The Society of Helical Carbon ヘリカル炭素学会

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ヨーグルトの効果は、エビデンスのない風評が独り歩き

2016-07-22 10:34:42 | 健康

論文を読むのが日課という「めんどくさいお医者さん」、東京大学病院の地域医療連携部の循環器専門医・稲島司先生。彼は、世に流布する「健康的なイメージ」と、科学的「効果が証明されたもの」を区別するため、今日も人の生活習慣にケチをつけ始めた――。

夏目 前のお話にあった、糖分を少なめにして、とは言ってもやりすぎないっていう食生活は良いですね。お腹周りもすっきりしてきたし、我慢もそれほどしないのに体調が良いです。実は最近もっと身体のことを考えて、毎日ヨーグルトを食べているんですよ。一般的に「ヨーグルトは身体にいい」イメージがあるじゃないですか。

稲島 それ、エビデンスあるんですか?

夏目 え? 

稲島 この連載は何回目になりますか?その「イメージ」に科学的根拠があるか、調べましたか? 仕事と同じで、会社のお金を何億円も投資するなら「この会社はよさそうなイメージがある」なんて理由で投資を決めないですよね。業績を徹底的に調べるでしょう。なのに多くの方が身体とか健康のことになると――。

夏目 (相変わらずめんどくさいなぁ…)

「ヨーグルトは身体にいい」は古典的な医学情報によるもの!?

稲島 ヨーグルトは健康にいい、という通説はよく耳にします。「腸の調子が良くなる」とか、「アレルギーが改善する」、さらには「免疫が高まる」、なんていう説もありますね。

夏目 いかにも身体に良さそうじゃないですか。

稲島 結論を先に言ってしまうと、私はこの3つのうち2つは眉唾だと考えています。

夏目 ええ!?本当ですか?

稲島 そもそもヨーグルトに「身体にいい」イメージがあるのは、イリヤ・メチニコフ(1845~1916)というロシアの学者の研究からのようです。彼は腸は便を貯める袋で、その中にいる、今でいう「悪玉菌」によって老化が進む、と考えたのです。

夏目 「大腸はただの袋」とは、ずいぶんな暴論ですね。

稲島 でも、この時代に常在菌に着目したのはすごいですよね。悪玉菌があるといっても大腸を取ってしまうわけにはいかないので、メチニコフは今でいう「善玉菌」を入れれば良いと考えます。そこで注目したのが「乳酸菌」。乳酸菌は、自分が生き延びるために周囲に弱酸性の環境をつくりだし、周囲に悪玉菌が生きにくい環境をつくります。

夏目 だから、乳酸菌は菌の中でも「善玉菌」なんですね?

稲島 彼はブルガリア地方に長寿の方が多いことに着目します。そして「ブルガリア人が長寿なのは食事に関係があるはず」と考え、様々な食物を調べます。そこでヨーグルトが長寿に影響がある、と考えたんですね。メチニコフ自身も、ヨーグルトを常食していました。そして、この説が注目を集め、世界中で「ヨーグルトは健康にいい」と言われ始めたのです。

世界中で食べられているが科学的根拠は一部のみ

夏目 先生の話を聞くと、やっぱり、単に「食べていい」感じがしますが?

稲島 たしかに、感染性(菌などによって起こる)腸炎については、1990年代以降の世界中の35論文をメタ解析してみると、ヨーグルトを摂っていると治るまでの期間が短くなる傾向があるという結果でした(Chochrane Database 2010)。しかし、これはあくまでも感染性腸炎に限ってのデータです。いつもヨーグルトを摂っている人が、そうでない人よりも身体的(PCS)にも精神的(MCS)にも健康であるというわけではなさそうなんです。

 その調査のあらましをまとめたものが下の図です。詳しい説明は省きますが、この「p値」というのが0.05を下回っていなければ「有意差がない」、つまり効果がないと解釈します。

夏目 つまり、ヨーグルトは腸の感染症には多少効くけれど、そのほかの効果は限定的だということですか?

