変な書物について

2007-02-25 01:06:45 | 散らかって、活字中毒
 中国からパキスタンへの国境に向かう途中(それこそ、このページの右端で歩いているやつ:パミール高原)、ある日本の貴婦人から一冊の文庫本を渡された。そのミニバスはキュー!っと音をだして、直ぐ傍に止まった。

 その時、僕はなんとなく歩いていて、できればトラックをヒッチハイクしかったんだけど、その貴婦人は、僕を車に乗せないまま、極力無駄なく『文庫本を渡す』という行為だけをして去って行った。僕は交渉時間を与えられずに、それからまた5時間歩く羽目になった。貴婦人の乗った団体旅行風のミニバスは、何のロスも感じさせないまま、風のように去って行った。

「何処に行くの?」も、何もなかった。無言のうちにただ本を渡され、あっけにとられる僕を振り返りもせず、ビューと行ってしまった。

 その本を開いたのは、だいぶ経ってからだった。結構…?有名な、コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』…。アウトサイダーだって(笑) 通りすがりの歩く若者に渡す本としては結構なタイトルだ。しかも、貴婦人はインサイダーを体現したような人だったし。

 狙撃をされたように思う。そう、今思い出している。

 気品のあるインサイダーがみすぼらしいアウトサイダー予備軍に夢を託したのか? それとも、勇気なるものを授けたかったのか? それとも、ただ単純に重たかったのか? 邪魔だったのか? 
 貴婦人は名前も告げずに去って行ってしまったから、真相は分からない。


 けれども、5年経った今でも、時々その本を開く。普通に面白い本だ。かなりボロボロになっていて、開き難くなっているその本を、結果的には大事にしている。ゴッホ、ニジンスキー、ロレンスの章はもう100回以上読んだだろう。しかしそれが、特に僕の支えになっているわけではない。なくても良かっただろうけど…、あって良かったと思う程度なんだけど…。

 僕の記憶の中には、しっかりとピンで留められているし、本棚に鎮座することになちゃっているのだから、僕からすればまず迷惑な話だ。

 しかも『アウトサイダー』なんて、…大きなお世話だ。




エピローグ:そんなことから3ヶ月後、アウトサイダーの続編をインドのコルコタで見つけたのは、ちょっと気持ちの悪い偶然の一致。そんな、軽い必然は、もはや…『どうでもいい話』として扱っている。

 

 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
グッジョーブ (kudo-i)
2007-02-28 00:21:27
 hanamizu君、先日はグッジョー部でした

 あなたの2千円以上もする哲学ちっくな本は、くどいには読めなさそうだよ。

 すぐ寝るための良書か、頭を高くするための枕か、漬物の意思か…。言葉の錬金術師の源泉を垣間見たよ

で、今夜の姫邸だが、何を作るんだ。何時にだいたい集合なんだろう。

 雪ン子は月末忙しくないのか。姫は温泉から温泉入浴後、帰宅なのか。AKIRAはすぐ寝ないのか。co-chibiは噛み付くのか?

 掲示板みたいに使ってごめんよ、心のないとこから詫びてみる…
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楽しかったな。 (はなみず)
2007-03-01 16:49:31
何か迷いがある時にニュートラルに戻れる場所が姫邸になりそうだ。AKIRAは合いも変わらずカッコイイし、旨い日本酒を飲ませてくれる。

君たちに嫌われない自分なら、もう少しダイジョーブと思える。

ヤバイ、いいこと書いちゃった。
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やばくなぁい? (kudo-i)
2007-03-07 23:35:22
やばくないよ。

人生いつも正常位!

君臨すれば正上位!

駄洒落なオラがやばい
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