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OracleのSun買収が意味すること

2009年4月20日、OracleがSunを買収すると発表した。HP、IBMといった大手サーバーベンダーとの交渉が決裂した後だけに、買い手にどのようなITベンダーが出てきてもおかしくないタイミングであった。

Sunが単独で存続できないという事実はとても重い。プロセッサーの開発には巨額の投資が必要であり、どんなにすぐれた独自のCPUをつくっても需要は限定的だということだ。ユーザーは、価格や安定性を重視するようになった。ユーザーの裾野が広がった結果、そのような層がボリュームゾーンになった。インテル、AMDといった標準的でかつコストパフォーマンスに優れるCPUを搭載した製品が完全にメインストリームになった。

SunもSPARCの開発投資をし、新製品を出していたが、出荷は想定を大幅に下回っていたとみられる。

Sunは、IT市場に華々しく登場した。RISCプロセッサーを搭載したワークステーションとサーバーの需要は急拡大し、メインフレームのビジネス主体のIBMを窮地に追いやった。IBMは、ビジネス構造を変えることで、生き残った。SunはIT業界の構造を根本的に覆してしまった。一方で、オープン化により、プレイヤーが市場に殺到した。オープン化のトリガーを引いたのは、Sunだ。そして、時間差はあるけれど、自らの引いたトリガーにより、困難な事態になった。

x86サーバーの台頭により、今度はSunが窮地に陥った。SunのRISCプロセッサーを搭載したワークステーションとサーバーの巨大なインストールベースが、次々とx86プロセッサーを搭載したワークステーションとサーバーにリプレイスされていった。Sunは、新しいRISCプロセッサーを搭載した製品を投入することで、なんとか挽回しようとしたが、成功しなかった。最後には、プロセッサーを開発する余力もなくなり、富士通と提携し、再起の時機をうかがっていた。また、不本意ながらも、x86サーバーを市場に投入した。だが、too lateだった。輝かしい成功を持つRISCプロセッサーを持つがゆえである。テクノロジーカンパニーとしてのプライドもあっただろう。

今回の景気悪化で立ち行かなくなった。

OracleとSunは、長年のランニングメイトだ。OracleのDBとSunのSPARC/Solarisの組み合わせでいっしょになって成長してきた。Oracleにとって、今回の買い物はどれほどのメリットがあったのか。生き馬の目を抜くような厳しいIT業界ではあるけれど、心情的なものもあったのだと思う。
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