髭を剃るとT字カミソリに詰まる 「髭人ブログ」

「口の周りに毛が生える」という呪いを受けたオッサンがファミコンレビューやら小説やら好きな事をほざくしょ―――もないブログ

「小公子セディ」 レビュー (ファミコン)

2018-05-25 21:00:08 | ファミコンレビュー
同名アニメ(世界名作劇場)のファミコン版
RPG的なアドベンチャーゲーム
(自称ファミコンドラマ)
開発はグラフィックサーチ
発売はフジテレビ、フジミック
1988年12月24日発売


あらすじ


電源を付けるとOPが始まるのでそれに準拠する(アニメ版は知らん)
まず、主人公は『セディ』
見た目と名前が女子っぽいが男である。
本名は『セドリック・エロル』。愛称が『セディ』。

父親の『ジェイムズ・エロル』が亡くなり、住んでいたアメリカのニューヨークを離れ
母『アニー・エロル」と共に
イギリスのロンドンにいる父側の祖父の元で暮らす事にした『セディ』
父の事は悲しかったが大好きな母がいる事で自分を慰めていた。
祖父『ドリンコート』も父の父だからいい人だと思っていたが…

いざ会ってみると祖父はこう言った。

「お前の母親には出て行ってもらう。
 ドリンコ―ト家には外国人はいらぬ」

母は汽車で連れ去られてしまった。(それ、拉致と違うん?)
『セディ』は母を探し出す為、屋敷を出たのだった。


特徴

一風変わったコマンドがある。
まず、タイトル画面であるが

『はじめまして』
『おかえりなさい』

という2種類がある。

『はじめまして』:ゲームスタート
『おかえりなさい』:セーブ地点からの再開

ゲーム中にも特殊なコマンドがある。

『フルート』:フルートを吹く
『さようなら』:会った人と別れるときに使う。

『またあした』:セーブコマンド、フィールド上のみ


ゲームをスタートすると説明なしにトップビューの画面に放り出される。
コマンド選択式アドベンチャー風ではなくRPGっぽくキャラを動かして移動する。

町にいる人や建物の中にいる人などに話しかける事によって
ヒントを集めたりアイテムをもらったりすることでゲームを進めていく。

その中で、このゲームで最も際立つのが『家庭教師』の存在である。
フィールド上で多数ウロウロしていてこちらを見つけると接近して来る。

Bボタンでジャンプするので回避するのに使える。

接触してしまうと

「ほっ ほっ ほっ
 やっとみつけましたよ
 セディさん
 さあ
 おべんきょうをしましょう」

など言って来て歴史などに関する2択クイズが出される。
正解すると解放されるが不正解だと正解するまで何度でもクイズを出される。
それ以上のペナルティはない。



操作方法

十字キー:移動(斜め移動も可)
Aボタン:コマンドを開く、決定
Bボタン:ジャンプ、キャンセル


得点は20点

良い点
・なし

悪い点
・原作無視
・家庭教師が多すぎる。
・キャラがキモイ


悪い点の解説
・原作無視
 アニメを見た事はないがアニメのwikiを見る限り
 厳格な祖父との交流が劇中の主となっているようだ。
 母親を探すというものではないし
 屋敷のメイドなど多数出てくるようだが本作には一切出てこない。

 せいぜい『セディ』の設定と
 『セディ』が得意な『フルート』というのがアニメとの共通点だろうか?
 誰がそんなんプレイしたいと思うんだろ。


・家庭教師多すぎる。
 フィールド上に現れるクイズを出してくる家庭教師だが…
 1人ではない。
 画面上に同じ奴が同時に最大で5人も現れるのだ。

 お前等五つ子だったのか?
 「ド〇ゴンボール」の『ム〇サキ曹長』か!?
 それとも「ド〇ゴンボール」の『天津〇』の技のように実体を増やせんのか?


・キャラがキモイ
 話すキャラが出てくるのは良いが全身絵で
 みんな2~3頭身。
 「魔神英雄伝ワタル」の魔神を見ているかのような感じ。
 ロボットならともかく人間だもんなぁ…
 「忍たま乱太郎」の『稗田 八方斎』みたいなもんか?



後、気になる点というか
黒背景をやたらと多用しているので絵的に不気味さが際立つ。
タイトル画面からして違和感が凄い。
真っ黒の背景に浮かび上がる真っ赤な「小公子セディ」の文字。
アニメでのタイトルのロゴも赤だから表記の仕方は正しいんだけどさ。
その黒背景のせいで印象が違うんだよね。
何か鮮血のようにも見える。

2頭身キャラも黒背景にデカデカと現れている。
奇妙極まりない。
おかしいと思わなかったんか?


