僕の前には300の刃があった。無機質なステンをレスしたカバーを纏った得体の知れないモノが僕の前にあった。僕はそれを組み立て、調整し、稼動させ、分解し、掃除をし、消毒をしていた。ギリギリの流体を発泡させる。それが僕に課せられた仕事であり、工程の上での使命だった。僕は仕組みの分からないそれを相棒と思い、終わりの見えない単純作業を共にした。
様々な言語が飛び交っていた。その場所は、僕の母国である。太陽の声が聞こえない閉鎖された空間は紛れもなく僕の母国である。
そこに生きる人たちは僕を含めて切実だった。体力よりも、生命力を絞り出しながら、月の声が聞こえない閉鎖された空間で生きていた。
原料を仕入れ、それを加工し、パッキングし、出荷する。そこに僕は居た。出荷されたものは調理され食卓に並ぶ。それは安かったり、高かったりする。特別だったり、特別じゃなかったりする。
巨大な冷凍庫を開ける。そこには少しだけ加工されるものが積み上げられている。僕は鉛のように重い身体で、一番効率の良い方法で順次に運び出す。運び出す場所も運び出す前の冷凍庫と大して変わらず寒い。ゴム長靴は、何時間も前に既にくたびれた。
凍った塊は精一杯の電気の力で裁断され、空気と合わさり、シャーベットにされる。それを待つ時間、僕は休む。そのシャーベットをムースにするのが本来僕に課せられた工程の上での使命だ。持ち場に向かう途中に、プラスチックの樽を逆さまにした椅子を作り、慎重に裁断機の音に耳を向ける。その音は、僕のつかの間の休憩時間を計る砂時計の役割も持っている。
何も考えないつもりが、様々なことを思い出してしまう。そんな時に思い出すことは思い出したくないことばかりだ。僕の身体がそう出来ているのだと思う。時には声を上げてしまう。が、機械の音がそれをかき消すし、かき消さなかったとしても、誰もそんなことに耳を傾けはしないだろう。そんな、余力はここにはない。
シャーベットが僕の所に運び込まれる。それを、慎重に、適度に乱暴に相棒の中に放り込む。やけくその様な大きな音が響き渡り、相棒はシャーベットを発泡させる。パイプを結合するパッキンが振るえ、完全な流体がパイプを伝う。シャーベットが運び込まれ、完全な流体が、僕の前を通過する。ここから先に僕の過失は存在しないし、僕の仕事もない。点滅するような疲労感を無視しつつ、やけくその様な騒音を意識し続ける。
時間と自分を忘れているうちに、サイレンが鳴る。そこで一旦手を止め、休憩所と言うよりは喫煙所に、向かう。座ったきり前かがみの状態で動かない人たちが、BGMの様な会話を幾つか交わす。剥がれた自分を剥がれた分、補充するつもりで、補充できないうちに、煙草が3本灰になる。缶コーヒーもエネルギーとして扱われる。
号令のサイレンが鳴る。重い足取りは、寸分違わず、来た道を戻る。
終わる時を考えない。終わりを待たない。一日という単位が曖昧だったし、それを思い浮かべる体力も、気力もない。頼みの精神力も完全に過去の記憶に冒されている。数時間後に乗り込む帰りの車は、太陽と同時に戻って来る。短く深い眠りも、煙草3本分の効力に同じだ。剥がれた自分を拾うことも、くだらなく思えて、痺れる唇の実感を越えるものはない。
ゴム長靴の中の足先も、手袋の中の指先も、マスクに覆われた鼻先も、記憶も未来も、希望も鬼謀も、閉鎖された中で適度に凍らされている。凍っていることを覚られない温度が、完全に僕を支配している。大事にしていた屁みたいな価値観は、随分前に、瞬間冷凍されてしまった。
関連リンク:「山ちゃんは立たないのではなく、立てない…」
①とは関係ないけど、続いた…?
