髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

天使の吐息 #36

2009-12-07 20:30:50 | 天使の吐息(詩)
幼稚園児の男の子がいました。

公園で近所の男の子や女の子の友達と遊んでその帰りです。

結構、寒くなっているのにもかかわらず水道の水を出して遊んだので手が冷たくなっていました。

「手袋忘れた」

お気に入りのヒーローが描かれた手袋を家に置いてきてしまいかなり冷えていました。

はぁ~

息を吐いて、手を温めますが冷たい風が吹いて温度を奪いました。

「手が冷たい」

「私の手袋使う?」

女の子が自分の右手を差し出してくれました。

「え?」

ありがたいところだったのですが女の子の手袋はピンクでハートの柄が入っており、明らかに女の子もの。彼が気に入るわけはありませんでした。

ヒュウ

「そんなのいっ!クシュン!」

嫌だと言おうと思ったらくしゃみが出てしまい言えませんでした。

「風邪引いちゃうからホラ~」

強く言われて思わず手袋を受け取ってしまいました。

それからいらないと突き返すわけにもいきませんから渋々手袋をはめました。

「あったけぇ~」

女の子がさっきまでつけていたものですからぬくもりが残っていました。

「でも、俺に貸しちゃっていいのかよ。片手、冷たいだろ?」

男の子も気を使います。

「こうすれば温かくなるよ」

女の子は渡した手袋の右手を男の子の手袋を渡していない左手を取りました。

「つめた~い!こんなに冷たくて、手、痛くない?」

「うん。あ、ちょっと待って」

ゴシゴシ・・・

男の子は手を離して、手を合わせて擦ったり、左をズボンで擦りました。

「コレでよし」

それから手をつなぎました。

「さっきよりちょっと温かくなった」

「お前の手、本当に温かいな」

「じゃ、帰ろう?」

そのまま二人は手をつないだまま帰るのでした。

天使の吐息 #35

2009-11-30 21:33:51 | 天使の吐息(詩)
女子高生が公園で焚き火をしていました。

じっと炎を見つめていました。

「みんな燃やしてやる・・・」

彼女は、長年、親友だった子と喧嘩別れをしてしまい、交流していた手紙などを全部、公園の落ち葉を集めて被せて焼こうとしていました。

彼女は、几帳面な性格で今までやり取りしていた手紙などを全部取って置いたのでかなりの量があって箱の中に沢山、溜まっています。

「お嬢さん。公園で焚き火はいけないな~」

おじいさんが彼女を見かけて声をかけてきました。箱を茂みの中に隠しました。

「バケツがあるんだからいいでしょ」

睨みを利かせ、キツイ口調で言いました。

彼女が言うとおり、バケツに水を汲んで置いておいてます。

彼女はご老人が嫌いでした。

その理由は単純明快老人特有の臭いが嫌いだからです。

彼女の祖父母に対しては、お年玉やお小遣いをもらうときだけいい顔をしてもらった途端、あからさまに邪険にするような態度を取っていました。

ですから、見知らぬ老人など拒絶の対象です。

「そうかい・・・でも、ぬくい。ぬくい」

老人は火に当たり始めました。

『もう!どこか行ってよ』

「焚き火をしているのなら芋でも持って来た方がいいかな?ちょっと待ってな」

おじいさんは立ち去りました。

『ええ~。また来るのぉ?もう水をかけて帰っちゃおうかなぁ?』

ヒュウ

急に風が吹いて、手紙を入れていた箱から手紙が何枚か舞いました。

「ああ!」

茂みの奥に入ってしまい、取るのに苦労しました。

「おう!戻ってきたよ~」

『早っ!しかも何人かいるし!』

彼女が言うとおり、近所の老人を集めたようで3人もいます。

『はぁ~・・・』

これで帰りにくくなりました。

「さて、芋を入れるか・・・」

最初に来たおじいさんはアルミ箔でつつんだ芋を焚き火の中に入れました。

「せんべいを持ってきたんだけど食べるかい?」

新しく来たおじいさんはお菓子を持っていました。

「アタシは魔法瓶の中にお茶を入れてきたけど飲むかい?」

もう一人のおばあさんは大きめの水筒を持っていました。

「いいですから・・・別に欲しくないので・・・」

彼女は断りました。

「遠慮しなさんさ。若いんだから」

新しく来たおじいさんは結構、食い下がる性格のようです。

「嫌がっているんだからおよしよ。若い女の子を見ると誰彼構わず~」

新しく来たおばあさんがおじいさんをたしなめます。

「何を言うか。誰彼構わない訳じゃないぞ!俺だってかわいい子にしか声をかけんわ」

「だったら私にも声をかけてもいいんじゃないかい?」

「どこがだ!どうからどう見ても鬼婆じゃないか!娘さん。そうは思わんかい?」

「そんな事ないと思いますよ」

「ほら~。そう言ってくれているじゃないかい。私は可愛いんだよ」

