韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権が、米国の「二等国」扱いに地団駄を踏んでいる。韓国が求めるウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理(濃縮・再処理)について、米政府が拒否しているからだ。米政府は特例で日本には認めているだけに、反日一直線の韓国には許しがたい“差別”と映る。米韓協議の膠着状態は変わらず、国内ではイライラが募っている。
「交渉で一部進展はあったが、使用済み核燃料管理、安定した原発燃料供給についても協議しなければならないため、先は長い…」
韓国政府関係者は先月上旬、米韓原子力協定改定をめぐる米政府との交渉後、こう肩を落とした。韓国政府は濃縮・再処理を目指しているが、協定で米国の同意なしではできないのだ。
濃縮・再処理は、朴氏が大統領選に出馬したときの看板政策。韓国は、原発出力量が世界第5位の原発大国で、濃縮・再処理が認められれば、電力コスト低下と使用済み核燃料の安全管理が見込める。だが、米政府は米韓原子力協定(今年3月失効)を2年間延長し、改定交渉に付き合うことには合意したが、肝心の濃縮・再処理は頑として認めない。
韓国紙『東亜日報』は1月13日付の社説で、防衛費分担交渉で韓国側が譲歩したことを持ち出し、「米国も韓米間に残る宿題の解決に誠意を示すべきだ」と焦燥感をあらわにした。
なぜ、韓国は濃縮・再処理にこだわるのか。
著書『呆韓論』(産経新聞出版)がベストセラーとなっているジャーナリストの室谷克実氏は「技術的問題もさることながら、日本に認められて、韓国に認められないのが我慢ならない。『同じ同盟国なのに、米国は差別している』となる」と解説する。
米政府にも認められない事情がある。1992年の朝鮮半島非核化共同宣言では「南北朝鮮が濃縮・再処理施設を保有しない」としており、北朝鮮に核開発の口実を与えるうえ、韓国には“前科”がある。
朴氏の父・朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は1970年代、ひそかに独自の核開発を計画し、米国の強い圧力で中止に追い込まれた。昨年11月にも、与党・セヌリ党の大物議員が国会で核武装論を唱えており、とても“過去の野望”と片付けられない。
朴正煕
米紙『ニューヨーク・タイムズ』は昨年4月、韓国への濃縮・再処理容認は「韓国を核兵器製造に近づける。許可を与えるのは重大な誤りだ」と断じた。同盟国ながら、韓国を信用できない米国の本音が垣間見れる。
前出の室谷氏は「朴正煕時代の核武装計画は一部の専門家は知っているが、ほとんどの韓国人は知らない。都合の悪いことは次々に忘れ、『二等国扱いする米国はケシカラン』と批判する」といい、こう続ける。
韓国政府も内心、濃縮・再処理が認められるとは思っていないはず。
だが、言い続ければ間違って認められる可能性もある。慰安婦問題や日本海呼称問題と同じだ。この国民をつけ上がらせてはならない。
日本、米提供のプルトニウム返還へ
政府は26日、冷戦時代に米国などから研究用として提供された高濃度のプルトニウム計331キロを、米側の要請に応じ返還する方向で調整に入った。オバマ政権が重視する核軍縮・不拡散への日本の取り組みをアピールする狙い。