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「たけしの挑戦状」 レビュー (ファミコン)

2018-08-31 21:00:42 | ファミコンレビュー
一応、サブタイトルがあり「ポリネシアンキッド 南海の黄金」というものらしい。

「ビートたけし」氏監修のゲーム(デザイナーとして参加)
サイドビューアクションRPG
発売はタイトー
1986年12月10日発売
(有名な『ビートたけし』氏のフライデー事件が本作発売の前日に起こしている)
バーチャルコンソールにて配信「CERO:B判定、12歳以上対象
「ゲームセンターCX」での1回目のゲームプレイソフト
(この時点で『有野の挑戦』という名称はない)



キャッチコピーは「謎を解けるか。一億人。」

ソフトのパッケージの表面に

「常識があぶない。」

裏面ではビートたけし自ら

「今までのゲームと同じレベルで考えるとクリアー出来ない」

とコメントしている。
また広告には

「成功確率 無限大数分の1」

と書かれていた。


あらすじ
冒頭「愛人」とデカデカと書かれた張り紙の悪趣味な社長の
社長室に呼び出され

「最近 君の成績は
 どうも良くないな
 ボーナスが少ないのも
 そのせいだぞ。
 今後はもっと頑張ってくれ」

と、ボーナスを受け取り、
社長を殴って机にめり込ませる場面から始まる。(めり込ませるのは自由だが…)



操作方法

左右キー:移動
上キー:建物内に入る
下キー:しゃがみモード
 (上キーを押すかジャンプしないと解除されない)

Bボタン:ジャンプ
 下+Bボタン:ハイジャンプ
Aボタン:攻撃

スタートボタン:ポーズ
セレクトボタン:メニューを開く

 メニュー内
  「もどる」:サイドビュー画面に戻る
  「おわる」:パスワード表示
  「はなしかた」:おどして話すか通常で話すか切り替え
  「こうげき」:『殴る』か『銃』か『石』での攻撃の選択
   (銃や石は持ってないと使用不可)

 ※所持中の『道具』や『資格』は表示されるが
 習得した『言語』や『スポーツ技能』などは表示されない。

2コンの下キー+Aボタンで

「もしもし」

と、主人公が言う。
これでマイク入力中という認識される。
それ以降は2コンのAボタンを押すとマイク認識中となる。
ただ、イベント中などにマイクを使用しても『もしもし』表示はない。

敵を倒した時、倒れて体をばたつかせて消滅するが
それを見届けると300円が手に入る。
ばたつかせている状態で建物に入ったり、別のマップに行ったり、
メニューを開くと無効である。





点数は測定不能



良い点
・自由度が高い
・システム面は決して悪くない


悪い点
・謎解き
・回復面が乏しい
・アクション面


良い点の解説
・自由度が高い
 お店だけでも
 「本屋」「花屋」「映画館」「駄菓子屋」「スナック」などお店が豊富である。
 だがあまりにも広大無比って感じなんだよなぁ…


・システム面は決して悪くない
 ゲームの評判は悪いが、システム面に関しては最悪というほどでもない。

 「パスワードコンテニュー」可能だし
 (但し、間違えると打ち直しなしの即死なのは頂けないが…)

 「マイク」の使用の時
 上記、2コンの下キー+Aボタンで認識してくれるし

 まぁ、これに関しては素晴らしいって程ではなく
 謎解き面が壊滅的なので相対的に
 この要素が良く見えるだけにしか過ぎない…


悪い点の解説
・謎解き
 上記、自由度は高い…
 あまりにも高いがヒントが殆どない。
 クリアに向けて次に何をしたらいいのか分からないのだ。


・アクション面
 敵味方、殴ってもノックバックせず、無敵時間もなく、
 ジャンプ中のパンチは出来ない。(銃撃は可能)
 避けるのも困難。
 銃を持ってない時に、こちらを殴ってくる敵に対しては
 ひたすらテクニックもクソもないパンチの応酬となる。

 もう少し何とかならなかったん?


