The Society of Helical Carbon ヘリカル炭素学会

Helical C (CMC), PAT PCT/FDA JP & TH (Food), SM TH FDA (Med)

不二家、また都内63店舗で偽装表示 成形肉で「ステーキ」

2013-11-09 01:00:00 | 経済

不二家                            成形肉

 洋菓子メーカーの不二家は8日、「成形肉」を説明なく「ステーキ」と表示し、首都圏などの「不二家レストラン」63店舗で売っていたと発表した。同社は2007年、店舗で売っていた一部洋菓子に期限切れの原材料を使っていたことが判明して経営危機に陥った経緯がある。

 提供していたのは、「ビーフステーキ」「牛フィレステーキ&オムライス」などの5メニュー。数個の肉を寄せ集め、結着剤を使って固まりにした肉だったという。

 ただ、同社は払い戻しなどの対応はせず、東日本大震災の被災地の子どもたちの部活動に寄付することを決めたという。「贖罪(しょくざい)寄付することが最良と考えたので、理解をいただきたい」と説明している。

 

不二家ウェブサイト

www.fujiya-peko.co.jp/

不二家 - Wikipedia

ja.wikipedia.org/wiki/不二家

不二家不祥事、相次いで発覚 - ウィキニュース

ja.wikinews.org/wiki/不二家不祥事、相次いで発覚

トランス脂肪酸、米で全面禁止へ 健康への悪影響理由に

2013-11-08 10:40:08 | 経済

トランス脂肪酸

 【ワシントン=小林哲】米食品医薬品局(FDA)は7日、ファストフードやお菓子などに多く含まれ、とりすぎると動脈硬化などの原因になるとされるトランス脂肪酸の使用を全面的に禁止する方針を固めた。今後60日間で国民から意見を募り、開始時期などを含めた規制の詳細を決める。

 トランス脂肪酸は、植物油を加工してつくるマーガリンや、お菓子や揚げ物油として使われるショートニングに多く含まれる。米国では2006年から、加工食品に含有量の表示が義務づけられており、ニューヨーク市など一部自治体では、独自に使用を規制してきた。

 

 

トランス脂肪酸について - 食品安全委員会

 

www.fsc.go.jp › FSC Views

トランス脂肪酸 - Wikipedia


海自の対潜水艦作戦能力は世界最高水準 中国との差は埋まらぬ

2013-07-05 10:16:26 | 経済


NEWS ポストセブン 7月4日(木)16時6分配信
 尖閣周辺海域では中国艦船による示威行動が繰り返され、ついに潜水艦による接続水域侵入まで起きた。中国の航空母艦「遼寧」を含む艦隊が東シナ海に打って出た時、海自は防衛ラインを守れるのか。

 * * *
 南西諸島周辺海域で中国海軍と向き合うのは自衛隊隷下の2個護衛隊群16隻とP-3C40機、さらに潜水艦部隊8隻だとしよう。1個護衛隊群はイージス艦2隻、ヘリコプター3機を搭載する護衛艦1隻、哨戒ヘリコプター1機を積む護衛艦5隻で編成される。

 中国海軍が空母機動部隊を編成して出撃した場合、まず潜水艦と空自機に護衛されたP-3Cが対処し、水上部隊はミサイル防衛、防空、通峡阻止の任務に当たることになる。こうした海戦での海自の優位は当分動きそうにない。

 理由の一つは中国空母が洋上防空能力に欠陥のある“張り子の虎”だからだ。遼寧にはカタパルトがなく、重い戦闘機を発艦させられない。昨年11月、戦闘機J-15(殲15)の発着に成功したと中国側は発表したが、実際は武器や燃料の搭載量を極力減らしての成功であった。実戦ではそんな艦載機が、自衛隊の対艦攻撃を阻止するのは困難である。

 二つ目の理由は、潜水艦の戦いで海自が優勢だからだ。

 冷戦時代から培われてきた海自の対潜水艦作戦能力は世界最高水準にある。原子力潜水艦こそ持たないが、非常に静かな通常動力型潜水艦を有す。特に最新鋭のAIP(非大気依存推進)動力型潜水艦である「そうりゅう型(5隻)」は2週間以上も浮上せず潜航でき、敵の潜水艦の監視を逃れながら空母を狙える。ミサイルで甲板に一つでも穴を空ければJ-15は発着不能。魚雷が艦底で爆発すれば空母に致命的な損傷を与える。

 総数約60隻の中国海軍の潜水艦はロシアから技術移転あるいは譲渡されたもので、全般に雑音のレベルが高く、探知されやすい。現在、日本は対潜任務を得意とするP-1とP-3Cを計80機保有。対する中国軍はP-3Cと似た大型の哨戒機をわずか4機持っているだけだ。

 中国海軍は兵力約26万人を擁し、艦艇数約1090隻、総トン数約135.2万tを誇る。だが、現代の海戦においては対潜水艦戦の能力差が勝負を分ける。この点で海自との差は簡単には埋まらない。


