奇跡の人~The Miracle Worker~
出演:鈴木杏・高畑充希・佐藤B作・七瀬なつみ 他
演出:鈴木裕美
<あらすじ>
赤ちゃんの時に熱病により視力・聴力・会話を失ったヘレン。不憫なヘレンを愛するが故に、家族から甘やかされやりたい放題に育てられた。おかげでほとんど野獣状態となっている。ほとほと手を焼いたケラー家の人々は一人の若い家庭教師、アニーを雇う。
暴れ回るヘレンの中に高い知性と「しゃべりたい!」という渇望を見出したアニーはヘレンの教育に体当たりで取り組んでいく。アニーのやり方にケラー家の人々は戸惑い憤慨するが、次第にアニーを理解し、自分達の抱える問題に向き合うようになっていく。
ヘレンは少しずつマナーを覚え、指文字を覚えていくが、言葉を言葉として捉えることが理解できていなかった。悩み悶えるアニーは暴れるヘレンを井戸に連れていき、ポンプからほとばしる水を自分とヘレンに浴びせながら叫ぶ。「これが水なのよ! WATER! WATER!! お願い、ヘレン!」
さて、この続きは書かなくてもお分かりでしょうから書きません(笑)。
言葉というのは人間を人間たらしめる究極の技なのです。人間の思考は言葉無しでは成り立ちません。言葉を知らない赤ちゃんの思考は原始的な欲求や本能でしかありません。複雑な思考は言葉を習得して初めて可能となるのです。
水が「水」であることを理解するのは今の私達にはなんの問題もないと思えるし、なんでそんな簡単なことが??と思う方もいるかも知れません。でもこれって、この一瞬って、とんでもなく凄いことなんですよね~。私達も時々ありませんか? 「エウレカ!」と叫んで風呂から走り出したくなる瞬間。「あ~!! コレってそういう事やったんや~!!」という瞬間。脳ミソのシナプスがピッと繋がる瞬間。Break Throughする瞬間。いわゆる「アハ」体験……。
光あれ。そう言ったのは創造主ですが、アニー・サリバンという人はヘレンにとってまさに「光」。ヘレンにとって世界へ繋がる扉をこじ開けてくれた人。ヘレン・ケラーという女性は後世非常な才能を開花させていきますが、この瞬間がなければ彼女は存在しなかったはず。
さて、この素晴らしい家庭教師、アニー・サリバン。若干二十歳。口の減らない、負けず嫌いの、言いたい事をばんばん言ってのける、そして自ら視力に障害を、心にトラウマを抱える女性。地獄で育ったこの小娘は本当に強い! トラウマに苦しめられ、ヘレンの教育方針に悩み、自分の非力さと無力さに身震いしながらも果敢に立ち上がって、ヘレンに向き合い続ける姿はある意味「療法士」としての鏡ですね……。「諦めるくらいなら死んだ方がマシ」と言い放つ決意に胃袋が痙攣しそうになりました。……諦めてるよな~、結構。正直そう思います。
身も心も血まみれ傷だらけのアニーと、膨大なエネルギーを内包しながら今にも弾けそうになっているプチ原子炉娘ヘレンの対決は、ほとんどプロレス、時には吉本新喜劇。あまりの暴れっぷりに思わず笑ってしまうくらいです。役者というのはかくも過酷な仕事を要求されるのですなぁ(笑)。
鈴木杏は、若くて繊細で悶え苦しみながらも不屈の精神と信念を貫こうとするアニーをまさしく生身で演じている感じが持てて素敵でした。ヘレン・ケラーの自伝なんかを読むと、アニー・サリバンという女性はもっと大人で、精神的にもブレがなくて、厳格で堂々たる風格なんじゃないかと勝手に想像していましたが、鈴木アニーは泣いて怒鳴って怒って、時々ヘレンをしばいて、鼻血出して……。そうだよな~、本当はきっと、こんなんだったんだよな~……と、思えるほどの説得力がありました。