・回復面が乏しい
 殴ってくる敵に関してまともに相手をしていると
 ジリジリと体力を減らされるハメになるのだが

 「じゃぁ、どうやって回復すんの?」

 ってなると自宅に帰っても回復しない。
 日本ではスナックでテキーラを飲むと回復する。
 別の所ではホテルに泊まると回復する。




このソフトは「ゲーム」などと思ってはいけない。
タイトル通りなのだ

『たけしの挑戦状』

『ビートたけし』氏が

「これをクリア出来るものならクリアしてみろ」

というメッセージが込められているのだ。
だからこそ、ゲームとして評価できないからこそ上記の点数で
『測定不能』なのだ。


さて本作、電源を付けて
タイトル画面で真っ暗で無音でサラリーマンらしきオッサン

『何やコレ?』

と、困惑する。
スタートボタンを押しても無反応だが
オッサンが動くので
左に「START」と書かれていてそっちに行くとゲームが始まる。
右に「CONTINUE」と書かれた方に行くと

「こんてにゅうや」に行くと、

『げーむを おわる』:いきなり終了する
『げーむを さいかいする』:パスワード入力可能
『おやじを なぐる』:
 「ぎゃー ひとごろしーー」と出て主人公が倒れゲームオーバー
 (「人殺し」言う割にすました顔してんな。このジジイ…)







何かあってからのトライ&エラーを毎回させられる。

進めていた先で問題が生じて、最初に戻って対応に迫られるという感じ。
全てノーヒントである。

本作を例えるのなら
誰も入った事のない迷宮の最深部に行くって所だろうか…

洞窟内に入ったら当然、真っ暗なのでライトを買う必要になる。
洞窟を進んでいたら毒を持つコウモリがいて、最初に薬を持っていく事になる。
コウモリを越えた先はマグマの付近を通行しなければならず防熱服が必要になる。

と言った感じで問題回避の方法を探るハメになる。
まぁ…
それでも、回避しきれん酷いものもあるけどね。
パチンコ屋やスナックでのカラオケやら地図の部分やら…

そういう点を踏まえるとトライ&エラーっていうよりは
エラー&エラー&エラー&トライぐらいの感じだろうか?




売上は80万本
バーチャルコンソールにおいて実在タレントをモデルにしたタレントゲームを、
タレント本人または芸能事務所より許諾を得たうえで配信するのは本作が初である。

2017年にはTAITO CLASSICSの2作目ソフトとしてiOS並びにAndroidにて配信開始され
「はーどもーど」や「むてきもーど」
「ひんたぼ語検定」が追加されたとの事。
(本作のハードモードだと?狂っとんのか?)


当時とは色々と権利関係の事情が違うから
タレントが出ているゲームは出せないものが多い中
流石は世界の北野。

まぁ…
当時のゲームは自由なものが多かったからなぁ~。
自由というか

「所詮、タイアップのソフト。
 タレント使っとけば食いつく奴がいるだろ」

っていうあからさまに手抜きゲームや
タレント自体に影響がありそうなゲームは多々あった。

本作の場合は
当時の『ビートたけし』氏はめちゃくちゃしていたからなぁ~
上記の通り『フライデー襲撃事件』は本作発売の次の日の話だ。


「あ…
 確かにたけしだな」

って改めて同じ印象を深めただけだった。




ここからがネタバレ






















このゲームで特に理不尽な点と言えば

宝の地図をもらう所か…

『スナック あぜみち』でカラオケを使う所だな。

「カラオケは壊れています」

言われるのに、お酒を2杯飲むと歌うのを勧められるという…
(この時点でキツイ)
それから3回やって上手い評価が続くと

「いいかげんにしねえか」

と襲ってくるヤクザを殴り倒すとジジイが

「みどころがある」つって宝の地図をくれる。

それから

「『水につける』を選び、5分後マイクを使用する」or「『日光にさらす』を選び1時間待つ」

もう無茶苦茶だよね…

ちなみにここでジジイを倒しておかないと、最後の最後で

「ははは は゛かなやつめ
 おまえの あとを つけてきた
 のた゛
 たからは おれの ものた゛
 しねっ」

と、戦う事も出来ず無条件にバッドエンドにさせられるので注意。


それからひんたぼ島に行く事になるのだが…
ここでの

『ハンググライダー』一体何なん?