自衛隊「最新装備」実は世界最高レベルで中国軍丸裸にできる

海上自衛隊は、強大化する中国海軍に対抗すべく、現有16隻の潜水艦を20隻に増強する計画だ。その中心を担う世界最大の通常型潜水艦「そうりゅう」型は、間違いなく中国海軍にとって最大の脅威となる。現時点では中国海軍の対潜能力が低く、海自潜水艦に対抗することができない。海自潜水艦が東シナ海を遊弋するだけで中国艦隊は港に足止めを食らうことになる。
 
 そして忘れてはならないのが海自航空部隊だ。その主力が「P3C哨戒機」である。
 
 海自は、哨戒・対潜能力では世界最高性能を誇るP3Cを90機も保有し、しかもその海自自衛官の練度は、米海軍を上回っている。
 
 米ソ冷戦期には、海自P3C部隊の主要任務の一つが、ソ連太平洋艦隊を日本周辺海域で殲滅することだった。ソ連の潜水艦隊を相手に対潜能力の向上に努めた結果、世界一の対潜能力を持つに至った。
 
 現在、後継機となる国産の「P1哨戒機」の配備が始まっている。この新鋭哨戒機は、ターボファンエンジンを4発搭載しており、いち早く哨戒海域に到達し、広域の哨戒を行なうことができる。またP3Cに比べて高性能の搭載電子機器を搭載するなど、その哨戒・対潜能力は向上しており、中国潜水艦部隊は丸裸にされるだろう。



空母ワリャーグ


日中海戦 米誌の日本勝利の根拠に海自隊員の能力の高さあり

アメリカを代表する外交誌『フォーリン・ポリシー』電子版9月号に、「2012年の日中海戦」と題した研究論文が掲載された。尖閣諸島をめぐる争いが日中の軍事衝突に発展した場合、どちらが勝つかをシミュレーションしたものである。著者でアメリカ海軍大学准教授のジェームズ・R・ホルムズ氏によるその結果は、「日本の圧勝」だった――。
 実際に日中が武力衝突する事態となれば、当然、日米同盟にもとづいてアメリカが日本を支援することになる。しかし、同レポートは〈政治的な側面を無視して、日中両国の海軍力を比較し、軍事的な視点から戦闘の展開を予測してみる〉として、あくまでも日中2国間での戦闘を想定する。
 日本人の多くは日本の防衛は「アメリカ頼み」と思い込んでいるかもしれない。だが、専門家の精密な分析によれば、日本だけで中国と戦ってもなお、「勝てる」というのである。
 同レポートはまず、日中双方の軍備を比較する。海上自衛隊が保有するのは艦船48隻とディーゼル潜水艦16隻。対する中国海軍は主要艦艇73隻、ミサイル艇84隻、潜水艦63隻。数では中国が日本を上回っている。
 にもかかわらず、日本が有利とする理由として、次の2つを挙げている。
 第一は、<戦力の質>だ。閉鎖的な共産主義の下では〈失敗を隠蔽する傾向がある〉ため、旧ソ連軍がそうであったように、中国海軍も〈重大な欠点を隠している〉可能性が高いという。
 ホルムズ氏がいう。
「中国海軍は海上演習に対して非常に用心深い。というのも、中国は政府の威信を高めるために新しい艦船や航空機、兵器を見事に操作して見せなければなりません。もし演習で事故が起きれば指導者の責任が糾弾されることになるからです」
 そしてレポートでは、〈海上自衛隊の艦艇の質と人員の能力は中国海軍の数的優位を部分的に相殺するか、全面的に覆すだろう〉と指摘する。
 軍事ジャーナリストの井上和彦氏がいう。
「海上自衛隊には、イージス艦に代表されるように、高度な電子機器を搭載した世界最高水準のハイテク・システム艦が揃っている。中国海軍もこうしたハイテク艦の建造を急ピッチで進めているが、現時点では、海上自衛隊は個艦の性能で中国を圧倒しています」
 潜水艦も、原子力潜水艦を持つ中国に対して海上自衛隊の16隻はすべてディーゼルエンジンの通常型潜水艦にすぎないが、その静粛性や魚雷による攻撃能力は世界最高水準で、中国よりも上だという。
「さらに海自は、対潜能力に優れた水上艦艇に加えて、P3C哨戒機やSH60J/K哨戒ヘリといった最強の対潜機を約160機も保有しています。中国の原子力潜水艦もこの海自の高い対潜能力から逃れることはできません。また、中国の空母ワリャーグをはじめ、現在建造中の2隻の空母も、本格的に運用できるまでには、まだ相当の年数を要するでしょう」(同前)
 数では圧倒的に中国に劣るものの、それを補ってあまりある質の高さが海上自衛隊にはあるというわけだ。
 ホルムズ氏が挙げる第二の理由は<人的要素>、すなわち自衛隊の隊員の能力の高さである。
〈海上自衛隊はアジアの海域で恒常的に単独、または合同で訓練を積んでいる。中国海軍は経験が浅く、海賊対策として2009年に(ソマリア沖の)アデン湾に派遣されただけである。中国艦船は航行距離も短く、兵士は技術的に習熟するだけの訓練を受けておらず、専門家としての教育や健全な習慣の育成にも欠ける〉
 井上氏が補足する。
「海自隊員はすこぶる優秀で、艦艇乗組員はもとより戒機の搭乗員の熟練度も中国海軍とは比べものにならない。なぜなら日本は、米ソ冷戦時代からアメリカの世界戦略の一翼を担い、強大なソ連海軍と対峙を続け、世界最強の米海軍と訓練を通じて錬度向上に努めてきました。一方の中国海軍は、ハイテク装備を駆使した運用経験が浅く、現時点での実力は未知数です」

