かべ日記

日々感じたことを、ひたすら記録。
積み重なった言葉が何かを生み出す…はず!!

こんな夢を見た。

2018-08-07 15:59:31 | 読書記録
夏目漱石の夢にまつわる短編集「夢十夜」にて、不思議な世界へ誘ってくれるこの言葉。
kindleで無料だったので読んでみた。

全ての話の出だしに使われているわけではない。
数えて見たら、半分も使われていなかった。
でもなんだか、この出だしに僕はひかれた。
遠藤憲一さんがナレーションをしている絵まで浮かんだ。短編ごとにトーンを変えている絵が。

話自体は読みやすい。
でも、読んだあとに感想を聞かれてもすぐに言葉が出ない。モヤモヤしている。

だから読みなおす。
すると、また異なる絵が浮かんでくる。

自分の心が感じているこのモヤモヤは何なんだろうと、必死に言葉を探すが、うまくいかない。

目覚めの悪い夢だ
でもなぜか惹かれてしまう、そんな短編集だ。

こんな夢を見た。
改めて、この出だしのスゴさを感じている。

束の間の休暇、こんな時間を過ごすのも良い気がする。

また今度読んでみよう😁


沈黙 …己

2017-02-04 22:04:41 | 読書記録


遠藤周作の「沈黙」を読んだ。
マーティン・スコセッシが映画化し、年明けから日本でも公開されている本作。
1966年に出版されてはいたが、僕はこれまで読んだことがなかった。書店の特集コーナーで映画の予告編をDVDで流しているのを目にし、惹かれ、まずは原作を…と手にとった。

正解だった。
引きこまれた。

僕はこの話を、人生の分岐点における「自己選択」の大切さをうたっているモノだ、と感じた。
自分が納得できる人生を歩めるかどうか、つまり、何を己とするのか、自分は何を大切にして生きていくのか、それを自分自身で積み重ねていく過程を生々しく描いてくれている…と感じたのだ。

Amazonなどの書評では、キリスト教(カトリック)や宗教観としての視点等でも深く感想が述べられていたりするが、あいにく僕は特定の宗教との縁がない。
なのでロドリゴをはじめ、登場人物の文化的価値観に共鳴することはなかった。
が、目の前の現実に対して自分がどう生きていくのか…という葛藤に関しては、ロドリゴだけでなく、フェライニにもキチジロウにも井上にも、それぞれの「己」をもつ強さ(弱さ)を、僕自身と照らしながら感じることができた。

周囲の人や環境から学んだ「正」に対し、自分の中で悩み、苦しみ、あがき、喜び、怒り、安堵しながら、「己」の価値観に気づいていく。
自分の中での反芻だけでなく、時には人の言葉や社会の出来事に刺激されながら、結局は自分が納得して、前に進んでいける道を選べるかどうか、作品中のロドリゴ達の人生が教えてくれた気がする。

これ、僕らが意識すべきキャリア教育のあり方にも通じると思われる。いや、まあ、生徒に云々の前に、自分自身に素直に響いたかな。

久しぶりに、良い本に出会えたなぁ。人生の糧となる本です。昨日の仕事帰りに買って、2日で一気に読んでしまったし。うしっ、映画もみちゃおう😁
スコセッシはこの原作をどう映像で描いているのかな?

恥ずかしながら、遠藤周作の著書を読むのも、これが初めて。今日の帰りには、「海と毒薬」を購入。
堪能したい👍

人間の土地

2015-08-23 16:01:41 | 読書記録


先日の「夜間飛行」に続き、サン=テグジュペリの「人間の土地」を読んだ。

1939年に出版されたこの本は、
サン=テグジュペリが職業飛行家としての15年間の豊富な体験の思い出を伝えており…、一見バラバラに見える8編のエピソードは《人間本質の探求》という不快なつながりで緊密に結びつけられている(訳者:堀口大學氏あとがきより)

…という本だ。


人間は障害物に対して戦う場合にはじめて実力を発揮するものなのだ、
障害物を征服するには人間に道具が必要だ、
努めなければならないのは自分を完成することだ、

…という出だしで始まる本書。


サン=テグジュペリは、「人間」を社会の中での自分の役割を認識したもの、というニュアンスで語りかけてくれている(と、僕は読んだ。違ったらごめんなさい💧)

だからこそ、その時々の誤った社会の都合で人々の「人間」を振り回す(「眠りっぱなし」にする)のではない、人としての本然・本質的なもの、世界共通のものを単純化したものは何なんだ、ということを考えさせられる。

僕の人間(社会的役割)は、一応教師だ。
世の中は先人のおかげでだいぶ本然が整理されてきてはいるが、まだまだ雑然とした情報があふれ、それぞれの勝手な「人間」が戦い合っている。
それを単純化していけるよう、世の中を整理していく支援を子供に行うのが僕らの役割なのだろうか。であれば、僕の試みるべきことはなんなのか?

