The Society of Helical Carbon ヘリカル炭素学会

Helical C (CMC), PAT PCT/FDA JP & TH (Food), SM TH FDA (Med)

グラフェンでバッテリー充電2秒

2016-11-25 10:09:43 | 知的財産権

フロリダ大学の研究チームが、従来のバッテリーの充電時間と使用回数を大幅に向上させる新しいバッテリー技術の開発に成功しました。同研究チームの開発した技術を使えば、スマートフォンの電池を数秒で充電でき、かつ、3万回以上の耐久性を持つ電池の開発が可能になっています。

High-Performance One-Body Core/Shell Nanowire Supercapacitor Enabled by Conformal Growth of Capacitive 2D WS2 Layers - ACS Nano (ACS Publications)
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsnano.6b06111

アメリカのセントラル・フロリダ大学ナノサイエンステクノロジーセンターの研究チームは、電気二重層という物理現象を利用して蓄電量を高めた「電気二重層コンデンサ」を一般的な電池と同じように使用できるようにする技術の研究を長年続けてきました。その電気二重層コンデンサの蓄電量をリチウムイオン電池と同等に使うには、コンデンサ自体が大きくなりすぎるという問題がありました。

 

しかし、研究チームはバッテリーの極をグラフェンに代表される二次元状のナノ素材でコーティングする技術を発案。この技術を用いて、二次元状のナノ素材でコーティングしたワイヤーを使った電気二重層コンデンサを開発したところ、電子の高速移動が可能になり高速充電が可能で高いエネルギーとエネルギー密度を備えた電気二重層コンデンサが完成したとのことです。

研究チームが開発した技術を使えば、3万回以上充電できる耐久性を持ち、さらにスマートフォンのバッテリーであれば数秒間でフル充電できる電池の開発が可能になります。

 

研究を率いたエリック・ヤング准教授は「二次元状のナノ素材を既存のシステムにどうやって組み合わせるかが長年の課題でしたが、我々が開発した化学合成法を使えば既存の素材と二次元状のナノ素材を適切に組み合わせることができます」と実験のブレイクスルーが化学合成にあったことを明かしています。

また、ヤング准教授は「小さな電子機器の場合であれば、我々が開発した技術はエネルギー密度・電力密度・安定性において既存の技術を大きく凌駕している」と話していますが、記事執筆現時点では実証モデル開発に成功した段階であり、商品化にはまだ長い時間がかかりそうです。

なお、研究チームは今回発明されたバッテリー技術の特許を申請している最中です。

 

http://gigazine.net/news/20161125-charge-mobile-seconds/


レーザー光出力2ペタワット、1トリリオン(兆)分の1秒

2015-07-31 18:49:45 | 知的財産権

中国メディアの参考消息は30日、英紙デーリー・メールの報道を引用し、大阪大学の研究チームが「LFEX(エルフェックス)」と呼ばれる設備を使用し、出力2ペタワット(1ペタワットは1000兆ワット)のレーザー光を出すことに成功したと報じた。

 記事は、研究者の話として、2ペタワットのレーザー光の出力は全世界の消費電力の1000倍相当に達すると伝えた。一方、出力は巨大であったものの出力の時間は1トリリオン(兆)分の1秒であったため、実際に使用したエネルギーは電子レンジを2秒ほど使った程度だったと紹介した。

 続けて、阪大の研究者は約100メートルのLFEXに取り付けたエネルギーを増幅させる特殊なガラスを通じて出力を高めたと紹介し、研究者の話として「世界中でレーザー光の性能競争が展開されており、大阪大学では将来的に出力10ペタワットを目指す」と紹介した。

 また記事は、米メディアの報道を引用し、5万ワットのレーザーによって1マイル(約1609メートル)の距離から無人機を撃墜させる実験が成功しているとしたうえで、「無人機を撃墜させた5万ワットのレーザーのパワーは、大阪大学で出力に成功したレーザーの100億分の1しかないものだった」と伝えた。