「娘さん。本当の事を言った方がいいよ~。お世辞を言うとこの婆は付け上がるから」

「何を言っているんだい!見る目のない糞爺が!」

「まぁまぁ。お二人とも、若い子にあんまり見苦しい姿を見せるもんじゃないよ。娘さん。気にしないでくれ~。いつもの事だから」

「そうそう。こんな癇癪爺の事を聞いていたって仕方ないよ」

「何を言うか!この偏屈婆が!」

「ま~た始まった」

『もう帰りたい・・・』

何でこんな事に巻き込まれているのか悲しくなってきました。

「お、芋が温まったみたいだな」

おじいさんが言いました。

「お!食べるぞ~」

「私ももらうよ~」

殆ど同時に言って、1本の芋を割ると、大きさに違いが出来ました。

「どっちを食べるかい?」

「私は小さいのでいいよ。そっちの大きいのを食べなよ」

「俺も小さい方でよいんだよ。アンタ食い意地が張っているんだから食べればいいじゃないか?」

「何だってぇ?アンタ食が細くなりすぎて、痩せておっちんでまうで」

「そんな事をしていると芋が冷めるよ」

芋を持ってきたじいさんによってまた喧嘩は収まりました。

「そうだな。じゃぁ俺は大きいのを食べよう。アンタは小さいのでいいな」

「いいよ」

芋を渡して食べ始めました。

「一人で一本は食えんから、お嬢さんも食べてくれると嬉しいんだが」

「では、少しもらいます」

彼女は、1/3ぐらいのお芋をもらって食べました。

ホクホクして自然な甘みが口いっぱいに広がります。

「美味しい」

「ああ~。そりゃ良かった。良かった」

最初のおじいさんもホッと一安心という様子でした。

「ゴホッ!ゴホッ!」

「はい」

おじいさんが芋を食べてむせている所におばあさんが絶妙なタイミングでお茶を差し出してホッしていました。

「死ぬかと思った~」

「そのまま逝ってくれるとこっちも助かるのにね~」

また始まったのを見て彼女はちょっと羨ましく思い、微笑ましく見て、そして一つの答えを導き出しました。

『手紙燃やすのやめようっと』

天使の吐息 #34

2009-11-23 21:02:51 | 天使の吐息(詩)
20代の男性がいました。

車で買い物に行く途中です。

「ムカッ!」

ややカーブが何度もある道路で、高校生らしき自転車が二人乗りで端をフラフラと走っています。

「あ~いうの見ると無性に寄せたくなるんだよな」

何かあると大変なのでやりませんが、ムカムカしてきました。

「あいつら危機意識があまりにも無さ過ぎなんだよな。物凄い危ないってのによ。それでいて、事故でもあったら車の責任だって言い出す。ああ!腹立たしい!」

そういった高校生の傲慢さが見え隠れして不愉快な気持ちになりました。

「歩道も車道も公共機関のひとつなんだから誰かに迷惑がかかるような利用の仕方しちゃいけねぇんだよ」

それでも特に何かする事も無く追い抜きました。

ヒュウ

「ん?あれは・・・」

信号の無い横断歩道できょろきょろと左右を見ながら、手を上げている幼い兄と妹がいました。手をつないで車が止まってくれるのを待っているようです。

「いいな。あ~いうの。すっごい和む」

二人の手前で止まってあげると、兄の方が軽く会釈し、妹の方はニコニコしてそのままパタパタと駆けていきました。

「なかなか出来た子供じゃないか」

止まって上げて良い気分になりアクセルを踏み込みます。

「10年後、あいつらのようになるなよな~」

そんな事を考えながら買い物に行くのでした。

天使の吐息 #33

2009-11-16 21:46:29 | 天使の吐息(詩)
病院にお母さん達に連れられた男の子がいました。

今、流行しているインフルエンザの予防接種に来たのです。

友達も一緒です。

「わーん!」「あああああぁぁぁ!」「いたいよぉぉぉ!」

同じように予防接種に来て沢山の子供達が泣いているのを見てすっかりビビッてしまいました。

「ううぅ・・・」

今まで注射が痛くて嫌なのでいつも逃げ回ってお母さんを困らせていました。

『痛いのやだ・・・』

受付を済ませて、並びました。

「やだな~」

みんな沈んだ顔をして言葉も少ないです。

『どうやって逃げようか・・・』

そんな事を考えていました。

ヒュウ

「マ、ママ!トイレに行きたくなってきちゃった」

本当に急にトイレに行きたくなってきました。

「ええ~!?そんな事を言ってどこか隠れる気でしょ?」

「本当に、行きたいの!」

「分かった。それじゃ、ママも一緒に行くね」

これでどうやら逃げる事は出来なさそうです。

「ちょっと待てよ!お前だけずるいぞ!」

「お前も行くなら僕も~」

友達もトイレに行きたいと言い出しました。

「もう少しで順番がまわって来るでしょ?我慢なさい」

ですが、友達のお母さんに止められてしまい、恨めしくこっちを見ています。

隠れる事がないようにとお母さんと一緒に女子トイレに入ったので逃げる事は出来ませんでした。

