タンポポの花と綿毛が一ヶ所に
生の継承見るが思ひや
踊子歩道にて
道の駅「天城越え」から浄蓮の滝へは、自動車道をほとんど通らない緩やかなハイキングコースがあります。2.5キロほどで、この土地に相応しい「踊子歩道」と名付けられています。そこの道の端で出逢ったのがこの一コマです。一つのタンポポは、花が咲き、次に種子を内包する綿毛となり、この綿毛が飛んで新たな地に根付き、次の世代の花を咲かせます。このようにして、一つのタンポポの生は次世代に継承されていきます。この写真の花と綿毛のタンポポはそれぞれ独立した別個のものですが、一つの生の継承の異なる過程を一時(いちどき)に見る思いがしました。
今、たまたま日高敏隆著「動人物 動物の中に人間がいる」を読んでいまして、その中で、「人間以外の動物において、進化はある個体が自分の血のつながった(つまり、自分の遺伝子をもっている)子孫をできるだけたくさん後代に残そうとする方向におこってきた。」と書かれています。私はこの本を読むまでは、「生物は種の保存のために進化してきた」と思っていましたが、この本によれば、今日では「(動物界においては)種族ではなく、自分の遺伝子の保存繁栄こそが(個々の動物にとって)重要なのである。」{このカッコ()内は私の挿入文です}とのことのようです。
今回の光景をみて、タンポポもきっと動物と同じように、自分の遺伝子を子孫に残そうと、生のサイクルを淡々と営んでいるに違いないと思いました。