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龍馬と妻おりょうが束の間の、そして最後の休日を過ごすひとときが描かれる。
おりょう本人になのか、演じる真木よう子に対してなのか、この女性にどうしても好意的な気持ちを抱けない。知り合いからは、「誰が演ってもそうなんですよ」と言われた。否定しません。海援隊のメンバーからも、土佐の坂本家の人々からもあまりいい感じを持たれていなかったそうだから、そういう面では、今回のおりょうの配役、造形ともに当たっているということだろう。久しぶりに会えたのに、明日はもう土佐に向かうと聞いて、おりょうは三吉慎蔵に「席をはずしてください」と言う。夫と一緒に過ごせるのは今日だけなのだという気持ちはわかるが、だったらせめて「龍馬さんと二人きりにさせてください」とか、もっと柔らかく慎み深い言い方はできないものだろうか。自分は筧利夫演じる三吉さん贔屓なので、つい「恩人の三吉さんに向かってその言い方は」と思ってしまうせいもあるけれど。
土佐の坂本家では龍馬から手紙で「嫁をもった」と知らされて大騒ぎになっており、中でも乙女の心中はまことに複雑なようである。冒頭のタイトルで役名が「坂本乙女」になっていた。婚家から戻ってきたのですね(苦笑)。大いに困惑しながら、それでもおりょうを弟の妻として受け入れようと格闘している乙女の様子は痛々しいような、微笑ましいような。
すぐに戻ってくるから待っていろ。おりょうに言い置いて笑顔で出かける龍馬の姿がスローモーションになると、こちらの胸もざわざわと波立つ。もう帰ってこない。これが今生の別れ。
龍馬はあの「怪物」山内容堂に大政奉還を進言するために土佐に向かう。下士の、それも脱藩浪士が大殿様と対決するのだ。現代でたとえるならどんな設定になるのかもうわけがわからないが、「龍馬伝」の第1回を思い出せばまさに奇跡のような出来事である。「龍馬暗殺まで、あとふた月」。弥太郎の語りによるカウントダウンがずしんと重々しく胸に応え、これしきのことに乗せられるなんてと思いながら、もう軽い動悸がしてくるのだった。
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