海上自衛隊
http://www.mod.go.jp/msdf/formal/gallery/ships/ss/
そうりゅう型潜水艦
ja.wikipedia.org/wiki/そうりゅう型潜水艦

中国人民解放軍海軍
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E6%B0%91%E8%A7%A3%E6%94%BE%E8%BB%8D%E6%B5%B7%E8%BB%8D
中国海軍空母 - YouTube
www.youtube.com/playlist?list=PL999CDD8AE97EA486‎





【ブラジル】医療行為法案が可決 医師限定の医療行為を定義

2013-06-22 10:57:28 | 経済

サンパウロ新聞 6月22日(土)0時46分配信
 上院議会で10年間議論されてきた医療行為法案が18日に可決され、ジルマ大統領の承認待ちとなっている。19日付の地元紙が報じた。

 医師の職域を規制するこの法案が可決されることで日常業務が制限されることを危惧していた医師以外の医療従事者を擁する各審議会が、同法案を支持する連邦医師審議会(CFM)に対立する形となった。

 この法案では病気の診断、治療方針の決定、手術や侵襲的な治療の指示と施行などを、医師だけが行うことのできる医療行為だと定義している。侵襲的な措置には、皮下注射、穿刺(せんし)、点滴で表皮よりも深部に達する治療や、内臓に働きかける目的で鼻腔や耳腔に行う鍼灸(しんきゅう)、痰(たん)や脂肪の吸引などが含まれている。

 医師以外の医療従事者らは、鍼灸や自然分娩の介助、また日常的な病気の判断といった医療行為が今後は医師に限定されることに対して危機感を抱いている。

 一方この法案では、体の機能性、心理的な状態、栄養状態に関する診断、患者の言動の評価などについては、医師のみに限定しないよう定められている。

 また、細胞病理検査の実施と診断書の発行を医師に限定するかどうかという点については、法案の中で明確に規定されていない。細胞病理学検査には子宮頸がんの検査として知られるパップテスト(パパニコロー検査)など定期的に行われるものがあり、今後の論点となるとみられる。

 ルシア・バニア上院議員(社会民主党=PSDB)は「この法案は医師以外のすべての医療従事者を医師に従属させるためのものではない」と説明している。さらにCFMも、医療従事者に制限を与えることを目的としているわけではないと強調した上で、あらゆる医療現場における医師の参加を保証することが主な目的だと語った。

 この法案は、施行60日後から有効となる。

サンパウロ新聞


ブラジルデモ100万人 衝突激化 大統領が訪日延期

産経新聞 6月22日(土)7時55分配信
 【ニューヨーク=黒沢潤】来年6月のサッカー・ワールドカップ(W杯)に多額の公金が投入されることなどに反発したブラジルの反政府デモは20日、首都ブラジリアなど少なくとも100都市で行われ、AP通信によれば参加者は計100万人を超え、過去20年で最大規模となった。

 ブラジリアでは20日、デモ隊が国会議事堂を取り囲み、治安部隊とにらみ合いを続けた。一部都市ではデモ隊が車両に放火したり、治安部隊がデモ隊に向けて催涙弾を発射したりするなど、激しく衝突した。

 ブラジルでは、日本代表も出場するコンフェデレーションズカップが開催中。大統領府は同日、デモ対策を優先させるため、ルセフ大統領の日本訪問(26~28日)の延期を発表した。大統領は訪日で、日本からの原発輸出や資源・食糧の安全保障について安倍晋三首相と会談し、天皇陛下とも会見する予定だった。

 ブラジルは労働党政権下のこの10年間で、国民の約2割が貧困層から中間層になった。新興5カ国(BRICS)の一角として国力を増しW杯招致にも成功し、現在、スタジアム関連施設に約150億ドル(約1兆4500億円)を投じて工事を急いでいる。

 しかし、国家の威信をかけて関連施設の建設を進める一方、社会基盤の整備がおろそかになった。デモは今月2日、サンパウロで公共交通機関の運賃が引き上げられたことを機にブラジル全土で起きた。デモ隊はスタジアム建設の巨額資金は「税金の無駄遣いだ」と反発し、W杯よりも、教育や医療などの福祉充実を優先すべきだと訴えている。

 しかし、公共交通機関の運賃値上げ撤回が表明されても、逆にデモは拡大した。デモには貧困とは無縁の裕福な家庭の大学生も目立つ。交流サイト、フェイスブックを通じ人々はデモに続々と参加、公共施設や銀行のATM(現金自動預払機)の破壊、商店からの略奪も起きている。

