団地小説短編集を歩く

団地小説短編集の舞台を歩きながら団地や地域の魅力をお伝えします。

小説落合団地 3 お隣の「落合農住団地」A・B・C棟解体始まる

2020-11-06 05:59:40 | 日記
 小説落合団地には、たくさんのお店が出てきます。洋菓子のダルセーニョ・リッチフィールド、パン屋さんのホルス・アイヘン

バウム小麦庵、焼肉の都屋など、そしてそれらの店がニュータウンの計画されたセンター地区やサブセンターではなくて、幹線道

路に沿った商店街の様に立地しています。透(彩子の婚約者)はこの商店街が落合団地の魅力の一つであり、この地区が区画整理

事業によるニュータウンの建設で農地を失った農家の生活再建ために農家の換地を集めた地区ではないかと考えます。須磨ニュー

タウンでは、センター地区・サブセンター以外は住居専用地域となりますがこの道路沿いは規制の緩やかな住居地域となっていま

す。落合農住団地は商店街のある幹線道路からは裏のブロックになります。

   

 建築物の解体・改修工事のお知らせですす。工期は令和2年4月15日~令和2年11月30日、解体面積は約7240㎡で

す。配置図のA・B・C棟です。

  

 赤い工区の東と北がUR賃貸の落合団地となります。

  

 開発面積は8279㎡、39戸の宅地と店舗になります。

   

 南端のC棟に工事用のシートがありますが、落合農住団地の解体予定の3棟です。北側の屏風のように長い建物は落合団地の

320号棟で長さ約140m、1階に16戸が連らなります。

 解体対象外の落合農住団地D号棟のプレートです。政府の公的融資を受けて建てられた賃貸住宅には、家賃や敷金に上限があり

ますのでこれを明示する看板の設置が必要でした。通常、上限家賃は計算上は相場家賃より高くなりました。昔は関西では敷金が

高額でしたので安い敷金で入居できました。

 農住特定賃貸住宅とは何でしょうか。住宅不足・用地不足時代には、優良な賃貸住宅の供給を促すために色々な制度が有りまし

たが「農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時処置法(昭和46年法律第32号)」の融資を受けて建設された賃貸住宅で

す。

 かなり大雑把な説明ですが、農地又は農地だった土地を所有する、農家の賃貸住宅の建設に利子補給を行うものです。これによ

り農家は、農地を失っても安定した家賃収入が得られます。政府は住宅の性能基準を定めることにより、良質の賃貸住宅を供給す

ることが出来ます。農家は土地を購入する必要がありませんから、入居者は比較的安い家賃で入居することが出来ます。

 つまり日本住宅公団が、土地を購入し団地を建設するよりも、農家に農地を利用して賃貸住宅を経営してもらう方が、政府とし

てはより少ない利子補給額で賃貸住宅を建設することが出来ると言う発想です。公団住宅が、税金で造られていると思っている方

もおられますが、政府から出ているのは基本的には利子補給のみです。

   

 たまたま、A棟の不動産屋さんの広告を見つけましたので借用します。すでに解体工事をしていましので広告の消し忘れと思い

ます。3DKで面積は67.62㎡です。家賃は6.4万~7.4万とおありました。D・E棟で6.5万の住宅がありましたので、

徐々に値下げされてきたのだと思います。

 賃貸住宅としては珍しい8帖の部屋があります。農家の感覚としては8帖の間がなければ住宅じゃないのかもしれません。政府

の望んだ良質な賃貸住宅に沿うものだと思います。台所は新しいタイプの流し台の写真もありました。

   

 工期は4月15日からでしたが、解体工事が始まったのは9月の中旬からでした。バルコニーが一押しで折れました。

 あまり正確な資料ではありませんだ、解体されるA・B・C棟が出来たのは昭和52年4月です。落合団地は昭和53年3月か

ら入居が始まっていますので年は異なりますが、二つの団地は同級生になります。あまりにも早い解体だと思いましたが、新多聞

団地と同じ集約型団地再生事業で団地の一部が解体された河内長野市のUR賃貸南花台団地は昭和57年4月から12月の入居で

した。10月23日に杭抜き機が横転民家を直撃しました。祟りではないですよね。

       隣り合う4.5帖を上下2階分計4室

   

   

   

 約15分の早業です。

       解体重機

   

 カッターを付けた油圧ショベル。アタッチメントを取り換えると上階住宅からの廃材の搬出にも使えます。

   

 圧砕機を付けた油圧ショベル。建設リサイクル法によりコンクリートガラと鉄筋を分別しなければなりません。

       壁倒し

   

 壁倒しは解体工事で一番難しいと言われる作業ですが、壁式プレキャストコンクリートの住宅では安全に簡単に倒すことが出来

ます。

   

   

 壁式プレキャストコンクリート住宅はルームサイズのプレキャストコンクリート板の接続鉄筋を溶接し接続部にコンクリートを

充填して組み立て行きます強度的には在来工法と変わりないはずですが、解体工事ではいとも簡単に分解されます。(オペレー

ターさんの腕でしょうか)ここでは接続部が根性を見せましたが壁は安全確実に倒されました。

  

 B棟の地上部がほぼなくなり落合団地が見えています。基礎部分の解体も周りの土を掘り起こして圧砕機で砕いていくそうで削

岩機を使用しないので今まで通りの静かな解体が続くようです。

 須磨ニュータウンはポートアイランドや六甲アイランドの土取場でしたので、岩盤は浅く強固、中層住宅の多くは基礎杭の必要

がない壁式構造の住宅ですのでUR賃貸南花台団地の解体工事のような杭抜き機の横転事故の心配もありません。

   

 カッターによる解体工事が早い分コンクリート板がたくさん出来ます。それを圧砕して鉄筋が山のように出来ました。


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