ゲームはお使いイベントばかりである。

「〇〇に××があった」と、〇〇に行く事になったり
「△△にある□□が欲しい」と、△△に行く事になったりという…

レベルも何もなく成長要素はなく、武器を装備すると言った強化要素もない。
ストーリー的にはこれと言って
別に伏線など人同士の絡み合いなどというような優れた物はなく
先を進めるためにただ困った人への人助けを延々とやらされる羽目となる。

クイズばかりやらされてゲームとして盛り上がる要素は皆無。
『セディ』要素も薄い。
これの一体、何が面白いのだろうか?



ゲームを簡単にまとめるとなると…
母探しを色んな町でやっているところから…
「小公子セディ」とタイトルなのにやっていることと言えば
「母をたずねて三千里」である。

「世界名作劇場シリーズつながりでいいや」

って所なのだろうか?
ダメだろう。

例えるなら
「カレーパン」買って来た。
パンは「カレーパン」と同じく揚げたパンだが
齧ったら中から「クリームシチュー」が出て来たという感じだろうか?
しかも極めて出来の悪いシチューがだ…



しかし、これをクリスマスイブなんかに発売しているんだから驚きである。
ちちお…
もといサンタさんも、クッソ忙しいであろう発売当日に手に入れて
それを子供たちに配る事になるのだから…

それで次の日、枕元にあった本作を見つけて

「サンタさん!!
 大好きな『小公子セディ』のゲームをくれてありがとう!」

なんてはしゃいだ直後、ファミコンにセットし、
プレイして数分で死んだ魚の目のようになるという悲劇。
年末になんて事をしてくれたんだッ!!


ちなみにアニメの「小公子セディ」は放送短縮の憂き目に遭った。(全43話)
その為、未使用の伏線や設定がありDVDで解説しているとの事。
その最終回となったのは本作発売の次の日、1988年12月25日である。

その最終回の内容は知らんが…
本作プレイで心を痛めた直後のプレイヤーが
アニメの最終回を見て心癒されて欲しいと心から願うばかりである。
(1日でクリアするのはしんどいか?)

しかしパッケージの『セディ』と『犬』と『猫』


コイツら一体、何を遠目に見ているんだ?

PS)あれこれ調べていて分かった。
 この画像はアニメのエンディングテーマの画像の流用のようだ。




ここからがネタバレ






















意味わからん要素が多いわ。
多すぎる!
ギャグなのかマジなのか?


街にいる人に町の事を聞くんだが
最後の町で町の人に

セディ「ここはどんな町なんですか?」

と、聞くと

男「戦争だよ」

髭人「はぁ!?」

質問と答えがかみ合ってない。
結構、「何言ってんねんお前は!」って返しが出るんだよな。
そのラストの町は家庭教師が出て来る。

家に入ると

家庭教師「ほっほっほっ
 ここは私の実家がなのです。

髭人「またお前かッ!」

家庭教師「さぁお勉強しましょう」

[クイズ開始]

何問も正解して
クイズクリア…

家庭教師「良く出来ました
 今日はここまでにしましょう
 この家は湖のお城に通じています
 代官様がいるはず
 早く戦争を止めて下さい」


髭人「早く戦争止めたいのなら勉強なんかさせてる場合か!」

と、町で起きそうな戦争を止める事になるのだが…
本作はこのように色んな町で様々な問題が起きていて『セディ』が解決していく事となる。
それらを紹介しよう。


・鐘の音がおかしい町『グラドーエ』
 代官がドリンコ―ト家から受け継いだ大時計が壊れてしまったせいで
 『セディ』の祖父からおしかりを受けるのが怖くて
 代官が代わりに鐘を鳴らしている。
 直そうとしても鼠が邪魔している。
 その町のあるお宅に飼われている猫を借りて
 鼠を追っ払うと何故か時計が直り、問題解決
 ちなみにこの猫のビジュアルはパッケージの猫だ。



・やたら税金を請求してくる『ミクバム』
 何とお面売りが代官の顔そっくりに作ったお面を付けて代官に成り代わり
 そこで税金の徴収をしていたのだ。
 本物の代官を見つけて問題解決。



・町にいる人は『セディ』を見ると逃げていく『ルーイン』
 一部の亡霊が成仏する。
 居座っている悪霊を退散させることで問題解決



・上流の町が水門を止めたせいで(下流の町が柵を作ったせい)
 下流の町が戦争を起こそうとしている『リーウェイズ』
  上流の町の代官の娘『シンシア』と
  下流の町の代官の息子『エイブ』を会わせることで
  上流の町が水を流し、下流の町も柵を壊し問題解決



