地下室に手足縛られバラバラに切断された子ども
ロシア軍は遺体に地雷設置か
2日、首都キーウ郊外のブチャで、地雷などが残されていないかを調べるウクライナ軍の兵士(AP)
ウクライナに侵攻しているロシア軍の地上部隊が、首都キーウ(キエフ)近郊ブチャで多数の民間人を殺害していた疑いが、現地入りしたウクライナ軍や報道機関の指摘で浮上した。
他の都市でも露軍部隊による民間人殺害や暴行が報告されており、ブチャの惨状は氷山の一角とみられる。 【動画】ウクライナ奪還の街、無残な焼け跡に人影まばら
キーウ近郊の村で2日前に行われた戦闘によって破壊された戦車のそばを走る犬(2日、AP)
2日、ブチャに入ったAFP通信の記者は、
「静かな並木道に、見渡す限り遺体が散乱していた」と表現した。
記者が確認した約20人の遺体は、いずれもジーンズやスニーカーなどを身に着けており、軍人には見えない服装だったという。
遺体は露軍の激しい攻撃で廃虚と化した市内各地に点在している。英紙サンデー・タイムズは2日、ブチャの民家の地下室で、両手両足を縛られた子どもを含む男女18人の遺体が見つかったと報じた。遺体はバラバラに切断されていたという。
犠牲者の多くは18~60歳の男性だとの情報もある。
撤退決定を受けて露軍が組織的に住民を殺害したとも考えられる。露軍部隊が遺体や民家に地雷を仕掛けているとされ、民間人被害の全容把握には時間がかかりそうだ。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3日、
米CBSニュースのインタビューで、「ジェノサイド
(集団殺害)だ。ウクライナの国と国民全体を抹殺しよう
としている」と強く非難した。
英国のエリザベス・トラス外相は3日、
「無実の市民への無差別攻撃は戦争犯罪として
調査されなければならない」との声明を発表した。
ウクライナのイリナ・ベレシュチュク副首相は3日、
露軍が占拠していたキーウ近郊の村長が拉致、殺害されていた
ことが露軍の撤退後に明らかになったと述べた。
ロシアへの協力を拒否したためとみられる。
露軍兵士の統率の乱れも犯罪行為に拍車をかけているようで、
略奪や女性への乱暴などの報告が相次いでいる。
ウクライナ軍の情報機関は2日、ウクライナ北隣のベラルーシに
撤退した露軍兵士が略奪品を扱う露店を開き、冷蔵庫や車、宝飾品
などを売りさばいているとの情報を明らかにした。
旧ソ連構成国ジョージアから一方的に独立宣言した南オセチア自治州などから増派された露軍兵士のうち約300人が「脱走した」とも報じられている。
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