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平均への回帰 ~叱ると良くなるのか?~

2014年12月26日 | ヒューリスティックス・バイアス


(1)最小努力の法則
人間の判断や意思決定には、2つの系統(システム)がある。直観と熟慮。
熟慮には、心的努力(エフォート effort)が必要。コストがかかる。
人間は、できるだけ努力せずに済む方法を選ぶ。

(2)ヒューリスティックスとバイアス
物事の正しい判断には、熟慮が必要。しかし、熟慮には、努力(エフォート effort)も必要。
そこで、努力が不要な直観的な判断を行う。それが、ヒューリスティックス。
だだし、ヒューリスティックスによる判断には、誤謬や偏り(バイアス)が含まれる。

(3)平均への回帰
人間のパフォーマンスは一定ではなく、変動している。パフォーマンスが大きく変動した直後の試行では、パフォーマンスが平均値に回帰する確率が高い。そのことが、褒める・叱ると連動しているようにみえることもある。
(例)
選手が失敗したときコーチが叱ると、次は成功する。そこで、コーチが選手を褒めると、次は失敗する。
選手はコーチに褒められると、次は調子に乗って失敗する。
選手はコーチに叱られると、次は気を引き締めて成功する。
だから、コーチは選手を褒めずに、叱った方が良い …?

この選手のパフォーマンス(ゴールにシュート)は、偶然の変動によるもので、コーチの褒める・叱るとは関係ない。この選手のパフォーマンスの平均値に、回帰しているだけ。
コーチが失敗して叱る・成功して褒めるのは、パフォーマンスがこの選手の平均値に比べて、大きく低下した・遥かに優れていたとき。
これらのパフォーマンスは偶然の変動で、その直後は平均的なパフォーマンスに戻る確率が高い。

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ダニエル・カーネマンとADHD ~心的努力(エフォート effort)について~ >>このブログ内のリンク先
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