難しいけど大切なこと。
考えていきたい。


ちなみに僕が買った本書は新潮文庫のものであり、表紙絵は宮崎駿が描いている。(「空のいけにえ」というあとがきも1998年付で書いている。)
巻末に、サン=テグジュペリたち飛行家が行方不明になった航路をイラスト化してくれているが、これのおかげでとても読みやすかった。
宮崎駿さんの「人間」を垣間見た気がする。

なーんて言うのは、エラそうか


プロフェッショナル

2015-08-15 23:18:06 | 読書記録


サン=テグジュペリの「夜間飛行」を読んだ。
星の王子さま(小さな王子)で有名なフランスの作家の作品。

1931年にサン=テグジュペリが31歳の時に刊行された作品で、当時南米と欧州を結んでエアメールを運んでいた郵便空輸にまつわる、ある夜の出来事を描いている。

郵便空輸に携わる様々な職業の視点から物語は進んでいくのだが、それぞれの仕事をする上での「意識」というものを登場人物たちは語りかけてくれる。

中でも、僕は次のシーンがズシリときた。
場面は物語のまだ前半。

従業員を査定する監督官を担うロビノーという人物が、その孤独感から監督対象のパイロットにちょっとした愚痴を聞いてもらおうとしていたところ、上司のリヴィエールに呼び出され、以下のことを言われる。

「君は彼の上司だろう」
「(部下に対して危険な乗務を指示するときに)友人だからという理由で相手が君に従うとしたら、それは相手に考え違いをさせたことになる」
「いっぽう、友人だからという理由で、相手が何かの、重荷を免れるとしたら、それも考え違いをさせたことになる。」
「たとえ疲れたにせよ、君を支えるために部下はいるわけじゃないんだ。君は責任者、責任者の弱みなど、もの笑いの種だ。」

そう言われたロビノーは、愚痴を聞いてもらおうとした部下のパイロットに関する処罰報告書をその場で書かされる。


物語全体からしたら、ほんの一場面。
でも、僕の日常には一番響いた場面だった。

正直に言うと、僕は今、抱えている仕事が自分のキャパを超えていると感じている。
辛い、キツイ、と感じている。

誰かに愚痴を聞いてもらいたい、そう思うこともよくある。
逃げたい…とまではいかなくても、誰かにわかってもらいたいという気持ちはある。

そんなロビノーと同じ心境の僕は、作中で叱責された。…と僕は感じた。

仕事を担う上で、責任を負うものとしての自覚を改めて言われた気がする。

孤独に耐える強さを改めて身につけなきゃいけない。

そんな気持ちにさせてもらえた作品でした。


まあ、基本的に僕は甘えん坊将軍。

死んだ母にもよく、
「あんたはいつもギリギリまで(やらなきゃいけないことから)逃げよーとしている」
…と言われたもんだ。

でももう一つ、言われていたことがある。
「逃げられず、どうしようもなくなると、あんたは諦めて必死になる」


どーやらそんな性格らしい。
ならまだやれるってことだ。

やれることを、一つ一つ、意識を高くしてやっていこう。

なーんて、思ったお盆の夜でした😁

その手は無力?

2014-06-28 21:42:39 | 読書記録


電子ブックで久々に読みました、「ブラックジャックによろしく」。
僕はこの6巻を含むガン治療編(5~7巻)が最も印象に残っている。

ガン患者の主婦を他界した自分の母親と重ねつつ、主人公の葛藤を仕事でつまづく自分自身の今と重ねて読んだ。

その中で標記の台詞が出てくる。

「その手は無力なのか?」

無力って何だろう?
情けないことではあるが、そこで立ち止まることではないよな。
そこから始めて行くことだよな。
できることから一つ一つだよな。

僕が向き合う生徒たち。
彼らに対し、自分の力と経験のなさを痛感する日々。

でも、だからこそ今やるべきことがあるはずだ。
人に頼るのではなく、自分の目で、自分の耳で、自分の肌で感じて、自分の心で生徒と向き合うために。

ふふっ、前向きになれたぞぉ👍
今日から、またがんばろう😁