白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

十段戦五番勝負、開幕!

2019年03月05日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
7日(木)、8日(金)に棋聖戦第6局が行われます。
シリーズ終盤は石運びが重くなりがちですが、井山棋聖と山下挑戦者に限ってはあまり関係がないかもしれません。
いつも通りの激しい戦いになりそうですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日は十段戦五番勝負第1局が行われました。
前期、井山裕太十段に挑戦したものの無念の3連敗に終わった村川大介八段が、再び戻ってきましたね。
今年こそはと燃えていることでしょう。
それでは、早速振り返っていきましょう。



1図(実戦)
村川挑戦者の黒番です。
この局面を見て、おやっと思いました。
白石が3つに分かれており、全てが弱い石です。

最近読んだ寺山怜五段の本に、「弱い石は1つまで」と書いてありました。
「弱い石が2つ以上あるのは最悪とも・・・(笑)。
井山十段ならではの作戦で、アマの皆様は真似してはいけません。





2図(実戦)
しかし、少し進むと白の弱い石が白×だけになりました。
黒はちょっと力が入り過ぎたでしょうか?





3図(実戦)
その後、白は黒×を取った上に、白×も無事生きました。
後は下辺さえ荒らせば勝ちなので、白が良さそうに見えますね。





4図(実戦)
しかし、そこから村川挑戦者が猛攻開始!
際どい勝負に持ち込んだように見えました。


結果は井山十段が凌ぎきり、幸先の良いスタートとなりました。
しかし、2日後には棋聖戦を打たなければいけません。
相手も大変ですが、スケジュールとの戦いも大変ですね。

明後日から連載

2019年03月04日 23時57分13秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
明後日から読売新聞夕刊にて連載が始まります。
連載日は3月6日(水)、13日(水)、20日(水)、27日(水)とのことです。
ぜひご覧ください!
ちなみに、読売新聞では過去にも連載したことがあり、ここからご覧頂けます。
あれから8年も経ったのですね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
もうお伝えしたいことは終わってしまいました(笑)。
とは言え、これで終わるのもなんですから軽く講座でも。
元ネタは有楽町囲碁センターでの指導碁です。



1図(テーマ図)
左辺白4子が弱いので、攻めたいところです。
しかし、攻めでポイントを上げるためには、ただ追いかければ良いというものではありません。
黒AとB、どちらが正しい方向でしょうか?





2図(正解)
黒1が正しい方向です。
左上の黒一団の補強になっていますし、広い方向に向かう手でもあります。
黒7までと進み、右辺や下辺の黒模様化が見えてきましたね。





3図(失敗)
黒1は方向違いになります。
黒9までの進行は、7手もかけていて強い黒×から少しばかり地を増やしただけです。
白10となって、大事な方向に白石が先行する結果になってしまいました。

石を攻める際には、正しい方向を見極めることが大切です。
しっかりと状況判断してから決断したいものですね。