『リーウェイズ』問題解決後
別にこちらが見つけたわけではなく
突如として爺と母親が勝手に現れてエンディング


……。





『セディ』を利用し、独自世界観にぶち込んだゲームってんなら
百歩譲ってゲームが面白ければ許容できるかもしれない…

でも、このゲーム、意味不明な上に結構、ふざけているからな。
例えば

2つめの町で「武器屋」なんてものがあって

・ロトの剣
・魔法の盾
・水の衣
・火の弓矢


が売っている。
それらを買おうとすると

「子供じゃないか 武器を持とうなんてとんでもない」

と、断られる。
だったら売ってんじゃねぇよ…

3つ目の町で
「教会」があり神父が

「正しき神は正しき者の味方なり。
 我が教会に御用でしょうか?」

などと言って来て3つの選択肢が出て来る。

・毒の治療
・呪いを解く
・生き返らせる

もう完全にドラクエ2や3じゃねーかって話である。
それらを選んでみる。

毒の治療:それなら病院に行った方がいいですよ。
呪いを解く:ここは教会です。そんな事は出来ません。
生き返らせる:そんな事出来る訳がないでしょ。

と、全て断られる。

パロディギャグをやるなとは言わないが
こういう他作品ネタは「ケルナグール」みたいな独自のゲームでやれや。
「小公子セディ」というアニメを借りているゲームでやっていいネタでは断じてない!

まぁ、仮に死者を生き返らせられるのなら
死んだ父親を生き返せてしまってテーマ崩壊だがな。
って、その父親も町の問題を解決すると何回か浮かび上がって出て来る。


・『グラド―エ』問題解決後

父「偉いぞセディ お前のその優しさが 町の人々を
 救ったんだ 人を思いやる心を いつまでも大切に するんだよ」
セディ「父さん!!」
父「どうか アニーを幸せにしてやってくれ・・・」


・『ミクバム』問題解決後

父「良くやったぞセディ お前の 勇気は 素晴らしいよ
 その勇気を いつまでも 持ち続けるんだよ」


・『ルーイン』問題解決後

父「セディ 何故 真っ黒な 実が 金色に なったか わかるかい?
 お前は 困っている人の為に 泣きたいほど 怖いのをこらえて
 真っ黒な実を 取りに行った
 自分の 弱さに 立ち向かったんだ だから金色になったんだよ
 (は?お前、何、言ってんの?)
 セディ また 一回り 大きくなったね」


最後の町『リーウェイズ』の問題解決後は…
父親出てこねぇや…


髭人が個人的に取り上げたい町は『ルーイン』である。

その町では最初、『セディ』を見かけるとみんな逃げだすのだ。
色々調べたりして、ようやく話せるようになるのだが片言ばかりで話が通じない。
それでも、この町の異変の真相を探っていく事になるのだが…

町の人にフルートを吹いたり、
『セディ』が触れる事で金色になる黒い実を与えると

「とこしえのねむりについた」

とか出て来て

髭人「こわッ!何だ!このゲーム!
 『小公子セディ』って魂を浄化するアニメだったんか?
 っつーか後で変換したら永久って『とこしえ』って読むんか?」

なんて本来の意味で鳥肌が立った。
(最近は感動したという意味で使われる事が多いが)
その後で町の人の話を集めていくと
どうやら『ルーイン』では疫病が流行って住人が全滅。
だが、魂は成仏せずにそこに浮遊している状態だったのだ。
そこら辺の説明がない状態で「永久の眠り」とかいうから怖さが凄い!!
表現のせいでトラウマになった方もおられるのではなかろうか?

それを『セディ』がそんな哀れな亡霊たちを天に送るのである。

その過程で怪物の見た目の悪霊が現れ、クイズをする羽目となる。
皆さ~ん。
サラッと言いましたが『セディ』のゲームで怪物が出るんですよ~

折角なのでこの記事を読んでいるみんなも悪霊が出したクイズを考えてみようッ!
ついでに髭人が更に超衝撃を受けた展開も通しでやっていきますよ~。


悪霊「俺の湖で岸から80mの所で船が転覆した
 60mまでしか泳げない母親
 100mまでしか泳げない子供

 助かったのは どっちだ?」







分かりましたか?
当然、「子供」の方だと答えるが


悪霊「ワッハッハッ!
 引っかかったな!
 人の話はよく聞くもんだ(人?ってお前、悪霊じゃん)
 俺の湖と言ったろう。
 2人とも 食ってやったわ!
 お前もだ!」