 7月にはローマ法王のブラジル訪問が控える。W杯1年前の大混乱にルセフ大統領は危機感を抱いており、訪日中止など、国内対策を最優先せざるを得ない状況に追い込まれている。ルセフ大統領はデモ参加者をなだめる一方、21日に緊急閣僚会議を開き対策を協議する。しかし、デモが収束に向かう気配はなく、政権には打つ手がない。

 史上最多となる5度のW杯制覇の実績を誇るブラジル。経済成長で豊かになり、W杯に続き2016年の五輪招致にも成功したが、世界が注目する1年後の“国技の祭典”の開催には、暗雲がたれこめている。


ブラジルデモ サッカー王国、なぜW杯に反発
2013/06/21 23:04

 ブラジルで過熱するデモが示すのは、国の経済成長に伴い、国民が夢を託すスポーツではなくなってきているという現実だ。

 同国サッカー連盟会長のホセ・マリア・マリン氏(81)は「ブラジル人は生まれたときから、サッカーとともに生きている。医者や弁護士などのキャリアというが、ブラジルではサッカーを練習することがキャリアだ」という。

 ブラジル代表チームではかつてロナウドやアドリアーノら、ファベーラと呼ばれるスラム街出身の選手の活躍が目立った。ボールすら満足に手に入らない貧困から抜け出そうともがく子供たちにとり、世界を股にかけて活躍するスター選手は希望の象徴でもあった。

 だが、中国やロシアなどとともに新興5カ国(BRICS)の一角として経済発展を果たし、中産階級が増えた今は違う。用具は簡単に手に入り、才能を見いだされれば、母国の代表で活躍する前でも国内外のプロクラブの下部組織でエリート教育を受けられる。

 南米最大規模のファベーラであるリオデジャネイロのロシーニャ地区にさえ、芝生のグラウンドがつくられ、子供たちがまっさらなユニホームとスパイクを身につけて、ボールを追いかける姿が見られる。

 来年のW杯のプレ大会であるコンフェデ杯開催中に勢いを増す反政府デモ。沈静化にてこずるようなら、ブラジル人がサッカーにかける思いの変化を世界に知らしめる結果となりそうだ。(藤原翔)

シェール・ガスを採掘する水圧破砕による環境への影響

2013-06-12 22:40:33 | 経済


エコノミックニュース 6月12日(水)18時12分配信
 シェール・ガスは水圧破砕法という安価な方法で採取でき、多量の天然ガスを低価格で供給できることから米国内ではその恩恵に与ろうと沸き立っている。しかし、採取方法による環境破壊や健康被害への懸念の声が聞こえてくる。その例として本格的な生産に入っていないドイツとフランスからの意見を紹介する。

 脱原発に舵を切ったドイツはシェール・ガスの開発に意欲的だが、採掘する水圧破砕法によってビールの生産に使用する水が汚染されることをドイツの醸造業者協会は訴えている。また、フランスでは2011年7月、「水圧破砕による非在来型資源(シェール・ガス/オイル)の開発・採掘を禁じる法」が政府によって採択され、実質的にフランスではシェール・ガスの開発はできない。

 問題となっている水圧破砕法とは地下2000~4000メートルにある頁岩層に大量の水を高圧で注入することで亀裂を作り、天然ガスを回収する方法だ。注入する水には亀裂が塞がらないようにプロパントという微細な砂粒が混入され、砂粒の流れをスムーズにする摩擦減少剤、他に界面活性剤、腐食防止剤、スケール防止剤、バクテリア殺菌剤、酸類などが混合されており、水というより粘性のある液体となっている。この中には有害物質も含まれており、どのような成分が調合されているのかは企業秘密で、シェール・ガス開発業者によっても異なる。シェール・ガスはこの水圧破砕法が開発されたことで採掘が可能になった。

 水圧破砕法への懸念として次の3点があげられる。(1)ガスを回収する際のメタンガスによる大気汚染(2)坑井パイプからの使用する薬剤やメタンガスによる地下水汚染(3)高圧水が断層に当たることによる地震発生の可能性

 まず、(1)のメタンガスによる大気汚染を検討して見る。水圧破砕で使用した水は回収され、回収する際にシェール・ガスの成分であるメタンガスが大気に放散されて大気汚染が問題となった。これは生産開始の頃で、米国環境保護局(EPA)は、米大気汚染法を改正し、メタン回収技術を導入することを義務付けた。これによって大気汚染の議論は収束する方向となった。

 (2)地下水汚染問題だが、水圧破砕が行われるのは地下2000メートルで、ここから地下水までは1000メートル以上の距離があり、まず地下水まで届くことはあり得ない。汚染されたと報告のあった地下水を分析したところ水圧破砕に使用された薬剤は検出されなかった。地下水と接触しないことを徹底させるため、EPAはシェール採掘層と地下水層とは1マイル(1.6キロメートル)以上離すことを指導基準としている。メタンガスによる地下水の汚染問題だが、ドキュメンタリー映画「ガスランド」(10年)で水道の蛇口から出た水に火が付いたシーンが放映された。坑井の浅い部分から漏れ出たメタンガスが地下水に浸透した結果であろう。坑井を掘削する際、パイプを継ぎ足しながらパイプの周りをセメントで密閉していくが、このときのセメント充填が十分でなかったり、パイプの継ぎ目が緩く、高圧水やメタンガスが漏れることがある。シェール・ガスの開発当初は、弱小工事業者が多く参入したため工事基準が甘かったかもしれないが、今は厳格な工事が行われており、このようなことは起こり得ない。また使用済みの回収された汚染水はスチール・タンクに一時貯蔵され、再浄化・リサイクル規制されており、周囲を汚染することはまずあり得ない。