稲島 そういうことです。ヨーグルトは免疫強化に良いとも言われているようですが、そもそも免疫は身体にとっての外敵を排除する力のことですよね。簡単に言えば感染症に対する防衛力のことです。現代日本人は他の時代や地域と比較して、感染症に苦しむリスクは比較的小さいですよね。むしろ、免疫が高すぎて困っている方々の方が多いかもしれません。

夏目 え!?そうなんですか!防衛力なんだから、高い方がいいに決まってるじゃないですか。

稲島 いいえ、リウマチなどの膠原病やアレルギーといった疾患は、免疫過剰によって自分の身体の一部を攻撃してしまうことで発症するんです。こういった疾患に対しては、免疫を抑える治療をすることもあります。

 ヨーグルトはアレルギーに効くという説もありましたね。マイアミ大学では、代表的なアレルギー疾患であるアトピー性皮膚炎と気管支ぜんそくを患う子どもたちを対象とした調査を発表しました。ヨーグルトだけでなく、ヒトに良いだろうと思われるいろいろな微生物(プロバイオティクス)を対象にしたのですが、結果、アトピー性皮膚炎(2797人)、気管支ぜんそく(3143人)のどちらも、プロバイオティクスが有効だという結果が得られませんでした(Pediatrics.2013 Sep;132(3):e666-76)。

夏目 うーん、アレルギーにも効果なしか…。

食べていいヨーグルトと食べなくていいヨーグルトの違いは?

稲島 そもそもヨーグルトが効果的なら、ヨーグルトの売上が増えるとともにアレルギー疾患が減っていくはずじゃないですか?この2枚の表を見てください。実際には、ヨーグルトの販売数が増えても、疾患は減ってないし、むしろ一部は増えているんです。

夏目 これだけ見ると、「ヨーグルトが売れるほどアレルギー疾患が増える。アレルギーの原因はヨーグルトだ!」なんて言い出す人もいそうですね。

稲島 あ、敵を作りそうなコメントですね。

夏目 ちょ、ちょっと待ってください!だって、この表は先生が…。あ、でも、エビデンスがないからといって、身体にいい効果がゼロって決まったわけでもありませんよね?

稲島 もちろんそうです。ここから先は「今後の研究が待たれます」としか言いようがありません。それに、先に少しご紹介したように感染性の下痢はヨーグルトを食べると治りやすいという、ゆるやかなエビデンスはあります。

夏目 じゃあ、稲島先生はヨーグルトなんか食べないんですか?

稲島 いえ、毎日のようにヨーグルトを食べてますよ。

夏目 !?

稲島 混乱させてごめんなさい。実は、ヨーグルトにはちょっと期待しているんです。腸炎に関しては良さそうですしね。しかも、以前に説明したある種のサプリのように有害な方向に行く結果はなさそうです((「βカロテン摂取で肺がんが増える!データで読み解く食品のウソホント」を参照)。そして、私はヨーグルトが好きです。

夏目 じゃあ、僕がヨーグルトを食べているのを見て、なんでケチをつけたんですか?

稲島 ヨーグルト自体がダメではないんです。ただ「嗜好」ではなく「健康のため」で摂るなら、一部の商品には気をつけてはいかがかなと思っています。ちょっと考えてみたチェックポイントは2つあります。

夏目 2つ!

稲島 まず、その商品、甘くないですか?精製された糖分の摂りすぎには、夏目さん普段から気をつけてますよね。コーヒーにも砂糖は入れないって言ってたじゃないですか。でもヨーグルトを通して糖分をいっぱい摂っていることになる!その「味」が好きなのではないのに、健康のためと思って。オヤジさんが糖尿病で苦しんでいるアナタがね!!

夏目 ひー!探偵みたいだ!

食べてもいいヨーグルトには「発酵臭」がする!

稲島 次はもっと大事です。その商品、「発酵臭」はしますか? 納豆やナチュラルチーズは、いずれも独特の「発酵してるんだな」という臭いがしますよね?でも、世の中で売られているヨーグルトのほとんどはいい「匂い」がする。「臭い」じゃなく「匂い」です。それの原因は2つ、微生物や発酵食品が少ししか含まれていない、あるいは発酵臭が帳消しになるほど香料がたくさん使われているから!あなたは健康イメージがあるからといって、香水を飲むようなことをしているんですよ。

夏目 ひー!先生、僕以上にいろんなメーカーを敵に回しそうです!じゃあ先生が食べているヨーグルトは何か別のモノなんですか?

稲島 いえ、特殊なモノではないですよ。牛乳にボチャンと入れると、翌日ヨーグルトになっているタイプです。特別カラダに良いという根拠があるわけではないですが、自宅で作れば余計なものが入りませんし、何より安いですからね。流行った時期もあるようですが、ステマになるのは嫌だから、あえて一部伏せます。「カスピ海ヨ○グルト」ってご存じですか?

夏目 マルの意味がない!