などという理不尽極まりない解答である。
(ちなみに『母』を選ぶと「ちゃんと話を聞け!」と言われて
 何度でも『子供』を選ぶまでループとの事)

悪霊が問題を間違えた『セディ』を食べようって所で
悪霊が『セディ』に近寄る。

セディ「母さん 助けて!」

悪霊「ふん!
 今までさらってきた子供もみんな母さん 母さんと 喚きおったわ
 だがな 母さんなんてものが 助けに来た試しは 一度もない!
 呼んでも 無駄だ!」

セディ「母さん どこにいるの?」

悪霊はさらに近づいてきた。

[泣く](コマンド)

悪霊「子供の泣き声を聞くと わくわくするわ!」

[フルート](コマンド)

セディ「母さん!
 母さんの好きな曲
 聞こえたら 応えて 母さん!」

悪霊「ふん それがどうした!」

何と何の前触れもなく
『母親』と『セディ』が抱き合っている光景(1枚絵)が浮かび上がってくるのだ。


髭人「はぁ?????」


髭人が口を開けてポカンとしていた。
ゲームでは悪霊はそんな光景を見て心動かされるのだ。

悪霊「これが 母と 子の 心のつながりと いうものか
 遠く 離れていても 気持ちと 気持ちが 重なってこんなにも 美しい 調べとなる
 今まで 母親が こんなに素晴らしい物とは 思わなかった」

セディ「あなたの 母さんは?」

悪霊「俺は 大地の 底の 毒の 泡から生まれた
 親など いない」

セディ「そう」

悪霊「だが 故郷はある
 今のフルートを 聴いたら大地の底が 懐かしくなったわ
 もう帰る」

セディ「待って ボクのかあさんは?」

悪霊「ここにはいない 本当だ
 だが 二人の心が それほどしっかり 結ばれているのなら いつか きっと会えるはずだ
 西へ 向かえ 新しい 世界が 開けるだろう
 セディ 良いことを 教えてくれた ありがとう」

悪霊は行ってしまった ほんの少し悪霊がほほ笑んだようだった。



怪物がいなくなったことによりこの町も消滅。
通路に墓が追加される。

髭人「幻だったのか?」

もはやこの町の何もかもついていけない…
フルートは幻術を生み出す『マッチ売りの少女』のマッチなんか?
怖い怖い怖い!!

「母さん 助けて!」

って俺も思わず言いたくなったわ。


まぁ、でもこのゲーム『フルート』ゲーだわな。
『グラドーエ』では時計台の鐘の音がおかしいタイミングで『フルート』を吹くと
人が出てきたり
『ミクバム』では倉庫の上で吹くと何故か階段を発見したり
『ルーイン』では夜になって吹くと『カール』とかいう亡霊出てきたり
 町の亡霊が成仏させたり…

『リーウェイズ』は…
えっとぉ…

フルート吹かなくても済むな…
何でやねん!

フルート吹けやッ!!
吹いてどうにか物事解決せーや!
(エンディングでジジイの時にフルートの音が鳴るが)

父親未登場と同じく最後の最後でどーなってんの?
しっかりしてくれや!お馴染みのネタはしっかりしよーや。

はぁ…
着いていけんよ。
『世界名作劇場』を忘れてただの1つのゲームとしてもね。



さて本作エンディング。
最後のメッセージである。

「これで セディの冒険はおしまいです
 セディは 特別な子供では ありません
 転んで けがをした人に そっとハンカチを差し出す優しさと勇気
 ね 君にだって ある
 さあ 今から 君自身の 愛と勇気の冒険に 出発しよう!」


『セディ』が特別な子供じゃないだと?
フルートで亡霊を成仏させたり、
母との愛を浮かび上がらせる少年は十分、特別だろうに…
どんだけ特別のハードル高いねん。
作り手にとっては「ドラゴンボ〇ル」みたいに
空を飛べたり手から気弾を放てるようになって
初めて特別扱いなんだろうか?
『セディ』自身もあれだけやって普通扱いされて嘆くに違いない。

「愛と勇気の冒険に出発しよう」ねぇ…
「こんなゲームをプレイしてないで外で遊べよ」っていうのが
製作側からの隠されたメッセージなのかもしれません。



では、レビューを締めるとしよう。

「小公子セディ」

と、単純にアニメの事で検索しようとすると検索候補に

「小公子セディ クソゲー」

と、出てしまう。
全て本作の結果であろう。

だからとっとと
『セディ』は本作に向けてフルートを吹くべきである。
そして


永久の眠りにつかせてあげるのがせめてもの慈悲という所であろう。




合掌…






最新の画像もっと見る

コメントを投稿