感謝と喜びを以て、この年の因幡屋演劇賞をお届けいたします。リンクは観劇後のblog記事です。ご参考までに。
*劇団唐組 第73回公演『泥人魚』、第74回公演『動物園が消える日』(唐十郎作 久保井研+唐十郎演出)唐十郎が5月4日旅立った。その翌日の『泥人魚』新宿・花園神社初日から、秋の特別講義「唐十郎の演劇世界 2024」、「唐さんを追悼する会」、神保町シアターでの唐十郎作品特集(公式サイト)、そして年末のドキュメンタリー映画『シアトリカル』のリバイバル上映まで、あたかも「唐十郎沼」に嵌ったかのように濃密で刺激的な月日であった。唐十郎は今も作り手受け手ともに挑発し、包み込み、歩き続けている。
『花と龍』では文化座の強さと粘り強さに圧倒され、『紙ノ旗』では柔軟な軽やかさを大いに楽しみ、そして『しゃぼん玉』では温もりに心を打たれた。
*劇団フライングステージ 第49回公演 関根信一作・演出『こころ、心、ココロ 日本のゲイシーンをめぐる100年と少しの物語』(座・高円寺 春の劇場29 日本劇作家協会プログラム/関根信一作・演出)
日本のゲイとその家族や友人の物語を100年と少しの年月に渡り、オムニバス形式で描いた2部構成の舞台。観客もまたその年月の中に存在し、ともに歩んでいる。
今年7月、卒業した大学の専攻の同窓会が行われました。コロナ禍を経て、ほんとうに久しぶりの再会です。退官された教授方の短い講演があり、こんなメッセージが。「コロナ禍にあって演劇は不要不急とされたが、そんなことはない。演劇はわれわれにとってかけがえのない喜びであり、慰めである」。淡々飄々とした語り口に、演劇に関わる人生の誇りと情熱が感じられ、演劇はわたしたちの喜び、慰め、支えであることを改めて心に刻みました。宝物を与えられた人生。幸せです。
ここへ来てコロナもインフルエンザも感染者数が増加しており、まだまだ油断できません。演劇の現場の方々のご苦労は想像を絶するものでしょう。すべての舞台の稽古が順調に進み、すべての妨げが取り除けられて、初日から千秋楽まで無事に幕が開くこと、多くの観客に出会えることを心から願っております。因幡屋ぶろぐを訪れてくださった方、因幡屋通信を手に取って下さった方、ほんとうにありがとうございました。来る2025年も「舞台の印象をより的確に、より豊かに記す」ことを目指して励みます。どうかよろしくお願いいたします。
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