『今度はどうやって注射をしないように・・・』

「うわぁぁぁぁ!!」

友達が注射を終えて大泣きしていました。

「・・・」

見ていて何だか嫌だなと思いました。

今まで、他人の子供が泣いているのを見て来て何とも思わなかったのに友達が泣いている所を見て始めて違う気持ちになりました。

「よし」

大人しく並んで看護婦さんが腕にアルコールを塗り、スーッとしました。

それからお医者さんの持つ注射器の鋭い針が男の子の腕に突き刺さります。

「うううぅ・・・」

当然、痛いです。いつもと気分を変えてもやっぱり痛いです。思いっきり歯を食いしばりました。

「はい。終わったよ。良くがんばったね」

注射が終わりましたが泣く事はありませんでした。

「あれ?前まで毎回泣いていたのにどうしたの?」

お母さんも意外そうでした。

「ふふ~ん」

ちょっと胸を張りながら注射した後をもんでいました。でも、ズキズキと痛みます。

それでも、泣かなかった事でちょっと自分でも男として逞しくなった
気がしました。

天使の吐息 #32

2009-11-09 19:41:43 | 天使の吐息(詩)
女子大生がおりました。

近くの小高い山が紅葉で美しいので見に行く事にしました。

山頂まで麓から歩いて15分ぐらいの小さな山です。

彼女は絵を描くのが好きなのでスケッチブックと色鉛筆を持っていきます。

赤や黄に染まった葉っぱが視界いっぱいに広がっています。

「出来れば一番見晴らしの良い所で描きたいな~」

様々な場所を歩いて回りますが、いい場所が見当たりません。

「あそこを上ってみようかな?」

ちょっとした崖があり、そこから腰をかけるのが良さそうに見えます。

「よっ、よっと・・・わ、わ、わ、わ!!」

二歩目を踏み込んだ瞬間にズルッと滑ってしまいました。

ヒュウ

バサササッ

滑って転びましたがほとんど痛くはありませんでした。

「あれ?あ・・・落ち葉がクッション代わりになったんだ」

フカフカの落ち葉のベッドに横になると枯れ葉の匂いがいっぱいに広がりました。

「良いにおい。それに太陽をいっぱいに浴びているみたいであったかい」

なかなか心地良い感触ですが・・・

「ちょっと首の辺りがチクチクする」

地肌と落ち葉が触れているところはちょっとチクッとしました。

「ああ!こうやって落ち葉を見上げるのって良い景色じゃない」

そのまま寝そべりながら絵を描き始めました。

少し手が痛くなってきましたが、休みながら描きます。

すると遠くの方で声がします。

「いしや~きいも~」

「あ・・・お腹減ったな・・・そろそろ帰ろうかな?なかなか良い出来だし」

久しぶりにかけた自分の絵に満足げでした。

「おいもはさつまいももいいけど、じゃがいもをふかしてバターを入れてそれから醤油や塩、マヨネーズなんかもいいんだよね~」

芸術の秋の次は食欲の秋に花が咲きました。

天使の吐息 #31

2009-11-02 20:59:16 | 天使の吐息(詩)
女子大生が公園にやってきました。

読書の秋という事で本を読みに来ました。

屋根があり、風通しがいい読書するには最適な公園のベンチを見つけてからは暇を見つけてはそこで読むことにしています。

友人も読書にはまっていて主に携帯電話で読んでいるのですが彼女にはどうも小さい画面とにらめっこしているのが性に合わず本を購入して読むことにしています。

今日も読書をしていたのですが少し気付きました。

「ちょっと肌寒くなってきたな・・・日も短くなってきたし・・・」

切りの良い所まで読もうと思ったのですが鼻水が出そうになっている自分に気付き中断する事にしました。

「あ・・・栞、忘れた」

新しい小説だったのでお気に入りの小説を持ってくるのを忘れてしまいました。

ヒュウ・・・

ピトッ

そう思っていると開いた小説のページに落ち葉が落ちてきました。

「綺麗な葉っぱ、もう冬だな~」

赤く染まった落ち葉を手にとって眺め、充分に季節を感じました。

ステキな栞をもらった彼女は妙ににこにこしながら帰るのでした。

天使の吐息 #30

2009-10-26 21:16:23 | 天使の吐息(詩)
休日に暇な男子高校生がいました。

ゲームをやっていてもあまり面白くないのでボーッとテレビを眺めていました。

「暇だ」

ヒュウ

「おい。キャッチボールでもやらないか?」

テレビを見ていた彼に父親が言って来ました。

「急にどうしたの?」

「物置にある工具を探していたらたまたまグローブとボールを見つけてな。修理も終わったからキャッチボールでもやろうかなって思ったんだよ。どうだ?」

「ああ・・・暇だからやるよ・・・」

彼は小学校まで野球部に所属していて楽しくやっていたのですが中学に入ると小学校とは違い、楽しむと言うよりは勝つ事を意識した活動になり、練習、練習の繰り返しで面白くなくなり退部したのでした。

