今年の皐月賞とダービーを、かなり強い勝ち方をしたドゥラメンテが、放牧先のノーザンファームで両前脚を骨折したという。さほど重傷ではないらしいが、手術を要するらしい。復帰は来春4月、5月というが、間に合って6月の宝塚記念だろう。無理をせず、キングカメハメハの後継種牡馬としてスタリオン入りしたほうが良いかもしれない。くれぐれも凱旋門賞などには行かないで欲しい。また賞金額に惹かれてドバイに行ったり、GⅠの名に惹かれて香港のレースなどに行かないで欲しい。どうせろくなことはないし、競馬からファンが離れるばかりだろう。
菊花賞馬ソングオブウインドも香港に遠征し、体調を崩した上に無理に出走させ、故障した。これがソングオブウインドの最後のレースになった。日本の競馬ファンは、二冠馬メイショウサムソンを破った後の、彼のレースを見ることができなかったのである。
競馬には強い世代と弱い世代がある。2004年生まれ、2007年のクラシックは、ウオッカとダイワスカーレットの2頭の牝馬が傑出していたが、牡馬のレベルは低かった。何しろ64年ぶりに牝馬にダービーを勝たれてしまったのだから。
この年、皐月賞を勝ったヴィクトリーも、2着のサンツェッペリンも大したことはなく、おそらくこれを見てウオッカ陣営はダービーを勝てると思ったに違いない。ヴィクトリーは史上最弱の皐月賞馬ではないか。サンツェッペリンは単なる早熟馬だったに違いない。
無論、ダービーでのウオッカは強かった。2着のアサクサキングスは秋に菊花賞を勝ったが、古馬となって、強いという印象のレースはなかった。
ウオッカとスカーレット以外の牝馬もさほど強くない。オークスを勝ったトールポピーはその後1勝もできず、2着のエフティマイアも典型的な早熟馬だった。
次の年の2005年生まれ、2008年のクラシック世代のレベルも相当低かった。皐月賞馬キャブテントゥーレは、その後GⅢの朝日チャレンジCを二度勝ったが、GⅡもGⅠも良いところなく敗れている。
新馬勝ちの1勝のみで、共同通信杯や弥生賞2着で皐月賞に出走し、2着に好走したタケミカヅチは、古馬となってダービー卿チャレンジTに1勝したのみで引退していった。生涯成績は2勝のみである。
この年の菊花賞はオウケンブルースリが人気に応えた。古馬となって京都大賞典に勝ったのみで、後は重賞レースの常連ではあったが、あまり良いところも見せず引退していった。
菊花賞2着のフローテーションも故障と脚部不安につきまとわれ、一年に一戦しかレースに出られず、引退していった。
2006年生まれ、2009年のクラシック世代は、牝馬のブエナビスタが傑出していたが、この年も牡馬のレベルは相当低かった。
アンライバルドは皐月賞までは強かったが、その後は惨敗し続け、古馬となって金鯱賞ごときのレースも勝てずに消えていった。父のネオユニヴァースも競走生命は短かった。おそらく脚元や体質が弱く、どちらかというと早熟型なのだろう。アンライバルドの母の父は晩成型のサドラーズウェルズだが、その底力や成長力は伝わっておらず、全く似なかったのだろう。
ちなみに種牡馬ネオユニヴァースやアグネスタキオンは、どうも体質が弱く脚部不安がつきまとう。産駒もその虚弱体質を受け継ぎ、競走生命の短い馬が多いように思う。彼等がレースに出走する度に、その脚元が気になる。
この年のダービー馬ロジユニヴァースも父がネオユニヴァースだが、常に脚部不安がつきまとい、ダービー後4戦して勝てなかった。そのうちの2戦は札幌記念である。札幌記念ごときも勝てなかったのである。
この年の菊花賞馬スリーロールスも、菊花賞後に有馬記念に挑んだが、故障を発生し競走を中止した。スリーロールスは競走能力を喪失し、そのまま引退した。その父ダンスインザダークの長距離の能力とともに、脚部の弱さも受け継いだのである。
菊花賞で2着になったフォゲッタブルは、その後ステイヤーズSとダイヤモンドSを勝って4勝目をあげたが、引退まで19連敗、しかもほとんど惨敗だった。彼もダンスインザダーク産駒で、長距離の能力を受け継いだ。あまり脚部に不安はなかったが、脚を痛めるほどのスピードがなかったのである。トーセンジョーダンは2011年の秋の天皇賞を勝ったが、引退時期を誤り、その後は無残な成績を曝した。
2007年生まれの世代はあまり強い印象がない。皐月賞のヴィクトワールピサ、ダービーのエイシンフラッシュ、菊花賞のビッグウィーク…いずれも強いという印象はない。ヴィクトワールピサはよく凱旋門賞に挑んだものである。その後の有馬記念を勝っているが、2011年のジャパンCも有馬記念も惨敗した。ローズキングダムはジャパンCを勝っているが、その後の成績は見るも無残である。
2008年生まれの世代は強かったと思う。規格外の傑出馬オルフェーヴルが出た。そのため万年2着に泣いたウインバリアシオンも強い。何しろ相手が規格外だったのだ。
2009年生まれも強い世代である。牡馬では、おそらくダービーを勝ったディープブリランテより、ゴールドシップのほうが圧倒的に上だろう。またディープブリランテよりフェノーメノの方が上だったのではないか。この世代にはスピルバーグもいる。ジャスタウェイが世界ランキング1位になったのには驚きだが。私は口が悪い。そのニュースを聞いた際、思わず「ジャスタウェイごときが…」と失礼な言葉を口走ってしまった。
牝馬には何と言っても、抜けた存在のジェンティルドンナがいる。そのため万年2着に甘んじたヴィルシーナもいる。
ディープブリランテがダービー後の夏、イギリス・アスコットのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSに遠征したことを残念に思う。この無理が屈腱炎を発症させ、菊花賞を断念、さらに引退せざるを得なくなったのだと思うのだ。
2010年生まれの世代はロゴタイプ、キズナ、エピファネイアがいるが、この世代は強いのかどうか、実はよく分からない。ロゴタイプは皐月賞後1勝もしていない。キズナもピリッとしない。エピファネイアはジャパンCに勝ったが、有馬記念でジェンティルドンナに完敗し、賞金額につられてドバイワールドCに遠征し、最下位に終わった。
2011年生まれの世代のことである。昨年2014年のダービー後、私はレベルの低い世代ではないかと書いた。皐月賞馬イスラボニータはフジキセキ産駒なので、限界距離が2000から、もっても2400メートルまでだろう。相手がオークス馬のヌーヴォレコルトとは言え、1800メートルの中山記念の5着は情けない。2010年生まれの皐月賞馬ロゴタイプも、このレースで2着に敗れている。
ダービー馬ワンアンドオンリーは、神戸新聞杯は勝ったものの、その後は良いところがない。香港遠征などしなくても良かったのではないか。宝塚記念の11着は何が敗因だったのだろう。宝塚記念が菊花賞以来のレースだったトーホウジャッカルにも大きく離されている。実力的にはトーホウジャッカルのほうが上なのだろう。
ところで宝塚記念のゴールドシップはどうなのかというと、やはり現役最強馬、最凶馬なのだ。こういう個性的な馬はいい。可愛いくらいだ。
ちなみに近年の競馬は牝馬のほうが優秀である。ウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、アパパネ、ジェンティルドンナ、ハープスター…。これからもその傾向は続くのではなかろうか。
(この一文は2015年7月月24日に書かれたものです。)
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