秀山の俳句写真日記

日々の生活、旅先での出逢い・思いを俳句、写真、文にした徒然日記です

流氷の下にクリオネきつとヰるはず(その2& 終)

2021年02月18日 22時19分35秒 | 旅行

 

 

 最北端の2日目、朝食前の稚内港散策で最北端のしばれる寒さの洗礼を受けた後、雪降る中、いよいよ流氷岬へ出立です。

 エゾジカに見送られるや 雪ふるなか

 観光バスの中からですが、夫婦(めおと)らしきエゾジカ2頭が立ち止まって私たちを興味深く見とめたように思え、とても親近感を覚えました、勝手解釈ですが・・・。

 砕け寄す白波雪の海岸線

 「矢羽根つきポール」を見ますと、この時の積雪はこの地ではまだたいしたことではないようですが、砕け寄す白波は東京育ちの私には怖いものでありました。

 美しや怖くもありぬ雪景色

 雪見るは美し暮らすは易からず

 雪の中の家並みを見た時、童話の世界をイメージして楽しかったのですが、道路脇の積雪の高さには怖さを覚えました。大雪の中での生活も大変なんだろうな、とも思いました。

 流氷を砕き打ち揚ぐ自然力

 

こんな巨大で数多い氷塊を人間が陸に打ち揚げることを考えると、自然力のなんと巨大なことか・・・。

 流氷の旅路の果ての北海道

 海の幸よぶ流氷の到来す

 流氷原見れる見れるぬ風次第

 ツアーガイドさんの説明では、北海道に流れ着いた流氷は、アムール川の河口でできた氷が南下しながら成長してきたものとのことです。渡り鳥が航路迷わず日本と世界各地を行き来することもすごいと思いますが、流氷が大海原を旅して日本に到来するこの自然の営みには言葉がありません。畏怖という感情でしょうか。八百万の「もの」、八百万の神を敬い畏怖する日本人の信仰心は、自然と自然の一部でしかない人間との関係に実に素直で、しかも自然の理に合った関係性を自然と築き上げているのではと思います。

 流氷は、オホーツク海の漁港に海の幸をもたらしています。流氷にはアイスアルジーという植物プランクトンの餌になる苔がつき、そのプランクトンが小魚を、そして小魚が大型魚類を連れてくるといわれています。

 この流氷が日本の沿岸に近づくも遠ざかるも風次第とのこと。風の力の凄さを改めて知った次第です。北海道の冬は不順な天候の日が多く、先ず流氷に出逢えるか、また出逢えたとしても観ることのできる天候か?全てお天気任せの運次第とのことです。

 こんな流氷原 出逢ふは稀とガイドさん

 この日はここに来る途中雪に降られましたが、ここに着く頃は青空も見え、流氷原が岸近くまで風に運ばれてきていたのです。

 ガイドさん曰く、こんな流氷原を見れるのは年にそうないとのことです。今回のツアーには、13回目で今回初めて観れたと言われる方もおられ、初回で見れる私はラッキーそのものです。これで、天候不順で危ぶまれている翌日の東京への飛行機が無事飛べば、パーフェクトと思いました。

 流氷原 船はガリンコ胸はワクワク

 流氷原 進むガリンコねじ原理

 いよいよ流氷砕氷船ガリンコ号に乗って流氷原に行きます。ガリンコ号を見回した時、これは大きなネジを進行方向に2本並べ、回転させて流氷原をよじ登りながら進むのだろうと勝手に解釈しました。「ガリンコ」とはこの推進方法の様とその音を連想させる名前を付けたのではと思いました。氷菓子の「ガリガリ君」も似たようなうまい命名です。

 氷片のみつる沿岸北の果       果:はて

 ガリンコ号に乗るとすぐにこの光景に出逢いました。どのような原理がH2Oのこのような現象生み出すのか分かりませんが、自然の造形力に改めて感服です。同時に、水中は冷たいんだろうなとも思いました。