 (3)地震の誘発だが、シェール層の水圧破砕で断層に当たると地震が起きる可能性はある。これは、地質調査を精細におこない、やみくもな開発をしない限り防止できる。イギリスでの採掘で水圧破砕時に小さな地震が発生したが、のちの調査で水圧破砕とは関係ないことが分かった。

 欧州では環境汚染への懸念もあってシェール・ガス/オイルの開発が遅れているが、それぞれの国にとってこの資源が自国の経済のみならず、外交戦略としても重要なカギを握ることは間違いない。厳格な管理のもとでシェール・ガス/オイルの生産を進めていくべきだろう。


シェールガス革命がもたらすもの

輸入していた天然ガスすべての自国での調達が可能になったという「シェールガス革命」。これで余剰となったシェールガスの対日輸出が実現しそうである。自由貿易協定(FTA)を結んでいない日本への輸出は「公的利益に見合う」場合に限られてきたため、米国エネルギー省(DOE)の認可が必要であった。シェールガスの掘削が始まったころから、出資、および技術的な協力を行ってきた住友商事(8053)や三菱商事(8058)などの日本の商社の努力が実を結んだともいえるだろう。

 米国から輸入されるシェールガスの価格は、現在、日本が輸入している天然ガスの3分の2の価格になると試算されている。原子力発電所の稼働停止により天然ガス火力発電が増えている日本にとって朗報である。日本での天然ガス購入価格は日本向け原油平均価格にリンクしているため、米国や欧州の購入価格に比較するとかなりの高値で取引されている。天然ガスの特徴は熱量が大きいことから発電コストが他の燃料に比較し安いことと、CO2排出量が石油や石炭に比べて少ないことだ。

 今、日本に輸入されている天然ガスは貯留された砂岩から自噴する在来型天然ガスである。一方、シェールガスは硬い岩盤を持つ頁岩(シェール)に閉じ込められた非在来型天然ガスで、今世紀の初めに米国を中心に採算のとれる採取が可能になった。また、世界中のどこにでも存在し、資源量として在来型天然ガスの5倍以上とされている。

 頁岩の岩盤に閉じ込められたシェールガスは、地中深く2000から3000メートルにあり、その採掘には技術的な壁があった。2000年代に入り、水平掘削、水圧破砕などの技術が米国で開発され、シェールガスの効率的な採掘が可能になった。

 そのシェールガスの生産には大量の水を地中深部に注入することから地下水や河川の汚染、水圧破砕に伴う地盤沈下、またシェールガスの回収率を高めるために添加する化学物質の人体への影響などが懸念される。

 シェールガスの採取による環境問題はまだ報告されていないが、過去には資源の探鉱・開発、製錬などで環境汚染を引き起こしている事実がある。希望の持てる社会を持続させるためにも同じ過ちを繰り返さないように「シェールガス革命」に留意しなければならない。


水圧破砕法から農村を救え、ルーマニアの神父の闘い
AFP=時事 6月12日(水)15時13分配信

ルーマニア東部ブルラド市で行われたシェールガス採掘に反対する集会で祈りを捧げる正教会ブルラド教区主席司祭バシリー・ライウ神父(2013年5月27日撮影)。

【AFP=時事】正教会の司祭、バシリー・ライウ(Vasile Laiu)神父(50)は、ルーマニア東部の絵のように美しい丘陵をじっと眺めながら、米国各地に点在するシェールガス井と掘削装置が、ここに建設されることがないようにと祈っている。

【図解】シェールガスの採掘工程

 ライウ神父はこの数か月、米エネルギー大手シェブロン(Chevron)がこの田舎の貧しい地方でシェールガスを採掘する計画に対して、最も声高な反対派の1人になっている。黒の法衣を身にまとい「人間、自然、未来の世代を脅かす」計画に反対する何千人もの地元住民による街頭デモに参加してきた。

 石油生産地域に生まれ育ったライウ神父は、自分はエネルギー産業の敵ではないと主張する。しかし多くの人々と同様、議論の的になっている掘削技術、水圧破砕法(フラッキング)に反対しているのだ。

 水圧破砕法とは、砂と化学物質を混合した大量の水を高圧で岩石層に注入して破砕し、ガスを取り出す掘削技術だ。米国のペンシルベニア(Pennsylvania)やコロラド(Colorado)といった州で広く使用されている一方で、同バーモント(Vermont)州や、フランス、ブルガリアなどの国では、大気汚染や水質汚染の可能性があるとして禁止されている。

 ルーマニア東部ブルラド(Barlad)市の市長が今年4月、フラッキングに対する抗議集会を禁止した際、ライウ神父は反対派の人々を自分の教会に迎え入れた。神父は「教会は政治には干渉しないが、たとえ1人でも同胞が健康や生命の危険にさらされたならば、介入するのが神父としての私の務めだ」とAFPのインタビューで語った。

