に増え、現在も捜索は続いているといいます。
■マリウポリ 街の9割が破壊・・・
CGTN特派員:「マリウポリの劇場近くにいます。銃撃戦の音が聞こえます」 これは、中国国営の国際放送の映像です。
CGTN特派員:「ドローンを飛ばしてみましょう。銃撃や砲撃が続いています」 子どもを含む、数百人が避難していた所へ、ロシア軍が空爆した劇場です。街の9割が破壊されるなど、壊滅的な被害を受けたマリウポリ。市民およそ5000人が死亡したとされ、今も16万人が取り残されているといいます。
侵攻が始まる前の衛星写真では、建物が並び、人が生活している街であることを感じられますが、現在は、辺り一面が焼け野原のような光景になりました。ロシア軍による攻撃のすさまじさがうかがえます。
写真では、水や食料が著しく不足しているためか、市民がスーパーマーケットに並ぶ、長蛇の列が確認できます。
住民:「残った食料品も見て下さい。私たちは8人で住んでいます。ジャガイモは2箱とタマネギは1箱しかないです。私たちには、本当に良い人生がありました。今は、私たちには何もないです。ほら、見てみて。私たちは、ホームレスになった。ただのホームレスです。すべて壊されて、行く場所もないです」
■ゼレンスキー氏「ロシアの話は信じない」
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、アメリカの バイデン大統領と電話会談を行い、31日午前5時45分ごろにフェイスブックに動画を公開しました。
ゼレンスキー大統領:「現在は、(東部の)ドンバス地方で再度攻撃するために、ロシア戦力が拡大しています。私たちは、そのために準備しています。ロシアの話は信じていません。領土を奪い返すために、戦います」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年3月31日放送分より)
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