 冷たさう流氷かこむシヤーベット

 こんな流氷原 出逢ふは稀とガイドさん

 流氷の間に淡き翡翠色    間:はざま

 真白き流氷原で翡翠色に出逢うとは予期せぬことで、その淡さに魅せられました。この景に出逢った以後、この翡翠色を帯びる流氷の塊を探し、ついに見つけました。

 競り上がる流氷あわき翡翠かな

 流氷の下にクリオネきつとヰるはず

「流氷の天使」、「氷の妖精」と呼ばれるクリオネは八景島シーパラダイス(横浜市)とサンシャイン水族館(豊島区)で見、そのかわゆく美しい姿に魅せられました。日本名はハダカカメガイでサイズは1~3㎝、浮遊性の巻貝を食べる肉食です。この海では当然見れないと思いつつも、いざ流氷現場に来ますと、「ここにいるんだ~」と想像逞しくしながら、流氷の下の冷たく深い藍色の澄んだ水を見つめていました。

 このガリンコ号の遊覧で、今回の旅の目的は120パーセント達成、という気分になりました~!!!


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流氷の下にクリオネきつとヰるはず(その1)

2021年02月17日 23時06分57秒 | 旅行

 

今から8年前のこの2月、念願の流氷を観たく、一人でツアーに参加しました。いつもは個人旅行ですが、雪の季節で車が必要な時はツアーに連れて行ってもらいます。ニューヨーク在住の時に雪道で車がスリップして一回転した怖い経験があるからです。東京のお天気は良かったのですが、稚内は良くないようで、引き返すかもしれないとの条件で搭乗しました。

 引き返す覚悟で雪の道北へ

 地の襞がくっきり雪の北海道

       襞:ひだ

 何十年かぶりに機上より見る北海道の雪景色、飽くことなく見入っていました。

 引き返さず着陸雪の最北端

 雪上車乗りて実感北海道

 雪の坂制御不能のチュープ乗り

 稚内空港には無事着陸でき、先ずは観光バスで「道立宗谷ふれあい公園」に行きました。そこでは、雪降る中、雪上車牽引のカートでドライブ。しばれましたが歳を忘れて興奮しました。年甲斐もなくチューブ乗りにもチャレンジしました。

 次の目的地は日本の最北端(北緯緯45度32分)の宗谷岬。間宮林蔵の立像もあります。

 巡りめく思ひしばれる最北端

 利尻島宗谷岬も雪の中

 初めて最北端に立ち、先ず思い浮かんだのが間宮林蔵と伊能忠敬で、その偉業を偲びました。両人が住んだことのある江東区(私の現住地)の教育委員会によれば、間宮林蔵(1775or1780年~1844年)は伊能忠敬(1745年~1818年)の弟子であったとのことです。徒歩で伊能は全国を回って極めて正確な日本地図を作り、間宮は樺太からシベリアに渡り、樺太が島であることを世界で初めて確認し、ユーラシア大陸との間の海峡に世界地図に日本でただ一人「間宮海峡」という日本人名を残しました。(現在では「タタール海峡」と呼称されることが一般的)

 お二人の志と能力の高さ、強靭な体力と精神力に改めて感服してしまいます。

 ちなみに、北緯45度上の世界の都市にはミラノ、モントリオール、リオンがあります。東京は北緯35度、最南端の石垣市は北緯24度。

 ロシア舞踏の歓迎ここは最北端

 1日目の夜はロシア舞踏での歓迎会です。最北端がロシアに近いことを改めて実感しました。

 肌つるつる雪の露天湯昆布味

 昆布湯の眼下は雪の港町 

 ロシア舞踏の後は稚内副港市場内にある「港のゆ」でひと風呂浴びました。露天風呂からは港の夜景が一望。最北端の露天風呂と思うだけでも楽しく、しばれる寒さも気にならず夜景と湯の味・感触を堪能しました。残念なことに、「港のゆ」はこのコロナ禍で現在閉館となっているとのことです。

 市民生活守る除雪車夜明け前

 雪凍てつく漁船漁師の逞しく

 二日目の朝食前、6時頃に一人で稚内港を散策しました。ホテルを出た時にはあまり感じなかった寒さが、時が経つにつれ深々とコートから刺し込む感じで、北海道の朝の寒さを思い知りました。まさに、piercing coldです。まだ夜の明けぬ6時13分に除雪車と出逢いました。ニューヨーク、ポートワシントンの冬の朝を思い出しました。冬の夜明け前の薄暗さと寒さが醸し出す何んともいえないもの寂しさです。港に行きますと、船体に雪が凍てついている漁船が接岸していました。冬の北の海での漁業、危険でご苦労が多いんだろうな、と思いました。