■地域経済の救世主か、長期的害をもたらす一時的ブームか

 ブルラド教区で最高位の正教会司祭であるライウ神父は、教区内の村々に奉仕して人生の半分以上を費やしてきた。1989年の共産主義政権崩壊後、新しい資本主義経済の中で、自分の教区の住民たちが職を得るために奮闘し、農民たちが収支をやりくりするのに苦労する様子を目の当たりにしてきた。

 だが2011年にシェブロンがシェールガスの試掘を行うために60万ヘクタールの採掘権を取得して以来、地域は自分たちの未来に関する新たな闘いに巻き込まれた。

 推進派の人々は、シェールガスの採掘によって雇用が創出され、エネルギー価格が大幅に下がり、ルーマニアで最も高い10%の失業率に悩まされているブルラドの経済を大きく押し上げると主張する。

 一方で、環境と公衆衛生に長期的な害を及ぼしかねない「一時的なブーム」として、シェールガスへの熱狂に背を向ける人々もいる。

 米デューク大学(Duke University)による2012年の研究では、フラッキングが地下水の経路を通じて飲料水の井戸を汚染する危険性があることが明らかになっている。

 ライウ神父は、水をめぐる問題を最も懸念している。ブルラド周辺は干害に悩まされているにもかかわらず、業界のデータによると、フラッキングにはガス井1か所当たり最高2万立方メートルもの膨大な量の水が必要になるという。腐食性の塩類や発がん物質、自然放射性元素などが入り混じった廃水の処理問題も、村民たちが果物や野菜を栽培し、家畜を飼育している地域にとってさらに懸念材料となっている。

 シェブロンのサリー・ジョーンズ(Sally Jones)広報担当はAFPの取材に対し「安全性と環境保全については最高の基準に従って活動している」と強調し、同社が「操業している地元地域に積極的に貢献しつつ、ルーマニアの信頼できるパートナーとなるよう尽力している」と述べている。

 だがライウ神父は、村民たちがないがしろにされていると言う。「教区民たちは、事前通知もなしに、試掘設備が畑の中にパイプを沈めているのに気が付いた。その後、(建物の)壁にひびが入っているのを見つけたのだ」

■東欧一の埋蔵量がもたらす富よりも大事なのは命

 ライウ神父の確固たる姿勢に、多くの人々が感銘を受けている。

 ブルラド市の市長や地方議員も属するビクトル・ポンタ(Victor Ponta)首相の中道左派連立政権は当初、シェールガスの採掘権を付与する前政府の決定を激しく非難していた。ポンタ首相は2012年5月に政権に就くと、掘削の一時停止をも命じた。だが、この一時停止命令が12月に失効して以来、ポンタ首相とライバルのトライアン・バセスク(Traian Basescu)大統領は揃って、欧州におけるシェールエネルギーの主要な推進派になっている。

 米国の研究では、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーの3か国を合わせたシェールガスの埋蔵量は東欧最大の約5380億立方メートルに上ると推計している。

 だが、地元住民の声を伝えていくという、ライウ神父の決心は変わらない。

「数年前、私は4歳の娘を腫瘍で亡くした。医者に原因を尋ねると、彼はこう答えた。『神のみぞ知るですよ、神父様。でも、ここはチェルノブイリ(Chernobyl)にとても近い。それが原因かもしれません』──環境問題が懸念されるとき、私は無関心ではいられない。彼らがわれわれに差し出すどんな金銭よりも、貴重なのは生命です」

シェールガス、世界の天然ガス47%増やす 米エネルギー省

【6月11日 AFP】米エネルギー省エネルギー情報局(Energy Information Administration、EIA)は9日、頁岩(けつがん、シェール)層から採取できる資源によって、世界の原油埋蔵量は11%、天然ガス資源は47%増えるとした報告書を発表した。

 EIAは初めてシェールオイル埋蔵量を評価するとともに、シェールガスの埋蔵量を再評価し、シェール層の埋蔵資源によって世界の原油量は3450億バレル増え、合計3兆3570億バレルになると見積もった。また、シェールガスの埋蔵量は世界の天然ガス埋蔵量の32%に相当する7299兆立方フィートと推計された。

 国別のシェールガス埋蔵量は、中国がトップで推定1115兆立方フィート。中国とアルゼンチン、アルジェリア、米国、カナダ、メキシコのトップ6か国で、採掘可能な世界のシェールガス埋蔵量の60%を占める。

 採掘可能なシェールオイルの埋蔵量トップ5は、ロシア、米国、中国、アルゼンチン、リビアで、世界の63%を占めている。(c)AFP/John Biers

米国、遺伝子組み換え作物への規制を「不必要」と批判

2013-06-12 19:36:45 | 経済


2013年04月02日 14:49 発信地:ワシントンD.C./米国

【4月2日 AFP】世界最大規模の自由貿易圏構築に向けて欧州連合(EU)と米国が準備を進める中、米国は1日、EUが米国の遺伝子組み換え(GM)作物に対して「不必要」な規制を行っているとして非難した。