「えっとグローブは・・・ここに・・・あった。あった!」

棚の奥のほうに仕舞っていたのを見つけ手にはめてみました。

「あ!ピッタリだ・・・」

中学に入って間もない時期に買ってもらった時はブカブカだったグローブが今ではピッタリになっていました。

「そういえば、男は成長期になるから、大きめのグローブにしておけって言われたんだったな」

グローブを取って来た彼は父親とともに近くの公園でキャッチボールを始めました。

「こうしてキャッチボールするのは4~5年ぶりぐらいか?」

パシッ

「そうだね」

パシッ

ボールが行き来しながら会話をする二人。

「学校はどうだ?」

パシッ

「普通」

パシッ

「そうか・・・」

バシッ

「お父さんは仕事はどうなの?」

バシッ

「いつものようにやっていて楽しい事もあれば辛いときもあるな」

パシッ

「じゃ、普通って事だね」

バシッ

「そうだな。普通だな」

暫くボールがグローブに収まる音だけが響く。

『それにしても親父のボールってこんなに緩かったかな?もっと速かったような気がしたけど・・・』

何年か経ったのでお父さんは衰えたのでしょう。

「それにしてもお前、でっかくなったな~。以前は俺の肩ぐらいしかなかったっていうのに今じゃ俺より大きいもんな~」

さすが親子。似たような事を考えているようです。

それからまた無言でのキャッチボールが続きます。

何度かお互いの目が合い、何だか笑ってしまいました。

「さて、帰るか?ちょっと疲れたよ」

暗くなり、ボールを目で追うのも苦労するようになってきたので帰ることにしました。

「また、近いうちにキャッチボールでも出来ると良いな」

「うん」

それから言葉を交わすことはなかったものの良かったと思える時間でした。

天使の吐息 #29

2009-10-19 20:24:03 | 天使の吐息(詩)
20代女性がいました。

今、家電量販店に向かっている所でした。

何故なら部屋の置時計が壊れてしまったのです。

時間なら携帯電話や目覚まし時計で分かるのならやはり部屋の中心に大きな時計を置いておきたいという事で買いに行きます。

ヒュウ

「あれ?こんな所に時計の店なんてあったっけ?」

そこには確かに時計店とか書かれていました。普段歩いている道ですが古ぼけていて小さい店だったのであまり気にしていなかったのかもしれません。

「ごめんくださ~い」

店内に明かりが灯っているし営業中の看板が出ていたので声をかけたものの誰もいなかった。

「やっぱり時計の店って事もあって、時計だらけ・・・」

店の至る所に時計が置いています。

置時計が所狭しと壁につけられ、ガラスケースの中には腕時計。

棚には目覚まし時計があります。

「全部、合ってない」

時計は全て同じ時間のものはなく、1時間ずれた物、数時間ずれた物、数分ずれたものずれた方も様々です。

「それにしてもこうも時計に囲まれていると不思議な気分になる」

今日は曇りで薄暗く外から時間の認識する事は難しく右を見ても左を見ても時計だらけ。一体どれが正しい時間なのか分からなくなり感覚も少しずれてきました。

「何かファンタジックね」

そのように考える自分がどこか別の摩訶不思議世界に迷い込んだように思えてきました。

「いらっしゃい」

奥に小柄なおじいさんがいました。
メガネをかけ眼光は鋭くまさに職人というオーラを放っていました。