高畑ヘレンはパワフルでしたが、正直すこ~し物足りないようにも思いました。「ヘレン」を一生懸命演じているのは伝わるのですが、少々「ヘレン」という型にきっちりはまりすぎているというか、彼女の中に今までのヘレン像が残っているのかもしれませんね。私自身は他の女優の演ずるヘレンを観た事はないので比較している訳ではありませんよ。でも、もう少しダイナミックなヘレンを期待していたので体感としては「腹八分目」でしたね。ヘレンはどっちかというと「憑依」系女優が演じる方がハマるかもしれません。
とはいえ、主役の二人もさることながら、周りがしっかりした役者で固めてあるので、全体的に隙のない出来だと思えましたし、安心して感動に浸ることができました。一杯泣きましたよ~ん♪
ところで個人的にはこの直前にやっていた「蛮幽記」が観たかったのですよ。実際すごく評判良かったし。でも今回はチビ子にストレートプレイを観させるためにコレを選択しました。役者志望のチビ子ですが、今まで観た演劇と言えば「アニー」と「吉本新喜劇」なもので(笑)。やはりオーソドックスな芝居を経験しなくちゃね。
観終わった後、チビ子はえらい無口で。家に帰ってからはパンフレットを一生懸命読んでいました。感想を聞いても「うん」だけですが、あのリアクションは相当何か感じるところがあったようですな。うんうん。また色んな舞台を観て、目を肥やしたまえ。
てな訳で、今回のお芝居の得点は90点!
……というところでどうでしょうか?
ぽちっと一押しお願いします
出演:鈴木杏・高畑充希・佐藤B作・七瀬なつみ 他
演出:鈴木裕美
<あらすじ>
赤ちゃんの時に熱病により視力・聴力・会話を失ったヘレン。不憫なヘレンを愛するが故に、家族から甘やかされやりたい放題に育てられた。おかげでほとんど野獣状態となっている。ほとほと手を焼いたケラー家の人々は一人の若い家庭教師、アニーを雇う。
暴れ回るヘレンの中に高い知性と「しゃべりたい!」という渇望を見出したアニーはヘレンの教育に体当たりで取り組んでいく。アニーのやり方にケラー家の人々は戸惑い憤慨するが、次第にアニーを理解し、自分達の抱える問題に向き合うようになっていく。
ヘレンは少しずつマナーを覚え、指文字を覚えていくが、言葉を言葉として捉えることが理解できていなかった。悩み悶えるアニーは暴れるヘレンを井戸に連れていき、ポンプからほとばしる水を自分とヘレンに浴びせながら叫ぶ。「これが水なのよ! WATER! WATER!! お願い、ヘレン!」
さて、この続きは書かなくてもお分かりでしょうから書きません(笑)。
言葉というのは人間を人間たらしめる究極の技なのです。人間の思考は言葉無しでは成り立ちません。言葉を知らない赤ちゃんの思考は原始的な欲求や本能でしかありません。複雑な思考は言葉を習得して初めて可能となるのです。
水が「水」であることを理解するのは今の私達にはなんの問題もないと思えるし、なんでそんな簡単なことが??と思う方もいるかも知れません。でもこれって、この一瞬って、とんでもなく凄いことなんですよね~。私達も時々ありませんか? 「エウレカ!」と叫んで風呂から走り出したくなる瞬間。「あ~!! コレってそういう事やったんや~!!」という瞬間。脳ミソのシナプスがピッと繋がる瞬間。Break Throughする瞬間。いわゆる「アハ」体験……。
光あれ。そう言ったのは創造主ですが、アニー・サリバンという人はヘレンにとってまさに「光」。ヘレンにとって世界へ繋がる扉をこじ開けてくれた人。ヘレン・ケラーという女性は後世非常な才能を開花させていきますが、この瞬間がなければ彼女は存在しなかったはず。
さて、この素晴らしい家庭教師、アニー・サリバン。若干二十歳。口の減らない、負けず嫌いの、言いたい事をばんばん言ってのける、そして自ら視力に障害を、心にトラウマを抱える女性。地獄で育ったこの小娘は本当に強い! トラウマに苦しめられ、ヘレンの教育方針に悩み、自分の非力さと無力さに身震いしながらも果敢に立ち上がって、ヘレンに向き合い続ける姿はある意味「療法士」としての鏡ですね……。「諦めるくらいなら死んだ方がマシ」と言い放つ決意に胃袋が痙攣しそうになりました。……諦めてるよな~、結構。正直そう思います。