 米通商代表部(USTR)は、衛生・植物検疫の貿易障壁を軽減させることを目指した報告書の中で、「欧州食品安全機関(European Food Safety Authority、EFSA)が肯定的な評価を下したにもかかわらず」、EUによる規制の結果、新GM品種の承認が遅れていると批判。さらに、EUのGM食品トレーサビリティ&ラベリング規制が「商業的に実行不可能な要求」であると苦言を呈した。

「諸外国の政府は米国の農作物輸出に対して差別的あるいは不当な対策を続けている」と、USTRのデメトリオス・マランティス(Demetrios Marantis)代表代行は語った。

「これらの障壁は、米国の牧場経営者や農家に害を及ぼすのみならず…安全で高品質な米国食品と農作物の入手可能性を世界中の消費者から奪うものだ」(デメトリオス・マランティスUSTR代表代行)

■米EU自由貿易圏交渉、GM作物も対象に

 米国とEUは世界最大の自由貿易圏構築に向けた交渉入りを計画しているが、そこには政治的に慎重な対応が求められる遺伝子組み換え作物の取り扱いも含まれている。

 米国では遺伝子組み換え作物が広く認められているが、EUでは厳しく規制されている。ドイツやフランスを含むEU加盟8か国は、遺伝子組み換え作物を排除する方針だ。

 USTRは、「遺伝子組み換え作物を非遺伝子組み換え作物のそばに植える際の共存要件について、一部のEU加盟国は不必要で負担の大きい要件を定めている」と指摘した。

 先月、匿名を条件に取材に応じたフランス当局高官は、予定されている貿易交渉において、遺伝子組み換え作物が交渉内容に含まれることをフランス政府は望んでいない、と語っていた。

TPPアメリカ陰謀説は誤り  混合診療 全面解禁には反対だ

2013-06-12 09:18:22 | 経済


毎日新聞 2011年10月31日 02時31分

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に対する議論が熱をおびてきた。このなかで、根拠に乏しく必要以上に不安をかきたてる反対論を少なからず見聞する。それには懸念を表明せざるをえない。

 「TPPによって日本は一方的な被害国になる」「米国の陰謀だ」と主張する人が多い。しかし、主権国家が日本を含めれば10カ国集まり、相互の複雑な利害を調整する場である。日本だけが一方的に不利益をこうむるはずがない。

 そもそも米国はTPPに日本が参加することを想定していなかった。菅直人首相(当時)が成長戦略の一環として、自らの発案で参加したいと言ったのだ。米国は日本に参加要請していない。

 米国はアジア市場で米国抜きの自由貿易圏が形成されるのをおそれ、TPPによってアジア関与を強めようとしている。数カ国で開放度の非常に高い自由貿易圏を作り、それを広げ、最終的には中国も含めたアジア太平洋経済協力会議(APEC)諸国全体を包み込む狙いだ。

 その過程で、日本の参加は歓迎に違いない。しかし、包括経済協議で数値目標を迫った頃とは違い「日本たたき」する経済的、政治的メリットはもうない。米国のビジネス界、政界は停滞する日本への関心を失っているのが実情だ。

 交渉分野は24もあり、最近の反対論は農業以外に懸念を広げている。

 混合診療解禁、株式会社の病院経営などを要求され、日本の医療制度が崩壊するという論もある。だが、公的医療制度が通商交渉のテーマになった例はなくTPPだけ違う交渉になることは考えられない。

 TPPでは投資家が投資先の政策で被害を受けた場合、その国を訴えることができるという制度(ISDS)が議論される。それを「治外法権」などと攻撃する声がある。

 だが、今後、日本企業はどんどん途上国への展開を加速する。してみれば、外資系企業に対し差別的扱いがあった場合、企業側に対抗手段があることは、全体として日本にメリットが多いと考えるべきだろう。

 また、遺伝子組み換え食品について米国で安全と認定された食品は、食品表示に遺伝子組み換え食品であることを表示する必要はない、というのが米国の態度だ。これを押しつけられるのではないかという懸念があるが、豪州もニュージーランドも米国に反対であり、米国の主張が通ることは考えられない。

 政府の態度表明までに残された時間は少ないが、国民にはまだあまたの懸念がある。不利な情報が仮にあったとしても、隠さず丁寧に説明していくことが理解を得る早道だ。

混合診療 全面解禁には反対だ

毎日新聞 2013年03月04日 02時32分

 政府の規制改革会議や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関する議論で混合診療が注目されている。混合診療の一部は現在も認められており、必要性に応じて慎重に広げるべきだが、患者の安全や負担の面から全面解禁には反対だ。

 病気で治療を受けると公的医療保険から治療代や薬代が支払われる。どの治療や薬を保険適用とするかは値段も含めて国が決めており、それ以外の自由診療は患者の自己負担となる。混合診療とは保険適用の治療と自由診療を併用することで、この場合は保険適用分も含めてすべて患者が負担しなければならない。重い自己負担を課すことで、実質的に自由診療を制限しているのだ。

 海外で使われているのに国内では未承認の医薬品、先進的な医療技術を用いることに意欲のある医師は少なくない。希望する患者も多いはずだ。自由診療の拡大は製薬企業や医療機器メーカーだけでなく民間保険会社も歓迎するだろう。