ハンググライダー操作方法

左右キー:移動
下キー:下降
Aボタン:射撃(銃所持時)

上ボタンで任意で上昇できんじゃねーか!
上昇方法自体はあって、突風に触れる事だ。
ただ、自キャラ1つ分ぐらいしか上昇しない。

そして鳥がウザ過ぎる。
餌でもくっついてるのかこちら目掛けてすり寄って来る。
しかもライフはなく触れたら即死…
上ボタンで任意で上昇できないから
あまり自由に下降を多用していると島に直撃して死亡する。

それに、死亡すると完全に即死でコンテニューを受け付けず、タイトル画面。
パスワード打ち直しはだる過ぎる…

で、2つ目の島を超えたあたりから出て来るUFO達。
ビームを撃って来るけど、体力があると当たっても体力消費で即死ではなく数発許容という謎
(UFO本体に触れると即死)


島に着き、ヒントもなしに島民の家に行くと

「おい おまえ
 ひとのいえに なにしにきた」

と言われ候補が上がるがどれを選んでも

「あやしいやつた゛ かまにいれ
 ろ」

と、釜茹でにされかける。

「ははは おもいしったか」
 しぬまえに なにか け゛いを
  してみろ」

と言われ候補が上がる。

「尺八を吹く」
「三味線を弾く」
「ブレークダンスをする」
「社交ダンスを踊る」
「命乞いをする」
「とびかかる」

それでカルチャースクールで習得した「三味線を弾く」を

「すは゛らしい あなたを そん
 けいします」
「このしまにすむ せんにんのと
 ころへ いってみてください」

言われて釜から出た直後に殴られる。
(コイツらにとっては暴力は挨拶なのか?)

『ほこら』の仙人に会い、水筒を渡すと

「たからへのかき゛は むらにい
 るひとか゛ もっている
 それをもらうのし゛ゃ」

というので、再び釜茹でにされかけた家に行って
『刺繍』を渡すと『聖なる石』をもらえる。
それが鍵なのだ(『ソードマスターヤマト』みたいだな…)

しかし、ここの村の無関係の家に
一旦入ると出られないんだよな。『EXIT』なんて書かれているくせに…
なめとんのかと…
(パスワードを取って再開するしかない…)



色の変化などもなしにしゃがんで山でしゃがんで地下に行き、
その地下も色も何の変哲もない所でしゃがむ事で下階に行けるとか…
そしてやっとのことで見つけた宝箱。

「ついに たからを みつけた
 そ゛ーー」

という主人公の言葉
(宝箱付近にある財宝っぽいのがゴミにしか見えんけど…)

だけど、その後の主人公が描かれる訳でもなく
スタッフロールもなしに曲も変わる事もなく急に

『ビートたけし』氏が現れ

「えらいっ」

という言葉が表示され文字が消える。
待つ事5分

「こんな け゛ーむに まし゛に
 なっちゃって と゛うするの


                  完」


(これも数秒しか表示されないのでトイレとか長々と行っていると見逃すので注意!)

コレ…
「髭人」は某アドベンチャーの「犯人は〇〇」並に既に知っていたが
ノーヒントで宝箱を見つける条件がある「ドルアーガの塔」も
マニアたちが集まって宝箱の出す方法やら取得するか否かなどを検証したんだろう。
本作も攻略本を頼らずにクリアした猛者がいると思うが…
その人たちのコレを初見時の心境を是非とも知りたいものだ…

「こんなげーむにまじになっちゃって」ばかりが有名だが
他にバッドエンドが存在する。
釜茹でにされそうになった時、社交ダンスを習得して披露すると
現地の娘と結婚をさせられるというものがあるという。
これはこれで幸せなんかなぁ?