 大阪大学のレーザーエネルギー学研究センターによれば、LFEXレーザーは核融合のほか、相対論的プラズマ相互作用やレーザー核物理などへの応用が期待されるという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150731-00000140-scn-sci


社員が発明した特許は「会社のもの」!? 政府の「知財戦略方針」にひそむ重大な問題 「職務発明」

2013-07-17 12:08:32 | 知的財産権
ジャパニーズ・ドリームは文字通りの「夢」のまま消えてしまうのか。企業所属の研究・開発者たちの間で、ため息まじりの声が上がっている。

政府は6月上旬、「知的財産政策に関する基本方針」を閣議決定し、「職務発明」のあり方の抜本的な見直し方針を発表した。

今の特許制度では、企業の従業員が「仕事」として行った職務発明であっても、出願できるのは発明した個人だけ。会社がその特許を利用するためには「対価」を払わなければならない。これを改め、自動的に、あるいは事前の契約によってすんなり会社に権利が帰属するようにしたいというのだ。

地裁が企業に約200億円もの支払いを命じた「青色発光ダイオード裁判」(後に和解)のように、この「対価」が巨額になるケースもあって、経済界は現行制度を嫌っている。その意向に沿い過ぎてはいないのか。発明で億万長者になる夢を断たれた優秀な技術者が海外流出してしまわないだろうか。メーカーでのエンジニア経験もあり、特許問題にくわしい岩永利彦弁護士に聞いた。

●2004年の法改正後は、訴訟は起きていない

「まず、現在の状況を整理しましょう。日本の特許法では、発明は個人に帰属するのが原則です。しかし、従業員が会社の仕事で発明したものは『職務発明』として認められ、ほぼ100%がすんなり会社に帰属します。

問題はここからです。特許法の規定だと、職務発明が会社帰属となった場合、発明した個人に『相当の対価』を支払わないといけないことになっています。つまり、『相当の対価』はいくらなのかを巡って、争いが起きるわけです。

そういった争いの結果、2004年に規定が改正されて、『相応の対価』の算定方式が法律で定められました。基本的にその後は争いは発生しておらず、現在も訴訟等で問題となっているのは、2004年の改正以前に発明がなされたものばかりです」

――それでも、訴訟リスクは残る?

「企業側の言い分としては、現在でも相当額が不十分と考えた発明者からの訴訟リスクは存在するということがあります。確かに、そのリスクは分野によっては非常に大きくなり得ます。たとえば、製薬分野では1つの特許の価値が高いため、製薬会社が研究開発拠点を日本に置けないという問題も生じていると聞きます。

しかし、2004年の改正後は訴訟まで至ったケースはゼロと思われます。現在、企業の思うほどの訴訟リスクは存在しないわけです。改正後8年ほどしか経っておりませんが、改正前でも訴訟まで至るものは極少数でした」

――発明者だけ優遇されている?

「エンジニアへの保護が他の職種の従業員に比べて手厚いとか、給料に加えて発明への対価もあるのは、リスクなしでリターンが得られることになり、経済的に不合理だという批判もあります。

しかし、メーカーの付加価値の源泉は、発明者たるエンジニアによるイノベーションです。ある程度の優遇はやむを得ないでしょう」

――プログラムの著作権に「対価」が発生しないこととの整合性は?

「確かに、従業員のSEが新規のプログラムをした場合、そのソースコード(記述)は著作権法上の職務『著作』として対価なく法人帰属となるのに、そのアルゴリズムは職務『発明』となり、対価を支払う必要があるのはアンバランスだという指摘はあります。

しかし、この違いには合理性があります。特許権は出願しないと認められない『方式主義』ですから、出願時などに帰属や対価をめぐって企業と従業員が交渉するチャンスがあります。

一方、著作権は『申請』などをしなくても、著作物をつくれば自動的に発生する『無方式主義』で、交渉のチャンスはありません。一概に著作権との間でバランスを取る必要はないのです」

●経産省の委員会には、現役の発明者が1人もいない

――そうなると、法律をさらに変える必要はない?