 しかし、一般の商品やサービスと医療は違う。消費者の立場である患者より医師の方が圧倒的に専門知識がある「情報の非対称性」、医療が本質的に持つ不確実性を考えねばならない。もしも大事な家族が病気となり、未承認で費用もかかるが効くかもしれない治療法があると医師に言われたら、借金をしても頼みたくなるのが人情ではないか。有効性や安全性の判断は最終的に医師に委ねるしかなく、効果や副作用を後で患者が検証することも容易ではない。

 国内外で承認された薬でさえ不適切な使用で多くの副作用被害を出した例はいくらでもある。市販後に新たな副作用や不具合が確認された薬や医療機器も珍しくない。そのために公的な審査機関で何重ものチェックをしているのだ。

 現在、100種類以上の高度先進医療が混合診療を認められているが、国が指定する医療機関で行われ、有効性や安全性が確認されれば保険適用となり、そうでなければ混合診療から外される。その枠を広げることは検討すべきだが、個々の医師の判断にすべてを任せるのは無謀だ。最高裁も安全面などを考慮し現行制度を認める判決を出している。

 高齢化や医療技術の革新に伴って公的医療費は年々増えている。医療費抑制への圧力が強まる中で混合診療を解禁したら、患者負担の自由診療が広がるのは目に見えている。毎日多数の患者を診察して疲弊している現場の医師にとっても高収益の自由診療は魅力的なはずだ。今でさえ医師不足や医療崩壊が叫ばれているのだ。保険診療しか受けられない患者は医師探しに苦労することになりはしないだろうか。

「混合診療」解禁問題 抗がん剤から事実上の適用範囲拡大へ
フジテレビ系(FNN) 6月11日(火)19時39分配信
政府が、14日に閣議決定する規制改革の実施計画で、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」の解禁問題について、2013年秋をめどに、まず抗がん剤から、事実上の適用範囲を拡大していくことがわかった。
混合診療は現在、一部の先進医療などに例外的に認められているだけだが、FNNが入手した実施計画案によると、「最先端医療迅速評価制度」を推進することにより、先進医療の対象範囲を大幅に拡大するとしている。
そのうえで、2013年秋をめどに、まず、抗がん剤から開始するとして、抗がん剤から混合診療の事実上の適用範囲を拡大していく方向性を打ち出している。

 ◇自由診療拡大の可能性 平等な受診機会、損なう恐れ

 なるほドリ 環太平洋(かんたいへいよう)パートナーシップ協定(TPP)と言えば「農産物輸入自由化」という印象だけど、公的医療保険制度にも影響すると聞いたよ。

 記者 日本医師会など多くの医療関係者は、国民皆保険(こくみんかいほけん)が揺らぎかねないとして日本のTPP交渉参加に反対しています。

 Q どういうこと?

 A 民主党政権は医療保険制度について「TPPの議論の対象外」と説明してきました。しかし、途中で「交渉参加国から個別の2国間懸案(けんあん)事項への対応を求められる可能性は否定できない」と言い始め、医薬品に関しては「規定が置かれる可能性はある」と認めました。

 Q 「可能性」なんだ。

 A 医療保険制度は直接の議題ではないためです。ただ、米通商代表部(USTR)は日本に対し、ほぼ毎年「外国貿易障壁(しょうへき)報告書」で外国営利法人への医療市場開放や医薬品関係の規制撤廃、利益の出る新薬の価格引き上げを迫ってきていて、TPPでも必ず求めてくる、というのが反対派の見立てです。

 Q どうして反対なの?

 A 米国では3000万人の無保険者をなくす医療保険制度改革法が成立しましたが、日本のように国民が等しく受診できる公的医療保険はありません。自在に価格を設定できる自由診療が基本で、民間保険に入って備えます。このため高い掛け金を払える高所得層は最高水準の医療を受けられる半面、民間保険に入れず、病院にさえかかれない人もいます。反対派はTPPで外国の保険会社が参入し、日本の医療が米国のようになるのを警戒しています。

 Q 既に参入していない?

 A がん保険の入院給付金や保険適用外の自由診療部分をカバーする商品は一部認められていても、国が決めた価格に基づき公的保険で支払われる保険診療部分には参入できません。日本は保険診療と自由診療をセットでする「混合診療」を禁じていますが、米側は利益を上げられる自由診療部分を日本で広げることを狙い、混合診療の解禁を求めています。

 Q で、どうなりそう?
 A TPPには規制に損害賠償請求をできる規定が設けられそうで、一部を緩和(かんわ)すれば残った規制が次々訴訟対象となるのではと懸念されています。ただ、高額な料金の自由診療が普及すれば、同時に行われる保険診療も増えて、保険料と税で賄う公的医療費も跳ね上がるとみられています。公的医療費の抑制(よくせい)を課題とする日本政府にとっては簡単に譲れず、経済特区での部分開放が落としどころとなる可能性もあります。もっとも、自民党政権はTPPにどう対処するのか明確にしておらず、TPPに参加しないこともあり得ます。