そうそう。
タイトル画面で2万発パンチを打ち込むと
洞窟の最下層から始まる。
左端に行くと宝があって触れるとクリアとなる。(オヤジは既に倒してある設定)

さぁ!どうしてもハンググライダーを越えられない人は
2万発パンチだパンチ!
(動画を見るとパンチを連射させていると50分ちょっとで完了する模様)


さて…
本作に関しては自由過ぎるゲームなのだから
少なくとも楽しめるようにできなかったのかってのが残念だよね。

日本を離れて「カジノ」で当てれば所持金が倍になる。
倍になったらパスワードを取ってやり直せば簡単に所持金をカンストできる。
日本では「カジノ」がないからこれが出来ないからなぁ…
入って色んな事をしたいんだけども~。
強盗傷害で手に入れられる金額はたった300円ぽっち…

「最初のボーナス」「退職金」「へそくり」なんか手に入れられるけども

ちゃんとクリアするには離婚する為に「慰謝料」を妻に払わなんといかんし…
(無一文になる)


ファミコンゲーの賭けでよくあったサイコロによる
「丁半」
なんてやってもええやん。

あ?博打は日本の法律で禁止されている?
無抵抗な人に強盗傷害が出来て、
ひんたぼ島で銃買ったら、免許などなしに即発砲できる世界観で何が法律だ。
どんな手段を使ってもいい!金を稼がせろ!

そうそう。
ネット上で調べたら本作のパスワードを解析したサイトがあって
データをダウンロードすると、所持金やフラグの状態を任意に決めて表示する事が出来る。
そこで日本での状態を決めるのが一番なのかもしれない…







まぁ、このゲームに関してはゲームをプレイする事よりも
発売経緯とか発売後の多くの逸話を見ていた方が遙かに面白い。

例えば
ホテルの部屋を借りて打ち合わせを行われ

「こんなに難しくしたらゲームバランスが崩壊する」

と、忠告を受けたが「たけし」氏はそれを受け入れなかったからこその
本作の難易度になった。


「よゐこ」の「有野」氏が「ビートたけし」氏に

「酔っぱらった勢いで言った内容がそのままゲーム化されたのは本当か?」

と、直接尋ねると、

「全部本当の事」

と、認めたそうだ。




他にも攻略本を出した出版社は

「攻略本買ったけど、解けない!」

と、苦情の電話が殺到。
1日に400本もかかってきて疲労困憊の担当者は

「担当者は死にました」

と、答えたという…
その後、攻略本の攻略本を発売するハメになったという…
その際、

「これで解けないからと言って、間違っても傘と消火器を持って
 出版社に殴り込まないように」

とフライデー事件のネタを書かれているとの事。



「たけし軍団」の団員は
クリアできない世の子供たちに

「金返せ!」

と、言われ殿である「ビートたけし」氏のゲームという事もあって手を出す訳にもいかず
対応に苦慮したという…
(クリアの仕方を教えてもらって子供と一緒にクリアするってのはダメだったんかな?)


プレイヤーは勿論の事、作り手や直接かかわってすらなない軍団すらも翻弄したゲーム。
だからこそ、ゲームや「ビートたけし」氏本人に関わった全ての人に言うのだろう。

「こんなゲームにまじになっちゃってどうするの」

と…

無論、髭人もまた本作に関わってマジになっちゃった1人です(笑)





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2 コメント

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発想に技術が追い付かなかった怪作 (ryo)
2018-09-26 21:06:03
このゲーム、今でいうグランドセフトオートみたいなもんですよねえ。
PS4レベルの技術で作り直したら、
物凄いゲームになると思うのです。
ファミコンではたけしの発想に追いつけなかったなー。
返信する
たけしワールド (髭人)
2018-10-13 06:18:00
ryo殿
コメントさんきゅーです。

確かにたけしの氏のイメージの
全てを体現できなかったそうですからね。
それはそれでとんでもないゲームになるでしょうがついてこられる人がどれだけいるのやら…(苦笑)
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