因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

劇読み!番外公演『戯曲はまだ眠っている』

2008-02-19 | インポート
*新宿シアター・ミラクル 公式サイトはこちら 17日で終了
 劇団劇作家主宰によるドラマ・リーディングの実践と考察の試みである。16日と17日の両日、「戯曲のリーディングをしてみよう」というワークショップが行われ、17日の夕刻からその発表会(別役実『赤い鳥の居る風景』より 演出は長谷基弘/劇団桃唄309)に始まり、劇作家による『白狐』のリーディング(山本健翔演出)、劇作家による「本読み」(篠原久美子『ケプラー あこがれの星海航路』、劇団フライングステージ/関根信一『陽気な幽霊 GAY SPIRIT』)、最後は篠原、関根、山本、長谷によるシンポジウム「リーディングの可能性を探る」で締めくくる。小さな劇場の客席は満員。前回(1,2)と同じく、戯曲に対して関心を持つ人、戯曲をもっと読みたい、知りたいと願う人々の熱気に溢れた公演となった。

 前日の夜、『前と後』で感じた違和感はなぜなのか?今夜の『白狐』に意識がどんどん覚醒して引き込まれていったのはなぜなのかが、シンポジウムの山本の発言で霧が晴れたように納得できた。そして極めつけは関根信一の「リーディングって胡散臭いんですよね」の一言であった。自分はリーディング公演が好きで、できるだけ足を運ぶものの、はじめ頃(おそらく90年代後半にシアタートラムでみた『堰』ではなかったか)の新鮮さがだんだんなくなり、横濱リーディングの刺激的な舞台はむしろ例外的で、何だか違うなというもどかしさが募っていたのだった。関根氏は、音声として戯曲を立ち上げるのか、演出も入って俳優も演技を作り込むものなのか、どこまですればいいのかはっきりしないところに葛藤があったという。「胡散臭い」とはまさに言い得て妙、自分は作り手ではなく受け取る方だが、我が意を得たり!という気持ちになった。

 これまでみた数々のリーディング公演だけでなく、数年前にみたテレビドキュメンタリーで、渡辺えりが語った十七代目中村勘三郎のエピソード、二十年以上前に渋谷ジャンジャンで行われた『メリーさんの羊』をめぐる別役実、中村伸郎、三谷昇の対談など、いろいろなことが記憶の底から甦ってくる。リーディングについてもっと考えたい、もっともっと戯曲を読み、聴きたい!

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