あまり見ていられると萎縮しています。

「ええっと~」

慌てて時計を1つずつよく見て悩みました。

「コレにします」

「そうかい・・・」

箱に入れてくれてお代を払うと

「ありがとよ」

折角、普段とは違う気分になっていたのに現実に引き戻されてしまって少しガッカリしていました。

家に帰って箱をあけてみると買った時計と一緒に別の物が入っていました。

「あ、砂時計」

キラキラと光によって輝く砂が音も立てずに下に落ちていきます。

女性はそんな光景に目を奪われていました。

天使の吐息 #28

2009-10-12 19:44:48 | 天使の吐息(詩)
30代の男性がいました。

「はぁ・・・」

ガコン

仕事が終わり帰る途中に自動販売機の前でコーヒーのボタンを押しました。

「毎日、毎日、仕事、仕事で何やってんだかな・・・俺は・・・」

代わり映えの無い毎日に嫌気が差していました。

「今日が何月何日かさえもいまいち覚えていないしな」

思い出してみようと考えてみる物の思い出したのは・・・

「後4日、仕事に行けばすれば休みか・・・」

後何日で休日が訪れるのかという事ぐらい。
ただ、休日になれば休日になったで身の回りの事に追われ気が付けば夜になり、次の日からは仕事。

「俺の人生このままなんかなぁ?」

ヒュウ・・・

「すいません。買いたいんですけど・・・」

「あ!すいません!」

後ろからジュースを買いたい人に声をかけられ、ハッとして自動販売機に手を突っ込みコーヒーを取り出そうとすると

「アツッ!『何だ。もうコーヒーも温かいのか・・・そういえばここ最近、肌寒くなってきたもんな』」

冷たいと思っていたコーヒーがいつのまにか温かくなっており彼は季節を思い出したのでした。

「しょうがねぇ・・・明日も、頑張りますかっと!」

取り出すまで少し時間が経っていたのでコーヒーは少し温くなっていましたが体温ほどの温度の甘いコーヒーは彼を和ませるのでした。

天使の吐息 #27

2009-10-05 19:06:56 | 天使の吐息(詩)
20代の女性がいました。

デパート内の本屋で本を買おうとエレベータに乗りました。

中にいる人達は色んな階に用があるらしいようで目的の階までの全ての階で止まるようです。

『階段で行ったほうが早いかもね・・・」

エレベータの壁は透明で外の様子が良く見えます。

「あ・・・雨」

ポツポツと壁に水滴が付着しました。

『あ!傘、持って来てないし!最悪!』

昨日の予報を見た限りでは曇りの予報でした。

その日の朝は少し寝坊してしまい急いでいたので天気予報は見ていませんでした。

『ああ!!ビニール傘買わないといけない!』

ヒュウ

下を見ると道行く人々が傘を差し始めました。

パッ!パッ!パッ!パッ!!

紺、黄色、赤、青、黒など色とりどりの傘の花が開きます。

『あ!何か綺麗』

様々な色の傘が溢れ、様々な方向に流れていきます。

急いでいるのか一つだけ動きが早い傘。

親子連れなのか一つの傘の周りに寄り添う小さな傘が二つ。

子供が遊んでいるのかグルグル回る傘。

チン!

『本を買ったらなんかお洒落な傘を買おうかな?』

そんな事を考えながらエレベータを降りるのでした。

つまらなければ押すんじゃない。

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