海洋プラスチックのごみが世界的に問題となるなか、高知県黒潮町には、海岸に打ち上げられたペットボトルを回収する犬がいる。ボストンテリアの雌「いくら」(8歳)。骨の代わりにコツコツとくわえて集めたペットボトルは、この5年間で3千本を超えた。

 美しい松並木が続く黒潮町の入野海岸は、国の名勝に指定されている。サーフィンの名所としても知られる。白波を楽しむサーファーの傍らで、「いくら」は毎日朝夕、浜辺を約1キロ散歩するのが日課だ。

 飼い主の新谷信行さん(59)は海岸の前でサーフショップを営んでいる。8年前に知人から「いくら」を譲り受けた。

 「いくら」は散歩の際に何かをくわえたがる。最初は小さなシャベルを与えていた。海岸で新谷さんが投げたペットボトルを取ってくる遊びも好きだった。

 5年前から浜辺に漂着したペットボトルを口にくわえて持ってくるようになった。ガリガリと激しく音を響かせてかむ。そのまま浜辺のゴミ集積所まで運んでいく。散歩するたびに1本は回収する。「ここのペットボトルの3分の1はいくらが集めたものです」と新谷さんは目を細める。

 ウミガメやクジラの体からプラごみが見つかり、海洋プラごみ問題は大きな話題を呼んだ。新谷さんは高知県サーフィン連盟会長でもある。「サーファーはきれいな海を残したいと願い、日頃から浜辺の清掃に取り組んでいる。そんなみんなのアイドル犬です」と話す。(笠原雅俊)

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いくらちゃんを見習えるだけの民度の高さを、日本人がもっていますように。