「これはこの国の行く末を考える上で重要な、非常にスケールの大きな話です。少なくとも何らの議論もなく、特許を自動的に法人帰属にして、『相当の対価』もなしとするのは拙速だと考えます。そもそも、改正法の下で訴訟は頻発していません。別段急ぐ話でもないのです。

たとえばですが、日本を三等分して、現行法は東日本、企業有利規定を中日本に、発明者有利規定を西日本に適用し、それぞれ10年くらい運用し、GDPや出願数等を比較対照して決めるといった、それぐらいの慎重な対応をしても良いレベルの話だと思います」

――ずいぶん壮大な実験だ。

「そこまでは無理でも、いまはできるだけ幅広い観点からの議論が求められていると言えます。ところが、7月4日に経産省が発足させた『職務発明制度に関する調査研究委員会』には、現役の発明者が一人もいないというありさまです。このようなお粗末なことでは、発明者に愛想を尽かされ、企業の活力も結果的にそがれることになるでしょう。

企業の投資意欲と発明者の意欲の両方を高め、本当にイノベーションを促進する制度とは何かを洗い出すためには、少なくとも発明者側の利益代表者を交える必要があります。経産省は、今一度委員会メンバーを選抜し、企業と発明者がウィン―ウィンでニッコリできる制度をゼロベースで検討すべきでしょう」

特許権の帰属、“頭脳”流出リスクも 開発者の意欲低下を懸念クリップする

2013-06-08 11:59:50 | 知的財産権


2013/6/8 08:15
 「職務発明」の特許権の保有者について、発明した従業員から企業側に帰属を移す検討を政府が始めた背景には、高額な発明対価の支払いを回避し、国際競争力を強化したい産業界の強い要望がある。ただ、モチベーションが下がった有能な開発者たちが、チャンスを求めて海を渡る可能性は否定できない。日本の「ものづくり」を支えてきた技術の流出を食い止めるための工夫が必要だ。

 発明対価をめぐる訴訟で一石を投じたのは、日亜化学工業に在籍中、青色発光ダイオード(LED)の実用化に道筋をつけた中村修二・カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授だ。中村氏は退職後の2001年に同社を提訴、最終的には同社が8億4000万円を支払うことで和解した。
 この裁判をきっかけに、発明者が企業を訴えるケースが増加。日立製作所は06年、光ディスクの技術をめぐる訴訟で発明者に1億6000万円を支払ったほか、味の素も人工甘味料をめぐる訴訟の和解で、1億5000万円を支払うなど、企業の訴訟リスクは高まっている。
 それだけに、政府が「職務発明」の帰属を見直す方針を示したことは、企業にとって朗報にみえる。しかし、「発明が先細りし企業が自らの首を絞める結果になりかねない」(ファーイースト国際特許事務所の平野泰弘所長弁理士)との懸念も強い。

 企業側も、意欲低下のリスクに気付き、手を打ち始めている。日立製作所は発明に対する評価方法や報酬の決め方などをあらかじめ決め、不服がある場合は裁定委員会に申し立てられる。味の素も利益を上げた際など3段階にわたって報奨金を支払うよう制度を改正している。
 ただ、特許権の帰属に枠をはめてしまうやり方については専門家の間でも意見が分かれる。日本知的財産協会(東京都千代田区)によると、米国では、企業か従業員のどちらに特許権を帰属させるかについては、各社の契約で決めるような自由な仕組みを採用している。国際競争力を高めるための法改正が、日本の頭脳の海外流出を招くリスクも高めかねない。





モチベーションが下がった有能な開発者たちが、チャンスを求めて海を渡る
国際競争力を高めるための法改正が、日本の頭脳の海外流出を招く
有能な研究者は、大学畜、会社畜に甘んじることはない