稲島 企業の回し者じゃないですし、他の物でも別にいいのです。この味や香りが好き、という商品であれば、効果や添加物を気にせず食べるのもありだと思います。しかし健康のため、という目的なら、無添加で甘味料も入ってない方が良いのでは?

 夏目さんは最近、糖分を頑張って減らして体調が良くなったと言っているにもかかわらず、「健康のため」にヨーグルト風味の甘味料を定期的に摂取してしまっているなら…ちょっと、もったいないように思えます。

夏目 なるほど…。では先生の家のヨーグルトの素を分けてください!

 

http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%e3%80%8c%e3%83%a8%e3%83%bc%e3%82%b0%e3%83%ab%e3%83%88%e3%81%af%e8%ba%ab%e4%bd%93%e3%81%ab%e8%89%af%e3%81%84%e3%80%8d%e3%81%af%e3%82%a6%e3%82%bd%e3%81%a0%e3%81%a3%e3%81%9f/ar-BBuDjzV?ocid=edgsp#page=2


大橋巨泉、在宅介護でモルヒネ過剰投与で急性呼吸不全-どこでも同じミスの繰り返しで多数が死に至る

2016-07-21 00:00:53 | 原子力

12日に急性呼吸不全のため82歳で亡くなった大橋巨泉さんの妻・寿々子さんが文書でコメントを発表した。

 コメント冒頭では、「本来は、私がインタビューをお受けするべきかとは存じますが、結婚以来47年、何処に行くのも、何をするのも一緒でという生活を重ねてきたので未だに心落ち着かず、皆様から優しい言葉をかけられると直ぐに涙で声が詰まりお話しできなくなります」と、今もなお、悲しみにうちひしがれている状況を説明し、文書での心境発表への理解を求めた。

 そして「どうぞ大橋巨泉の闘病生活に“アッパレ”をあげて下さい」とつづり、何度も病に侵されながらも頑張り抜いた夫へ賛辞を送った。

 文書の中では「もし、一つ愚痴をお許し頂ければ」と書かれた箇所があり、「先生から『最後に受けたモルヒネ系の鎮痛剤の過剰投与による影響も大きい』と伺いました。最後の在宅介護の痛み止めの誤投与が無ければと許せない気持ちでいっっぱいです」と、在宅介護中に起こった出来事に悔しさをにじませていた。


http://www.msn.com/ja-jp/news/entertainment/%E5%B7%A8%E6%B3%89%E3%81%95%E3%82%93%E5%A6%BB%E3%83%BB%E5%AF%BF%E3%80%85%E5%AD%90%E3%81%95%E3%82%93%E3%80%8C%E7%97%9B%E3%81%BF%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%AE%E8%AA%A4%E6%8A%95%E4%B8%8E%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E2%80%A6%E3%80%8D%E8%A8%B1%E3%81%9B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E5%BF%83%E5%A2%83%E5%90%90%E9%9C%B2/ar-BBuxsvx?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp


妻に受けさせてはいけない手術~乳がん、子宮がん、子宮筋腫ほか

2016-07-04 23:05:24 | がん

という重大な決断を迫られるケースが、男性よりも多い。そんなとき、医師は「女性の尊厳」や「一人一人の人生」を考慮してくれるだろうか? 

早期なら乳房や子宮を残したほうがいい

 医療コンサルタントの吉川佳秀氏は、こんなひどいケースを挙げる。

 「卵巣がんの患者さんでした。医師から勧められて手術を受け、当初は『がんはキレイに取れた』と言われていたんです。

 しかし手術から半年経つと、お腹に張るような違和感がある。検査をしてみると、腹膜に水がたまる『腹膜播種』で、調べてみると腹膜にがんが広がっていました。その医師が手術で卵巣がんを取り出したときに、周辺臓器にがん細胞を散らしていたのです。

 このように意味のない手術を行い、症状を悪化させる医師も少なくない。信頼できる医師かどうかを見きわめることが重要です」

 医師は、まるで習い性のように手術をしたがる。その根底には、「手術こそが自分の仕事」というプライドや、「治療をした」という自己満足があるのだろう。

 もちろん、医師や病院の「もうけのため」という側面もある。だが患者は、そのことで症状を悪化させられ、ひどい場合には死に至ることすらあるのだ。たまったものではない。

 とくに女性は乳がんや子宮筋腫といった婦人科の病気にかかることもあり、手術を受けるべきか否かという重大な決断を迫られるケースが、男性よりも多い。

 女性にとって大きな脅威である乳がんや子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)について、医学ジャーナリストの松井宏夫氏はこう言う。