様々な言語が飛び交っていた。その場所は、僕の母国である。太陽の声が聞こえない閉鎖された空間は紛れもなく僕の母国である。
そこに生きる人たちは僕を含めて切実だった。体力よりも、生命力を絞り出しながら、月の声が聞こえない閉鎖された空間で生きていた。
原料を仕入れ、それを加工し、パッキングし、出荷する。そこに僕は居た。出荷されたものは調理され食卓に並ぶ。それは安かったり、高かったりする。特別だったり、特別じゃなかったりする。
巨大な冷凍庫を開ける。そこには少しだけ加工されるものが積み上げられている。僕は鉛のように重い身体で、一番効率の良い方法で順次に運び出す。運び出す場所も運び出す前の冷凍庫と大して変わらず寒い。ゴム長靴は、何時間も前に既にくたびれた。
凍った塊は精一杯の電気の力で裁断され、空気と合わさり、シャーベットにされる。それを待つ時間、僕は休む。そのシャーベットをムースにするのが本来僕に課せられた工程の上での使命だ。持ち場に向かう途中に、プラスチックの樽を逆さまにした椅子を作り、慎重に裁断機の音に耳を向ける。その音は、僕のつかの間の休憩時間を計る砂時計の役割も持っている。
何も考えないつもりが、様々なことを思い出してしまう。そんな時に思い出すことは思い出したくないことばかりだ。僕の身体がそう出来ているのだと思う。時には声を上げてしまう。が、機械の音がそれをかき消すし、かき消さなかったとしても、誰もそんなことに耳を傾けはしないだろう。そんな、余力はここにはない。
シャーベットが僕の所に運び込まれる。それを、慎重に、適度に乱暴に相棒の中に放り込む。やけくその様な大きな音が響き渡り、相棒はシャーベットを発泡させる。パイプを結合するパッキンが振るえ、完全な流体がパイプを伝う。シャーベットが運び込まれ、完全な流体が、僕の前を通過する。ここから先に僕の過失は存在しないし、僕の仕事もない。点滅するような疲労感を無視しつつ、やけくその様な騒音を意識し続ける。
時間と自分を忘れているうちに、サイレンが鳴る。そこで一旦手を止め、休憩所と言うよりは喫煙所に、向かう。座ったきり前かがみの状態で動かない人たちが、BGMの様な会話を幾つか交わす。剥がれた自分を剥がれた分、補充するつもりで、補充できないうちに、煙草が3本灰になる。缶コーヒーもエネルギーとして扱われる。
号令のサイレンが鳴る。重い足取りは、寸分違わず、来た道を戻る。
終わる時を考えない。終わりを待たない。一日という単位が曖昧だったし、それを思い浮かべる体力も、気力もない。頼みの精神力も完全に過去の記憶に冒されている。数時間後に乗り込む帰りの車は、太陽と同時に戻って来る。短く深い眠りも、煙草3本分の効力に同じだ。剥がれた自分を拾うことも、くだらなく思えて、痺れる唇の実感を越えるものはない。
ゴム長靴の中の足先も、手袋の中の指先も、マスクに覆われた鼻先も、記憶も未来も、希望も鬼謀も、閉鎖された中で適度に凍らされている。凍っていることを覚られない温度が、完全に僕を支配している。大事にしていた屁みたいな価値観は、随分前に、瞬間冷凍されてしまった。
関連リンク:「山ちゃんは立たないのではなく、立てない…」
①とは関係ないけど、続いた…?
可及的速やかに資金を調達する。そのためなら臓器売買、当たり屋、鉄砲玉、同性との肉体的契約以外なら何でも(って言わないね…)来い。
そして道祖神が呼んでいる。人生そのものの旅とはカテゴリーの違うやつ。放浪しちゃうやつ。漂流?日常のそれと違う。淫蕩ではない、金が足らぬから。
過酷さを味わったことがない。だからこそ!とも思うのさ。
あ、はいっ、えんやこりゃ、エンヤコリャ。それぇっ、エメリャーエンコや、ヒョードルや
脅しとか、そんなんじゃないですよ。多分、楽勝でできますよ。ただの記録なんだ。当時の日記と言うか、走り書き(やけくそ)を引っ張り出したら、おもしょんだ。ビックリするほど、壊れている。
寝ればいいのに疲れ過ぎて寝れない、そんな数分間に書かれた呪詛?呪いのような文句の数々が当時の感覚を思い出させてくれる。
モノクロの思い出なんだけど、どんな時でも引っ張り出せる『質感』があるんだよね。それって、素敵だろ?
目標、午後8時、犬2匹のいる邸宅着
「ラーメン食べたぁい♪」って。
えぇ、それを見かけただけの事で他意はございませぬ。ではこれにてドロン…
ラーメンはYPGで作りましょう。昼間から、ゆっくりスープを作って、チャーシューでもツマミながら酔っ払って、日が落ちて、最後の締めにラーメン。
どう、最高だろ?