身も心も血まみれ傷だらけのアニーと、膨大なエネルギーを内包しながら今にも弾けそうになっているプチ原子炉娘ヘレンの対決は、ほとんどプロレス、時には吉本新喜劇。あまりの暴れっぷりに思わず笑ってしまうくらいです。役者というのはかくも過酷な仕事を要求されるのですなぁ(笑)。
鈴木杏は、若くて繊細で悶え苦しみながらも不屈の精神と信念を貫こうとするアニーをまさしく生身で演じている感じが持てて素敵でした。ヘレン・ケラーの自伝なんかを読むと、アニー・サリバンという女性はもっと大人で、精神的にもブレがなくて、厳格で堂々たる風格なんじゃないかと勝手に想像していましたが、鈴木アニーは泣いて怒鳴って怒って、時々ヘレンをしばいて、鼻血出して……。そうだよな~、本当はきっと、こんなんだったんだよな~……と、思えるほどの説得力がありました。
高畑ヘレンはパワフルでしたが、正直すこ~し物足りないようにも思いました。「ヘレン」を一生懸命演じているのは伝わるのですが、少々「ヘレン」という型にきっちりはまりすぎているというか、彼女の中に今までのヘレン像が残っているのかもしれませんね。私自身は他の女優の演ずるヘレンを観た事はないので比較している訳ではありませんよ。でも、もう少しダイナミックなヘレンを期待していたので体感としては「腹八分目」でしたね。ヘレンはどっちかというと「憑依」系女優が演じる方がハマるかもしれません。
とはいえ、主役の二人もさることながら、周りがしっかりした役者で固めてあるので、全体的に隙のない出来だと思えましたし、安心して感動に浸ることができました。一杯泣きましたよ~ん♪
ところで個人的にはこの直前にやっていた「蛮幽記」が観たかったのですよ。実際すごく評判良かったし。でも今回はチビ子にストレートプレイを観させるためにコレを選択しました。役者志望のチビ子ですが、今まで観た演劇と言えば「アニー」と「吉本新喜劇」なもので(笑)。やはりオーソドックスな芝居を経験しなくちゃね。
観終わった後、チビ子はえらい無口で。家に帰ってからはパンフレットを一生懸命読んでいました。感想を聞いても「うん」だけですが、あのリアクションは相当何か感じるところがあったようですな。うんうん。また色んな舞台を観て、目を肥やしたまえ。
てな訳で、今回のお芝居の得点は90点!
……というところでどうでしょうか?
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あ、関係ないかぁ
本で読んでたのと、観るのって、
やっぱり解釈が違うことはでてきますよね。
監督なり、脚本家の気持ちと一緒とは限らないし・・・
私も自分の解釈を裏切られること、しばしばあります。
でも後から、何年も経ってから、
「あぁ!」とわかる日がきたりして、
それもまたよしなんですよね
自分の考えが変わらない場合も少なくないけど
こーいう時間っていいな。
やっぱ都会はいいなぁぁぁ
歴史小説なんてその極みですよね~。
教科書で習った無機質で面白味のない知識が、
歴史小説で同じ人物に出逢った瞬間に初めて生身の人間であった事を思い知ったりするんですけど、実はそんなもんは幻想でしかなかったりする。んでもって、違う作家の本を読んで「違う違う違う~!!」なんて思ったりして(爆)。
都会……なんですけどね~。色々な興行は確かにありますけどね~。なんせ先立つものがないと
でも最近関西のあちこちに分散していて、観たい興行が手近な大阪市内では観られないというケースが増えてきました……。特にクラシック音楽とかバレエなんかは……。