AIを活かすも殺すも、結局は、人間ということです。
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AIの現場、主婦が大活躍 政府は人材不足というけれど
朝日新聞 2019年8月22日11時51分
画像を認識したり、外国語を翻訳したり、社会のいろんな場面で人工知能(AI)を使ったサービスが普及するなか、政府が「AI人材が不足している」と危機感をあらわにしている。一方、AIに知識を学習させる仕事では主婦らが活躍。計算式をプログラムする技術者の不足は解消されつつあるとの声も上がる。幅広い分野にまたがるAIの現場は、求められる技能や人材も多岐にわたっている。
パソコンの画面に映し出された工事現場の画像。アルバイトの主婦斎藤尊子さん(39)が、これは三角コーン、これは仕切り……と種類ごとに青や赤色に塗り分けていく。
AI企業「ABEJA」(東京都)では、画像に写っているのが何かをAIに学習させる「アノテーション」の真っ最中だった。
斎藤さんは昨年10月から働き始めた。それまでAIとは無縁で、事務としてアルバイトに応募したら、面接でAIの学習用データづくりを打診されたという。
人間をはるかに超えるスピードで計算できるAIでも、何も学習していないければ赤ちゃんと変わらない。そこで、人間が画像に写っているものを意味づけして何万枚、何十万枚と学習させる。すると、AIは実際の工事現場でもカメラに映し出された画像に何が写っているかを判別できるようになる。工場で傷がある不良品を自動検知するような場面でも使われる。
斎藤さんの作業はいまや社内でもトップ級の精密さだ。「AIが今後も社会に広がることを考えると、キャリアとしても幅が広がりそう」と話した。同僚の坂本彩香さん(26)は百貨店の和菓子の販売員から転身した。「単に入力するだけでなく、効率良く仕事を進めるためのコミュニケーション力も求められる」とやりがいを語る。
最近は社外からの学習の注文も増え、同社では主婦だけでなく、精神疾患から社会復帰を目指す人らも働いている。全国の約10万人が登録しているという。同社のアノテーションの事業責任者である寺本拓磨さんは「AIの使い道が広がり、個別のニーズに対応したデータづくりが必要になってきた。アノテーションの人材は今後ますます重要になるだろう」と予測する。
一方、政府は「AIの活用は米国や中国の企業による覇権争いが激しさを増し、我が国は後れをとっている」と危機感をあらわにし、その根底にAI人材の不足があると訴える。
人材不足の例として挙げたのが、ビッグデータなどを使ってAIを開発できる専門技術を持つ「先端IT人材」が、2020年に約5万人不足するという予測だ。また、一般的なIT人材そのものも約30万人不足するとして、多くの育成プランを作ろうとしている。
ただ、AI開発に求められる技能は、地道にAIに学習させるアノテーションから、AIのプログラムなど複雑な計算式作りまで多岐にわたる。政府がAI人材育成に向けてまとめた戦略目標には、どんな技能がどれほど求められているのかは具体的に明示されていない。
AIの深層学習を研究する東京大の松尾豊教授は「いま最も求められているのは、AIを現在のビジネスとどうつなげるかという部分。これだけなら企業が社員を教育するのが効率がいい」と指摘する。
すでにAIを導入している企業のとらえ方は現実的だ。フリマアプリを展開する「メルカリ」やIT大手「ディー・エヌ・エー(DeNA)」などからは、AIの技術者そのものは不足していないが、技術にも事業にも精通するプロダクトマネジャーが少ないとの声があがる。DeNAの山田憲晋AIシステム部長は「今後のAI人材には、利用者に喜んでもらえるサービスをAIでどう実現するかという意識が求められるだろう」と話す。(杉本崇)
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アノテーションであろうが、何であろうが、AIを優秀にするのは人間の仕事というのは、何とも皮肉な話です。そうして育てたAIに人間の仕事が奪われることになるのですから。
とはいえ、これからの時代、AIが大きな役割を担うのは間違いないこと。人間と仲良く共存できる社会を望みます。
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