みなさまご存知無い方もいらっしゃるとは思うんですが、およそ10年ほど前に「J-popボサノバカバーブーム」みたいなものが一世を風靡しておりまして。わたくしひよせはその流れにまんまと乗っかった人間だったんです。
当時やっていたバンドで出したカバーアルバムがヴィレヴァンやTSUTAYAでどーんと売り上げ15万枚。
いろんな方に聴いていただいたと思うんですが、中でも俳優の小栗旬さんがある曲を気に入って情熱大陸やオールナイトニッポンで「僕の応援歌なんです」と紹介してくださった。
おかげさまでわたしのやってたバンドもちょっと知名度上がりまして、なんやかんやとメジャーデビュー出来たりだったわけです。
その元曲がHARCOさんが歌う「世界でいちばん頑張ってる君に」でした。
そんなわけでHARCOさんのことをなんと言いますか勝手に「恩人」のような風に思って「ハルコさんには足を向けて寝らんねえぜ」みたいな感じでおりました。思っていながら当時メールだかなんだかですこしだけやり取りをさせてもらったことはあれど実際お会いしたことなかったんです。いつかライブに行って勇気を出して話しかけてみよう、お礼を言おう!と思って、早10年。
昨日わたくし吉祥寺のSTAR PINE'S CAFEをはじめて訪れました。(迷わなかったよ!道順を教えてくれてありがとうね)
スターパインズカフェ20周年のお祝いイベントで栗コーダーカルテットさんとHARCOさんとビューティフルハミングバードさんという素晴らしく楽しそうな3組の共演があったんです。
HARCOさんのTwitterで3日前に告知を見て。なにかこう…ぐっときたんです、行かねば!と。
久しぶりにハコにメールして予約するという行為をしました。どきどきしました。
10年前の「ありがとうございました」を書いたお手紙と、こっそり自分のデモ曲をCDRに焼いて一緒に持っていきました。渡せるといいなあ、でも無理だろうなあ〜と思いながら。
本日のライブは全部はじめて見るお3組。
トップバッターは(なんで野球じゃないのにこういう出順の最初のひとをトップ「バッター」って言うんだろう、今急に不思議に思った)栗コーダーカルテットのみなさん。
川口さんが飲み過ぎてしまうから、とトリではなく1番手にしてもらったというエピソードに親近感。
テレビでよく聴くあの笛たちが、今まさにそこで鳴らされている、という事実にしばしあたまがぼーっとしてしまいました。
みなさん笛だけでなくチューバや小さいサックス?やら鍵盤ハーモニカ、ウクレレ、パーカッションなどなど1曲の中でも持ち替えて演奏されるんですなあ。器用、というか芸達者。曲もバリエーションに富んでいて、インストでこんなに素直に楽しい音楽ってあんまりないよなあ〜と愉快な気持ちで見てました。あとどの楽器もいい音。
ビールがすすみます。(おかわりを頼む際「今ならビールはどれでも500円ですよ」と店員さんに教えてもらって「ええ!?ビールがどれでも500円!?(信じられない!)」というナイスリアクションをとりまして周りのお客さんが「マジかよ…ビール頼む?」みたいになってくれてわたしのサクラっぽさ健在!って思いました)
ビューティフルハミングバードのギタータバティさんを呼んでの4人、の後ボーカルの小池光子さんも加わって5人でのセッションタイムもお見事でした。(光子さんピアニカ吹きながら左手でシェイカー振ってらして、あれわたしもやってたんだけど結構むつかしいんですよ。さすがだなあ)
とくにうれしかったのがNHKみんなのうたで見てた「ウメボシジンセイ」という曲を栗コーダーさんと5人で演奏してくれたこと。
この2組はたくさん一緒に演奏されてるそうですが、ほんとうに相性がいいんですね、アコースティックものにありがちな雰囲気良しだけでない確実な技術に裏付けされつつの、気の抜けた感〜という演奏が最高でした。
あとこの日ご出演のみなさんはよくテレビで音を耳にする方々なんですよね。栗コーダーさんはピタゴラスイッチなんかとても有名ですし、ハミングバードの光子さんは今このCMなんかで歌ってらっしゃる。
キリン 晴れと水 「白樺と晴れと水」篇 30秒
こういう「オリジナルの楽曲もやりつつお仕事音楽も精力的にやられてるかた」っていいなあと思います。テレビ番組とかCMとか、求められているなあ〜って感じするものね。オリジナルとはまた違った魅力があるし。そういうお仕事されてるお仲間だからこそできる裏話?のような、そんなMCもすこーし聞けたの楽しかったです。
セッションからの、2番手のハミングバードさんのステージ。
光子さんの声はあれですね、天からの贈り物ですね。尊いものです。
声の情報量が多いというか、スッと出てスッと消えるだけの間に物語が見えるような、そんな歌声。感動しました。
わりあいシンプルなアコギアレンジがしっくりちょうど良くって、弾きすぎず、弾かなすぎず。
アコースティック系の女性Vo.男性AG.的2人組ユニットさまざまあれど、長年活躍しているひととはああこういうことなんだなあと体で納得したような。たくさん勉強させていただきました。
「盆・ボヤージュ」という盆踊りの曲とかおいおい〜っていう曲を美声でねじ伏せてほわほわ〜っと楽しくやっちゃう感じとかさすがでした。わたし踊りました一生懸命。手だけね。
ラストの曲をHARCOさんのピアノありで3人で演奏。そしてトリのHARCOさんステージ。
スターパインズカフェ、カフェと言うだけあってごはんメニューが魅力的でした。周りのかたが頼んでるものの美味しい匂いがプンスカプンスカとただよってきまして若干つらさを感じました。写真がブレブレなのはお隣さまのポテトを盗撮しているからです!
