【ヒトラーに抗した女たち】
作者:マルタ・シャート 発行所:行路社 訳:田村万理・山本邦子 \2500E.
本代は高く感じるかも知れないけど、女性が社会を住み良く替える原動力ですもの。
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★ひとつだけお願いしてよければ、私のことをすべての人に話してね。
私たちの死は点滅するシグナルでなければならないのだから。
(リベルタス・シュルツェ)
1934年から1944年までの間に第三帝国内で11900人が処刑されました。
この中に軍事法廷で死刑判決を受けた人や親衛隊に殺された人、ユダヤ人は含まれない。
1100人の女性が含まれますが、これらの普通の女性たちはナチズムに抵抗したのです。
主義・思想・信条などの一致で抵抗運動に加わる人たちの話題はしばしば取上げられる。
抵抗運動を既知の運動グループに分類してそれから外れる物は対象外とされてきました。
過去には旧西ドイツの1944年7月20日の事件と白バラのメンバーに焦点が当てられ、
旧東ドイツで多数の女性が加わった共産主義者の抵抗運動の研究も関心は集中しました。
それに対して、
本書はドイツ民族の中からナチズムへの抵抗運動を起こした普通の女性たちの記録です。
独裁国家にもそれに抗する内面的・精神的な力をもった人びとがくり返し現れたのです。
ナチズムが席捲する時代にあっても、あらゆる階層から市民感覚をもった女性が現れた。
彼女たちは生活の全領域にまで押し入ってきたヒトラー政権に抵抗して死んだのでした。
彼女たちの政治信条や考え方は異なっても、人道的生き方を通すために抵抗したのです
次第に、
歴史家たちはドイツ民族の中から起きた抵抗運動に目を向ける重要性を感じていきます。
抵抗運動に関わった人たちを厳密なカテゴリーに入れることは不可能であり、抵抗運動
の境界は流動的であることに気づきます。
今、抵抗運動の世界的な定義は、
ヒトラー政権に対する或いは国家社会主義のイデオロギーに対する、全面的または部分
的な拒否を含み、一定の危険と結びついた能動的或いは受動的な行為の全てとされます。
本書は、
同時代人がほとんど理解せず、或いは理解しようとしなかった、抵抗運動を決意するに
至るさまざまな理由と、後世の人びとに常に理解してもらう必要のある抵抗運動の背景
・背後にある状況を「彼女たちの人生を通して」判りやすく明確に示すことを試みます。
★私の同志たちの凄絶で孤独な死に比べたら、私の人生などなんなのでしょう。
(リーナ・ハーク)
◎カテゴリーを考えて、これはやはり、偉大な女性たちの史実ですから「偉人」伝なのでしょう。