僕の生活を形作っているのは、昔々偉い人たちが集まって決めた「生命を維持する為のスケジュール」で、風邪を治す為には風邪薬が必要で、足の裏を守る為にスニーカーが必要で、ビタミンを摂取する為にはカロチンも必要で、目覚める為には目覚まし時計が必要で、忍術を極めるためには巻物が必要で、髭を剃るにはカミソリが必要で、一日を終わらせる為にアルコールと寝具が必要…、といったように、それらを無意識に積み重ねて、明日に繋がる生活を、なんとか形にしている。
たとえ目に前に何があろうと、それは生命を維持するスケジュールに組み込まなければならないから、目を凝らして慎重にその形を見極めようとする。素材を特定しメッセージを推測する。音を楽しむためには空気が必要だ。だから時に、目に前にあるモノが何かが分からない場合は当然困惑してしまう。純粋に存在しているだけのモノを前に立ち尽くしてしまう。僕は何かを考える時、やっぱり表象に頼ってしまうから、深呼吸をして言い表す言葉を探す。言葉はサイダー泡のように沸き立ち、消える。ブクブクと現れては消える言葉は、存在するだけのモノをアッという間に覆い隠してしまう。ブクブクしているのは僕の頭の中だ。焦って目の前にあるモノを見直すが、やっぱりブクブクしていない。
仕方がないから近くのドアノブを触る。これは、トイレのドアだ。トイレに用事はなかった。壁に掛けられ微笑んでいるのは、コスプレしたビートルズで、あの帽子はジャイアンツの帽子だ。ここは冷えているけど、隣の部屋ではストーブが焚かれているんだった。笑い声が響くドアを開ければ、いいんだった。これはドアだ。トイレのドアではないドアで、来た時開けた開けてもいいドアだ。そして、あれはテーブルだ。多分、ここに居る皆のテーブルだ。近くの缶に手を伸ばす。これは、ビールで僕のではない。頭に手をやる。これは毛糸の帽子だ。椅子に腰を掛ける。これは僕が座る為の椅子だ。グラスを持ち上げ口に持って行く。これは酒だ。いや、水だ。んっ?誰だ、こんなところに水を置いたのは!?何にせよ、スケジュールに戻らないといけないんだった。笑い声の中にいるのに、冷えた部屋から脱出し、ドアを開けて入ったのに、無理して余計に、取り乱す必要はないんだった。
しばし歓談をしたあと、時間をおいてから、改めて存在するだけのモノを見回した。今度はブクブクしていなくて、割と落ち着いた雰囲気で散らかっているように在って、在ることが在ることを茶化しているように、そこいらで自由勝手にしている。存在するだけのモノは、瞬きごとに黒く深い穴と質感をもった実際に在るモノに変化し、賑やかにぐるぐるしている。ぐるぐるしているのは、ぐるぐるしないものだろうから、ぐるぐるしているのは僕の頭の中だ。
そう思ったところで、僕はやめることにした。よく分からない存在だけするモノに対して降参し、敗因は手に届く範囲で散らかっている空き瓶の所為にしようと思った。
たとえ目に前に何があろうと、それは生命を維持するスケジュールに組み込まなければならないから、目を凝らして慎重にその形を見極めようとする。素材を特定しメッセージを推測する。音を楽しむためには空気が必要だ。だから時に、目に前にあるモノが何かが分からない場合は当然困惑してしまう。純粋に存在しているだけのモノを前に立ち尽くしてしまう。僕は何かを考える時、やっぱり表象に頼ってしまうから、深呼吸をして言い表す言葉を探す。言葉はサイダー泡のように沸き立ち、消える。ブクブクと現れては消える言葉は、存在するだけのモノをアッという間に覆い隠してしまう。ブクブクしているのは僕の頭の中だ。焦って目の前にあるモノを見直すが、やっぱりブクブクしていない。
仕方がないから近くのドアノブを触る。これは、トイレのドアだ。トイレに用事はなかった。壁に掛けられ微笑んでいるのは、コスプレしたビートルズで、あの帽子はジャイアンツの帽子だ。ここは冷えているけど、隣の部屋ではストーブが焚かれているんだった。笑い声が響くドアを開ければ、いいんだった。これはドアだ。トイレのドアではないドアで、来た時開けた開けてもいいドアだ。そして、あれはテーブルだ。多分、ここに居る皆のテーブルだ。近くの缶に手を伸ばす。これは、ビールで僕のではない。頭に手をやる。これは毛糸の帽子だ。椅子に腰を掛ける。これは僕が座る為の椅子だ。グラスを持ち上げ口に持って行く。これは酒だ。いや、水だ。んっ?誰だ、こんなところに水を置いたのは!?何にせよ、スケジュールに戻らないといけないんだった。笑い声の中にいるのに、冷えた部屋から脱出し、ドアを開けて入ったのに、無理して余計に、取り乱す必要はないんだった。
しばし歓談をしたあと、時間をおいてから、改めて存在するだけのモノを見回した。今度はブクブクしていなくて、割と落ち着いた雰囲気で散らかっているように在って、在ることが在ることを茶化しているように、そこいらで自由勝手にしている。存在するだけのモノは、瞬きごとに黒く深い穴と質感をもった実際に在るモノに変化し、賑やかにぐるぐるしている。ぐるぐるしているのは、ぐるぐるしないものだろうから、ぐるぐるしているのは僕の頭の中だ。
そう思ったところで、僕はやめることにした。よく分からない存在だけするモノに対して降参し、敗因は手に届く範囲で散らかっている空き瓶の所為にしようと思った。
松子は犬だ。けれども、友達を超えて皆のアイドルだ。来客者に頭突きをされる、アイドル…。
「あっ、ああ!…うぁ、新しい!!」
行く先は知らない、あてもない…
ただ、ちょうどいいかなぁって思ってさ