実は、会場に到着して入り口でに載せた看板の写真を撮ってたらおもむろにHARCOさんがおひとりで現れたんです。
お目当ての人が突然自分の世界にフレームイン。これ想像してみてください、けっこうびっくりしますよ。
「え。あれ、あれれれれ?」っとお顔をガン見しながら、腰の引けたポーズで後ずさるような…まあ妙な動きをしながらも「み、見にきました…」と敵意のないことをお伝えすることに成功、「楽しんでってください」と笑顔で答えていただいて感激。「が、がんばってください!」という小学生でももうちょっと気の利いたこと言えるぞという返しをしまして。ああ、もったいないもっとなにかいい初対面出来なかったんか…と後悔があたまをぐるぐるしておりました。
からの、HARCOさんステージですよ。
音楽はたくさん聴いたことあるし、お声もCMなんかで触れる機会あるし、なのですが。
実際にライブで見ると全然イメージが違いました。アグレッシブ!
あのすっげえいい声(とても好きな声です、本能的に好きなやつ)とガンガンのピアノ演奏。しっかりしたMC。勝手にもっとふわっとしたかたなのかなって思ってましたが…歌声のイメージに引きずられてたのかしら。
「文房具の音」という曲ではホッチキス、クリップ入れ、セロテープの出す音をサンプラーに取り込んでその場でリズムを作って演奏してくれました。こんなこともやってるんだ!と驚き。(前から結構やってらっしゃるんですよね)ススススッと手慣れた感じでサンプラーを操ってらして最初「え、なに?魔法?」って思ってしまいました。あれいいなあやってみたい。
そして件の「世界でいちばん頑張ってる君に」もピアノ弾き語りで。「唯一のスマッシュヒット曲が自作ではないんですが」と言って会場の笑いをとりつつ。
うわあ本物だあ〜っとなぜか赤面です。わたしもよく歌わせてもらってたので歌詞おぼえてるもんなんですね、声を出さずに口ずさみました。やはりこの声で歌われてこその曲だなあと胸いっぱいになりました。
HARCO - 世界でいちばん頑張ってる君に
これは終演後にお聞きしたんですが、最初はこの曲HARCOさんが歌うって決まってたわけじゃなかったんですって。
ご存じないかたいますかね?もとは有名な車のCMソングなんですけど。
仮歌的なものをHARCOさんが歌っていてさて誰に歌ってもらおうか?って決める際に幾多の大御所をおしのけて「最初にうたってたひとがいい」と決まったそうなんです。そ、そんないい話があったとは!
英断、ですよねえ。この声じゃなかったらあの車、売り上げ違いましたよ絶対。ナイス判断。そして感謝です。いい曲生んでくれてありがとうSUZUKI!
HARCOさんの声ってふと耳に入ってきてしまうんですよね。ひとが話してるニュアンスに近い歌声。
上手すぎる歌ってともすれば不快、だと思うんですよ。たとえば豊かな声量、ビブラート、こぶし。(これはHARCOさんが歌上手じゃないと言っているわけではありませんぞ念のため)(そしてもちろん時と場合による、という話です念のため!)