 「女性特有のがんは早期で発見できた場合、手術で切除はせず、乳房や子宮を残したほうがいい。患者が高齢の場合も、進行が遅いので、無理に手術をする必要があるかどうか疑問です」

 乳がんの場合であれば、乳房にメスを入れ、さらに切除することは、それ自体のストレスもきわめて大きい。

 「しかし、そうした場合でも、手術が得意な医師は切りたがる傾向が強い。手術をすると患部を切除したというハッキリした結果が得られて安心するからです。一人の意思で手術の判断をしがちな開業医にはそうした人物が多いと思う。

 一方、組織化された『乳がんセンター』などでは、複数の分野の専門家が話し合って手術をするかどうかを決めています」(前出・松井氏)

 乳房を切られたり、子宮を取られたりといった状況に突き当たった女性の精神的なショックは計り知れない。医師はそうした「女性の尊厳」や「一人一人の人生」を考慮しているのだろうか。そうではない医師も多い。


「異常なし」というウソ

 多くの女性がかかる病気として知られる子宮筋腫。手術を経験した40代の女性はこう語る。

 「子宮筋腫を患い、長い間放置していたのですが、5年前にひどい生理痛や違和感に我慢できなくなって手術をしたんです。

 手術後、お医者さんからは軽い口調で『うまくいきましたよ』と言われたのですが、ずっとお腹に不快感があり、しかも入院中に原因不明の高熱も出ました。でも、お医者さんは相変わらず『異常はない』としか言わない。私はその言葉を信じるしかありませんでした」

 女性は退院を促されたが、その前後、なんと膣から尿が漏れたという。手術の際、尿管を傷つける失敗があったのだ。

 「その後、腎臓に穴を開けて『腎瘻』を入れ、尿を直接出す手当てをしてもらったのですが、その入れ替えの際、挿入がうまくいかずに尿が逆流し、細菌感染して急性腎炎をおこしました。数日間、高熱に苦しんだ。最初は発熱の原因もわからず、こちらが調べて病名を指摘し、ようやく病院が動いてくれたのです」

 子宮筋腫の開腹手術や腹腔鏡手術は難易度が低いとされるが、それでもこうしたミスで体を傷つけてしまうことがある。

 また、そもそも子宮筋腫とは良性の腫瘍のことを指すので、時間をかけて経過を見つつ、患部だけを除去するという選択肢もある。しかし、病院側には子宮筋腫をじっくり治療するメリットは少ない。

 医療ジャーナリストの田辺功氏が言う。

 「今の診療報酬体系のもとでは、時間をかける治療は実入りが少ない。子宮の全摘出を勧めたがる病院も少なくありません。

 しかし全摘出をすると、ホルモンバランスを崩したり、子宮を失ったことに大きなショックを受けたりする。若い女性であれば、もちろん子供も産めなくなってしまいます。彼女たちの喪失感は想像するに余りあるものです」

 現在はUAE(子宮動脈塞栓術)という、子宮を摘出せずに動脈をふさぐことで腫瘍の成長を防ぐ方法もある。とはいえ、この治療法も、妊娠出産の際、早産や出血を起こすリスクがあるといわれている。

 子宮にかかわる病気でさらにやっかいなのが、子宮腺筋症だ。子宮の内側の広い範囲に病変が現れるという病気で、激しい痛みや違和感を伴う。

 医療ジャーナリストが言う。

 「子宮筋層に網の目のように病変が広がるため、子宮筋腫よりも手術の難易度が高い。手術をすると、妊娠した際に、子宮の一部が切れる『子宮破裂』という症状を起こしてしまう危険性もあります。腕のいい医師でないと手術が難しいし、基本は薬物療法で対処すべきです。

 子宮腺筋症で、すぐに『切りましょう』と提案してくる医師は信用できないと言っていいと思います」

 卵巣嚢腫の手術にも失敗のリスクがある。

 この嚢腫は巨大化すると、卵巣が突然捻転を起こし、激痛をもたらす可能性があるため、摘出が推奨される場合もある。しかし、焦って切る必要はない。前出の医療ジャーナリストが言う。

 「もともと良性の腫瘍なので、腫瘍が大きくないのに焦る必要はありません。手術を経験した人のなかには、医師に勧められて行った腹腔鏡手術で小腸を傷つけられ、大量の出血を経験した人もいるので注意が必要です」

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160702-00049071-gendaibiz-soci&p=1