1982年 日本
初の邦画です
ここは、時代劇のメッカ京都撮影所,太秦(うずまさ)。
今,折りしも新撰組の撮影がたけなわである。
さっそうと土方歳三に扮して登場したのは,その名も高い
“銀ちゃん”こと倉岡銀四郎(風間杜夫)である。
役者としての華もあり,人情家でもあるのだが
感情の落差が激しいのが玉にキズ。
こんな銀ちゃんに憧れているのが大部屋俳優のヤス(平田 満)。
ヤスの目から見れば銀ちゃんは決して悪人ではない
人一倍,仕事,人生に自分なりの美学を持っているだけだ。
ある日ヤスのアパートに銀ちゃんが女優の小夏(松坂慶子)を連れて来た。
彼女は銀ちゃんの子供を身ごもっており,スキャンダルになると
困るのでヤスと一緒になり,ヤスの子供として育ててくれと言うのだ。
ヤスは承諾した。
やがて小夏が妊娠中毒症で入院するが,ヤスは毎日看病に通った。
その間ヤスは撮影所で金になる危険な役を進んで引き受けた。
小夏が退院し,ヤスのアパートに戻ってみると
新品の家具と電化製品がズラリと揃っていた。
だがそれとひきかえにヤスのケガが目立つようになってきた。
それまで「銀ちゃん,銀ちゃん」と自主性のないヤスを
腹立たしく思っていた小夏の心がしだいに動き始めた。
そして小夏はヤスと結婚する決意をし
ヤスの郷里への挨拶も済ませ,式を挙げて新居に
マンションも買った。
そんなある日,銀ちゃんが二人の前に現われた。
小夏と別れたのも朋子という若い女に夢中になったためだが
彼女とも別れ,しかも仕事に行きづまっていて
かなり落ち込んでいるのだ。
そんな銀ちゃんをヤスは「池田屋の階段落ちをやりますから」と
励ました。
階段落ちとは新撰組のクライマックスで
斬られた役者が数十メートルもの階段をころげ落ち
主役に花をもたす危険な撮影なのだ。
ヤスは大部屋役者の心意気を見せて,なんとか銀ちゃんを
励まそうと必死だった。
階段落ち撮影決行の日が近づいてきた。
ヤスの心に徐々に不安が広がるとともに
その表情には鬼気さえ感じるようになった。
心の内を察して小夏は精一杯つくすのだが今のヤスには通じない。
撮影当日。
銀ちゃんは驕ったヤスの態度に怒り,拳を振るう。
その一発でヤスは我に帰った。
撮影所の門の前で心配で駆けつけた小夏が倒れた。
階段落ちはヤスの一世一代の演技で終った。
小夏がベッドの上で意識を取り戻した時
傷だらけのヤスの腕の中に女の子の赤ん坊が抱かれていた。
カァ~ット OK
↑ このラストが実に心地よい