裁判員制度について知りたい
裁判員制度創設の経緯
裁判員制度は、国民が裁判に関与することです。
制度が始まる前は、専門の裁判官が刑事裁判の審理をするという形態でした。
しかし
当時の世界の先進国は、多くの国が国民参加の刑事裁判を行っていました。
日本は、経済大国でしたが、刑事裁判では世界の趨勢に遅れていました。
それで、国民参加型の裁判が平成20年5月20日に創設されました。
現在までに、約10万人位が裁判員になっています。
裁判員制度と陪審員制度
国民参加型の制度は、アメリカ型の陪審員制度、ヨーロッパ型の裁判員制度があります。
日本には、明治の大審院時代に陪審員制度がありましたが、その後廃止になりました。
日本は、陪審員制度でなくヨーロッパ型の裁判員制度を採用したのです。
その違いは
陪審員制度は、裁判官を除く6~12名の陪審員が合議制で事実認定をする制度です(刑の量刑まではしません)
民事事件もあります。
裁判員制度は、被告人の有罪無罪の事実認定、刑の量刑の二つを判断します。
その意味で、陪審員よりも裁判員の負担が大きい言えます。
裁判員制度は、裁判所が創設したのではありません
日本国憲法は、国会(立法)、内閣(行政)、司法(裁判所)の三権分立制度を採用しています。
裁判員制度は、国会が法律を制定して創設しました。
※ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
裁判所は、法律を具体的事件で適用するもので、立法権はありません。
裁判員の選任
裁判員は、地方裁判所毎に市町村の選挙管理委員会がくじで選んで作成した名簿に基づいて、翌年の裁判員候補者名簿を作成します。
※ 20歳以上の人
事件ごとに名簿からくじで候補者が選ばれます。
裁判員には、日当が支払われます。
裁判員になった人を雇用する会社などは、裁判員に協力しないといけません。
選ばれた人は、原則として辞退できません。
※ 辞退できる人
70歳以上の人、学生生徒、妊婦、重い病気や怪我、付き添い介護など
最終的に、6人の裁判員が選ばれて法廷で刑事事件の審理に立ち会います。
1刑事事件は、3人の裁判官(合議制)と6人の裁判員で審理されます。
事件の評決は、多数決で決定されます。
裁判員制度になって良かったこと
刑事裁判の審理が迅速におこなわれるようになった。
それまでは、刑事裁判は長い期間を要していました。
何年もかかったという刑事裁判もあります。
裁判員制度では、公判前の整理手続きなどが導入され、また、裁判員が裁判に関与することから、審理が前より迅速になりました。
裁判員制度の問題点
裁判員制度は、地方裁判所の1審の審理であり、判決が控訴されて高等裁判所で2審の裁判が始まると、高等裁判所の3名の裁判官の審理になります。
1審の裁判官と裁判員が苦労してい評決したのが、高等裁判所の専門の裁判官により覆ることもあります。
最高裁判所でも裁判員はありません。
国民参加の裁判員制度の意味が薄れるのではないかと疑問が残ります。
結論
今までの裁判官だけの刑事裁判から、国民が参加する裁判に変革を遂げ、10年が経過して、国民の意識の中に浸透してきたと言えると思います。
ただし、色んな問題もあり今後の改革の検討が必要だと思います。
あなたに対し、突然、裁判所から裁判員の通知がきたらどうしますか?
多くの人は、困った辞退したいと思うでしょう。
しかし、納税と同じように、国民の義務ですから応じないと仕方ないですね。
裁判を経験したいという人は、興味を持って裁判に関与して下さい。
3年前裁判員を経験しました。
ブログにも簡単に載せたました。
人生、とても素晴らしく勉強させて頂きました。
良い経験されたと思います。
私は裁判所にいましたので、中から裁判員制度を見ていました。
外からの経験は貴重だと思います。
裁判がどのようなのか、経験が役に立ちますように祈っています。