スェーデンの現代美術館のキュレーターとして成功している主人公を縦軸として、四角い白線中では人は「完全に平等で人を思いやる」という現代アートを横軸に展開する物語。
スェーデンは高税率だが高福祉、というイメージを持っていたが、この映画の現実は如実な貧富の格差、町中に溢れる乞食の姿を映し出す。
また、「優しさ」と「厳しさ」「寛容」と「無関心」の同一性、「芸術による快感」と「芸術による不快感」の分水嶺の危うさ、優しい父親の中にある他者への攻撃性など、世の中にある矛盾をシニカルに描き出す。
この四角の外は非平等で思いやりの無い世界とも読める映画の題名こそが「矛盾」で「皮肉」なのかもしれない。
星2.5