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巣籠には煎茶でゆつたり春隣

2021年02月11日 17時05分59秒 | 日記

巣籠には煎茶でゆつたり春隣

 まだまだ寒い日が続いていますが、朝、カーテンや障子越しに明るくなり始める時間が早まり、夕方、外の日の暮れ時が遅くなってきているのを実感します。

 春隣り、春近し・・・。長い夜の時間がだんだん短くなり夜昼同じになる春分の日もあっという間に来てしまいそうです。今年は3月20日(土)。

 コロナ禍のせいで外食はほぼゼロ。食事は毎日、我が奥さんの美味しい手料理をいただいていますが、夕食後、煎茶を入れて飲むことが多くなりました。茶を入れる役目は私となっております。お茶の葉はごく普通のものですが、小さな器で飲むと、美味しく、何故か気持ちも落ち着きます。普通のサイズの急須と茶碗で飲む時と、入れるお茶の量はほぼ同じでも、味はより美味で、量的な満足感はあまり変わらないような気がします。飲める量については実際は少ないかも知れませんが、飲む回数が多くなりますので、このように感じるのかもしれません。

 巣籠生活では無自覚の内にストレスが溜まっているかもしれませんので、手間はかかりますが、小さな器でお茶をゆったりいただくのは精神的に良さそうです。


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如月に色の鮮やか道の花

2021年02月08日 11時24分27秒 | 日記
如月に色の鮮やか道の花
 如月の由来には、①もともとは「衣更着(きさらぎ)」という漢字で「寒さが厳しく衣を更に着る季節」という意味であったとの説、②春に向かって草木が生え始めるので「生更木」という説、などがあるとのことです。「如月」という漢字は中国の2月の異名「如月(にょげつ)」に由来し、寒い冬が終わり春に向かって万物が動き始めるという意味があるとのことです。如月の中国での意味と、草木の一年の移り変わりを勘案しますと、私は「生更木」説派です。
 花々の色彩は、年の始は水仙、梅のように派手さのない落ち着いたものですが、時の進行と共に多様に、濃く豊かなものになっていくように思えます。
 そんな思いの中、今日、道路脇に色のはっきりとしたキカタバミが目に飛び込んできました。去年のコロナ散策開始から、この花には春から秋にかけてどこででも出会った逞しい花ですが、この二月にも咲いているとは驚きでした。色、容姿、惹かれる花です。
 カタバミの花言葉は「喜び」「輝く心」「母のやさしさ」、花期は4月~10月
 
花一つ二つ三つ四つ雪柳
 春を告げる雪柳も花を付け始めました。この花が咲き揃うと本当に辺り一面雪に覆われたように見事に真っ白になりますが、一斉に散ってもしまいますので、その時の寂莫感は他の花に無いものがあります。が、一斉開花が待ち遠しくなりました。春来る、です。
 花言葉:「愛嬌」、「愛らしさ」、「賢明」、「殊勝」、「静かな思い」
 
 日の影を宿す白梅清爽と
 白梅は見ていますと心が澄んでいくように、また意味もなく物悲しくも感じます
 花言葉:「不屈の精神」「高潔」。紅梅は「優美」。白梅は「気品」。

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コロナ禍を気持ち明るく 春立ちぬ

2021年02月03日 22時50分14秒 | 日記
コロナ禍を気持ち明るく 春立ちぬ
マンションの絆記念樹河津咲く
 
 
 今日は立春。これからの人類史にも語り継がれるであろう今日の疫病ですが、自然の時は淡々と刻まれ、生きものが一斉に目覚める季節の幕開けとなりました。
 一人ひとりがそれぞれ大変な時ですが、気持ちだけでも明るく日々を過ごされることを願います。
 医療の分野を含め、私たちのライフラインを守ってくれておられる方々には本当に感謝の念で一杯です。
 
 私が住んでいるマンションでは、1997年に創建20周年を記念して河津桜一本が自治会から管理組合に寄贈されました。今ではマンションの入口で、近隣の仙台堀川公園の桜並木に先駆けで見事な花を咲かせてくれています。
 今年はコロナ禍の中、ひと際、瑞々しい緑の蕾と薄紅化粧のお花が目に沁み、「絆」の記念樹に元気をもらっています。

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