歌の表現としては素晴らしくてもふと日常のなかに現れた時に違和感があったり邪魔に思ったりすることありませんか?おーげさだなあって感じ。
歌も音楽ですから非日常感あるのがいいんでしょうし、技術や才能のすごさを目にするのは楽しいことではありますが、われわれ日々暮らしてる中で音楽かけたりするじゃないですか。テレビから聞こえてきたりするじゃないですか。その時にすんなり受け入れやすくてでもついそっちを向いてしまうような、そんな歌声。
これはまれなんですよね。やろうと思ってできることじゃないから。持って生まれた声と、それを生かせるセンスと。
それを遺憾なく発揮されてるのがすごい。ほんのワンフレーズだけお話の途中で口ずさんでくれてそれがもう耳にスワーッと届くんです。よい経験をした…ありがとうございます。ふふふふいいだろううらやましかろう。
ご本人は光子さんのようにもっと「丹田から声を出したい」とおっしゃてて笑いましたけど。
HARCOさんは来年からご本名の青木慶則さん名義で活動されるということでHARCO曲は今年いっぱいでしばらく封印されるそうなんです。なので「世界でいちばん」は聴けるもんなら聴きたいな、生で演奏見てみたいなと思ってたので本当によかった。みなさんも見といた方がいいですよ。今年中ですよ!
会のチラシなど。HARCOさん、フライヤー(HARCO JOURNALというんですね)でコラムと4コマ漫画を書いてらっしゃる。かわいい絵w
さて素晴らしい会も終盤。
HARCOさんのステージへ栗コーダーさんとハミングバードさんが呼ばれ、最後は3組によるセッションタイム。
ピアノ、アコギ、グロッケン、リコーダー、パーカッション、サックス、チューバ、鍵盤ハーモニカ…もう楽器入り乱れての演奏。HARCOさんと光子さんの歌声が重なった「浜辺の歌」のカバーも素晴らしく。よくもまあこんなにバランス良く組み合わせられるものだなあと奏者の皆さんの芸達者ぶりに脱帽でした。
みなさんとスターパインズカフェ20年の思い出話もお聞き出来て(栗コーダーさんはオープン前の工事中に見学しにきたことがあるんですって)ほくほく。
最後はハッピーな雰囲気のインストで〆。たっぷり3時間(以上?)のライブで大満足でした。
もうお腹いっぱい胸いっぱいの会でしたがオマケがまだある。
終演後にお手洗いへ急いだんですが、横にある物販コーナーにいらしたんですよ〜ご出演の皆様が。
それでパラパラメモ帳をゲットしたついでを装いつつHARCOさんに近づき、用意してきたお手紙とデモを渡すことが出来ました。
やった!すごい緊張したけど。
かわいくて選べなくて二つとも買ったパラパラ漫画になってるメモ帳。いいグッズだなあ。
以前カバーさせてもらって…と挨拶をしたところ覚えててくださったんです。当時メールのやりとりをしたことも。どひゃあ。
いまオリジナルのCDを制作中ですと話しをしたら「がんばってください」と言っていただけてうれしくてつい「完成したら持ってきますのでぜひ聴いてください」と言ってしまいました。これは気合いを入れて、しっかり完成させねばね。
日頃ザ・出不精なわたしだけど、えいや!と行ってみてとてもよかったです。
はじめて行ったハコだったけどスターパインズカフェも素敵な場所だったし。音、雰囲気、スタッフのかたの接客、お料理(わたしは食べてないけど)…パーフェクトなハコなのでは。(お手洗いの水が流れにくい点にだけご注意あれ)
ほのぼのしつつ刺激的なライブもぜーんぶ楽しめて、10年あっためといたお礼もお伝えすることが出来て、胃の底の方からじわーっとこみあげるものがありました。どうしましょうね、3杯飲んだビールのせいだったら。
世の中にはすばらしくおもしろいことがいつもどこかで繰り広げられていて、それに出会えるか出会えないかは自分次第なんだなあと実感した夜でした。
長々と書いてしまいましたので終わります。
最後に載せていいのか悩みつつ(HARCOさんからは了承いただいたんですが)栗コーダーカルテットの栗原さんとHARCOさんとのお写真を小さく。(クリックで大きくなるやつ、なのかな。まずかったらすぐに消しましょうね)
最初にあげた2ショットで見せたひよせ渾身のダブルピースに続いてまさかのダブルグー、ダブルパーとグーチョキパー3つそろいました。もちろん無意識です。ありがとうございました!